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ハーバードの人生を変える授業

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読書メモ
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ハーバード大学で哲学と心理学を学び、組織行動論で博士号を取得したTal Ben-Shahar博士の「ハーバードの人生を変える授業」を読みました。

彼が『ハーバード大学で受け持った授業には、1学期あたり約1400名の学生(ハーバード大学全学生の約2割に相当)が殺到し、「ニューヨーク・タイムズ」紙、「ボストン・グローブ」紙など、メディアで大きく取り上げられた』とのことで、本書はその話題の授業のエッセンスがまとめられたもの。原書は、”Even Happier : A Gratitude Journal for Daily Joy and Lasting Fulfillment“.

内容は、ズバリ「幸せになる方法」について。成功は必ずしも幸せとは繋がらない。では、どうすれば幸せになれるのか?

「幸せになるコツ」についてはこちらを参照して頂くとして、本書では心理学や組織行動論等の様々な分野の研究成果をベースに、幸せになるための具体的な考え方、アプローチについて、より学術的かつ実践的に書かれています。

ユニークなのはその構成で、52講義(週)の小テーマに整理され、1週間単位で1テーマずつ取り組むと1年ですべてカバーできるようになっています。その中でも僕が特に共感したテーマを3つシェア。

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p.86 幸福というものは人生における客観的な出来事で決まるのではなく、出来事をどのように解釈するかという主観的な心の働きによって決まるもの。(中略)
悲しみやつらい感情に免疫がある人間はいません。しかし、どのような状況でもそこによい部分を見つけられる人たちがいます。彼らは他の人の成功を自分のことのように喜ぶことができますし、挫折をチャンスに変えるコツを知っています。(中略)
最高の出来事が起こるのではありません。起こった出来事を最高のものにできる人がいるのです。

同じような出来事に遭遇しても、その事実をどう捉えるかは人それぞれ。その捉え方によって、その人の心のありようやその後の人生の展開は大きく変化するものです。起きてしまったことは後で幾ら悔やんでも事実であり、過去は変えられません。でも、その事実に対する反応の仕方は自分で決められます。

長い人生、いつも順風満帆な訳はなく、誰にでも不遇な時は必ず訪れます。そのとき、その状況でどんな態度を取るかは自分次第。腐って他責にして愚痴るのか、置かれた場所で自分なりにやるべきことを積み上げていくか。その時々ではちょっとした心の持ちようの差ですが、その積み重ねは長い目で見ると大きな違いを生み出します。

p.89 「悲観論者はあらゆるチャンスに困難を見出す。楽観主義者はあらゆる困難にチャンスを見出す」(イギリス元首相 ウィンストン・チャーチル)

できない理由を見つけて並べて第三者的に評論するのは簡単だし、利口に見えがちなもの。リスクを理由に反対しておけば、後でうまくいかなかったときは「それみたことか!」と冷笑しつつ、当事者が何とか困難を克服してうまくいったときには「たまたま運が良かった」で片づけてしまえば良いから都合がいい。この手の評論家は何も利益を生み出さないばかりか、周りの足を引っ張る分だけ性質が悪い。

一方で、あえて困難な挑戦をする場合は失敗するリスクも高いけれど、うまくいった時の直接的な成果は大きく、何よりも当人がその過程で大きく成長できることが最大の成果と言えるでしょう。

まず思い切ってパンツを脱いでみる、そして居心地の良い環境からあえて一歩踏み出してみることで初めて得られるものがあります。企業でも家庭でも、そうした行動が取れるよう、そっと背中を押してあげられるような姿勢や場づくりを大切にしたいものです。

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親切な行動をする

p.82 親切な行動以上に「利己的」な行動はないと、私は考えています。日頃から親切な行動を心掛けていれば、その報酬として、幸せという「究極の通貨」をつねに得ることができます。幸福は尽きることのない無限の資源です。決められた配分はありませんし、ひとりの人間がいくら幸福を手に入れようとも、他の人の取り分が減るということはありません。(中略)
まわりの人と多くのものを分かちあい、他の人の人生に貢献すること以上に満足感を得られる行為はありません。それは私たちの持って生まれた性質なのです。その証拠に、誰かに手を差し伸べたとき、または誰かの人生にポジティブな変化を与えたときのことを思い出してください。物理的な見返りとは関係なく、与えるという行為そのものから生まれる満足感が限りなく大きいということに気が付くことでしょう。

「情けは人のためならず」とは良く言ったもので、世の中はきっとそういう風にできているのでしょう。

実は、親切な行動をすることよりも、もっとずっと簡単に幸せな気持ちになれる「利己的」な行動があります。それは、感謝すること。今から8年ほど前に、「同僚のちょっとしたことに対する感謝の気持ちを伝える仕組み」として経営に提言して制度化された「サンキューポイント」はその1つの実例です。

メールで「ありがとう」と書いて送る代わりに、ほんのひと手間かけてサンキューポータルサイトからサンキューポイントを贈る。ちょっとしたことですが、もらった本人は結構嬉しいものです。そして、贈った本人も幸せな気持ちになれます。残高や決められた配分もないので、1日に何度でも何人にでも感謝の気持ちを贈ることができます。

僕はこのシンプルだけれども人間の本質に根差した仕組みがもっと広く社内に浸透していくことで、少しでも日々の職場が潤いのある場になっていけばいいなぁと夢想しています。

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瞑想する

p.29 誰かのために思いやりのある行動をし、感謝されたときのことを思い出し、心の目でその人の反応を思い返してください。そして、その反応をしっかりと感じてください。それから、自分の感情をじっくりと味わい、幸福感が広がっていくのを感じてください。(中略)
次に、今後、人とのかかわりの中でできることを考えてみましょう。友人にアイディアを教えてあげることや、愛する人に花を贈ること、子どもに本を読んであげること、支援している団体に寄付すること・・・。そうした思いやりの行動がもたらす深い幸福感を体感してください。思いやりについて定期的に瞑想することは心と体の健康を増進し、私たちをさらに思いやりの深い人間にしてくれます。

p.113 ここ数十年の間、「マインドフルネス瞑想が心と体の健康にもたらす効用」についての研究報告を数多く目にします。「マインドフルネス」とは「自分がしていることを十分に理解し、判断や評価なしにいまの瞬間をできるかぎり受け入れるようにすること」です。(中略)
マインドフルネス瞑想は物事を受け入れる練習です。

先日に紹介した「スタンフォードの自分を変える教室」でも取り上げられていたのが、この瞑想。実際に行動するだけでなく、単に瞑想するだけでも人間は幸福感を実感できるもの。また、スポーツ選手がイメージトレーニングをするように、瞑想することを習慣化することで、なりたい自分に少しずつ近づいていくことができると言います。詳しくは、併せて紹介した「マインドフルネス 気づきの瞑想」をご覧ください。

ハーバードとスタンフォード、米国の東西を代表する一流大学で人気の授業で教えられていることは、学問的なアプローチこそ違えど、「自分を変えて人生をも変えていく」という共通のメッセージが込められていたのが印象的でした。ゆっくり噛みしめて、少しずつ自分のものにしていきたいものです。

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