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知的生産術

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読書メモ
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立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さんの「知的生産術」を読みました。

ライフネット生命時代から折に触れて出口さんの本を手にしてきましたが、本書も簡潔、明快なファクトとロジックで腹落ちするヒントが満載です。

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今の時代に必要な「生活の基本」とは?

p.44 サービス産業の時代は、脳をフル回転させて、斬新な発想やアイデアを生み出す必要があります。朝8時から夜10時まで長時間働いていては、脳が疲れてしまうだけです。アイデアやサービスといった無形のものを生み出すには、さまざまな経験を積んで、発想力や柔軟性を養うことが大切です。

 そのためには、生活の基本を「メシ・風呂・寝る」から「人・本・旅」に切り替える必要があると思います。仕事を早く終えて、人に会ったり、本を読んだり、ときには旅したりと、脳に刺激を与えないと、画期的なアイデアは生まれないでしょう。

今回のコロナ騒動で2ヶ月間に亘る完全テレワーク、在宅勤務を経験して得た気づきの1つは、通勤で失われている時間の大切さです。

僕の場合、通勤が不要となるだけで2時間以上の自由時間が増えました。また、裁量労働のため、会議さえなければ自由に休憩時間が取れることもポイント。

気分転換に少し外に出て散歩したり、時には20分だけ昼寝をすることで脳が休まり、ぐっと集中力が高まります。

また、どうしても残業が必要な場合でも、いったん家族と一緒に夕食を楽しんでから再び仕事に戻ることで生活のリズムが整い、仕事の質も高まることを実感しました。

テレワークで新たに得た2時間の自由時間で本を読んだり、観たかった映画を観たり、家族とゆっくり過ごしたりすることで、リフレッシュになり、また新たな刺激で脳も活性化します。

世間では緊急事態宣言が解除されて徐々にオフィスへの出勤率も高まってきていますが、今回の完全テレワークで実感したメリットを活かすべく、週の半分程度はテレワークを組み合わせた働き方を今後も志向したいと思っています。

Build Back Betterで、もうコロナ前の働き方には戻れませんし、戻るべきではないでしょう。

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古典には物事の原理原則が書いてある

p.50 古典は無条件に良書です。なぜなら、歴史、文学、哲学、思想、科学など、人間が探求してきたさまざまな分野の知の結晶として、何百年にもわたって読み継がれてきたからです。

 人間は、それぞれ能力も育った環境も違いますが、脳は1万年以上(動物の家畜化や植物の栽培化をはじめたドメスティケーション以降から)進化していないため、本質的な思考や行動様式は昔からほとんど変わっていません。長い間マーケットの洗礼を受け、多くの人に選び続けられてきた古典には、物事の原理原則が書かれているのだと思います。

若い頃は古典というと古臭いイメージで、何でいまさら昔の人が書いた文章を読む必要があるんだろう、程度にしか思っていませんでした。

しかし、毎年数え切れないほどの本が出版され、そのほとんど全ては重版されることもなく忘れ去られてしまう中、まさに「長い間マーケットの洗礼を受け」て読み継がれてきたという事実だけでもそこに大きな価値があると考えるべきでしょう。

古典の原著に当たるのは難しくても、様々な解説本が出ているので、まずはそこからエッセンスを感じ取るのも良いと思います。

例えば、同じ出口さんによる「中国古典に学ぶ世界最高のリーダー論「貞観政要」」がお薦めです。

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腹落ちするまで考えると、自己暗示がかかる

p.118 義務感が強すぎると、遊び心が消えてしまいます。責任感が強すぎると、「もっと頑張らなければいけない」などと、追い込まれてしまいます。ですが、それをしなければいけない理由に納得し、腹落ちしていれば、「好きだ」「嫌いだ」という以前に、「自分でやると決めたのだから、一所懸命やろう」とごく自然に思えるのではないでしょうか。

生きていく中で、時には自分の好きなことだけをやって生きてはいけないこともあります。

その時、「生きるためには仕方がないからやるほかない」と思って事に当たっても決して良い結果は得られないでしょう。そもそも「やらされ感」でこなしているようなレベルの仕事では大した成果は上がりません。

出口さんは、そんな時は義務感や責任感では辛くて長続きしない、大切なのは「腹落ち」と言います。このフレーズに僕もぐっと共感。

「なぜ自分がこんなことを…」と思うような境遇も自分の受け止め方次第で180度違った世界が見えてきます。

「人生で起こること すべて良きこと」の心境にはまだまだ辿り着けませんが、まずは起こった出来事を真正面から受け止めて、いま自分になぜこうした役割、事態が巡ってきたのか、今までの過去を振り返り、この出来事が今後の自分にとってどんな意味をもたらすだろうか、といったことに深く思いを馳せるのです。

すると、少し時間はかかっても、当初は思いが至らなかったポジティブな要素や意図、一見すると不幸な出来事でも見方によってはチャンスとも捉えられる側面が見えてきます。

ここまで腹を括って現実を受け止めることができると、同じ状況も全く違った心持ちで受け入れて前に進むことができるようになります。これが「諦め」とは違う、「腹落ち」です。

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考えは「言語」によって整理される

p.140 日記はそもそも「自分しか読まない」ことが前提なので、あまり整理されないまま書いてしまうことがよくあります。

 ですが、ツイッター、ブログ、フェイスブックなどのSNSは、「人が読む」ことが前提のツールです。そのため、「読んだ人にわかってもらおう」という意識が働いて、考えが整理されるようになります。

このブログは2004年にUCLAへMBA留学をしていた時に書き始めたのがきっかけで、気がついたら15年以上も続いています。

どんな内容でも良いので、週に1回は自分なりに感じたこと、考えたことをアウトプットすることを習慣化することで、何よりも自分が折に触れて読み返すことで大いに勇気づけられたり、考えさせられたり、助けられています。

また、出口さんの言うように、日記ではなくあえて公開する前提で書くことで、自分の頭の整理になります。ともするとインプット偏重になりがちな現代において、定期的にアウトプットする習慣は貴重です。

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サボる社員がいてもいい

p.204 組織としての生産性を上げるには、下位の2割の底上げを図るのではなく、上位2割にどんどん仕事を任せることです。(中略)

 すると、中位6割は、置いていかれまいとしてスピードを上げて歩き出し、残り2割も、姿が見えなくなると不安になって動き出します。

今から15年ほど前、社内SNSを立ち上げた時もこんな議論をしたことを思い出します。

今回の社内SNSの初期ターゲットとしては、図の左上に位置する「セクショナリズムが問題だと意識はしているがどうしていいかわからない層」(ざっくり全社員の1/4程度)を選定し、まずこうしたアンテナが高い社員を中心に利用してもらうことを想定してサイトのコンセプトやデザイン、機能を定義していきました。

そして、次のステップとして彼らが職場や個々人の人脈を通じてこの仕掛けを次第に口コミで左下の「セクショナリズムというものを意識することもなく組織に閉じがちな行動をとっている層」にも広げていってもらい、大きなうねりとなって社内に浸透させていく、というストーリーを立てました。

2006/5/28 Be the change you want to create.より抜粋
社内SNSの初期ターゲット選定と普及過程に関する仮説

いきなり集団の全体に均等に働きかけても効果は分散します。そんな時は、先頭集団を見出して、そこに集中的にアプローチすることで効果的に変化を起こす作戦が有効です。

p.205 2・6・2の法則を前提にすると、まず上司が考えるべきことは、「一所懸命仕事をする上位2割の部下を味方につけること」です。そして、中位6割のうち、半分くらいの部下から信頼を得ることができれば、全体の5割を押さえたことになります。

 集団のイニシアチブ(主導権)を取る上でまちがえやすいのは、「こんなに自分が頑張っているのに、なぜ部下はついてきてくれないのか」と考えることです。5割、6割の部下を押さえることができれば、それで十分だと思っていいでしょう。

この考え方で少し気持ちが楽になるリーダーも多いのでは。チームとして成果を上げていくためには、こうした力の配分が大切だと思います。

出口さんの本は平易な言葉で無駄がなく、でも本質を突いているのですっと腹に落ちてきます。僕が最初に出会ったのはこの本。こちらもお薦めです。

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ロサンゼルスMBA生活とその後