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1兆ドルコーチ

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読書メモ
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グーグルの会長兼CEOだったエリック・シュミットほかによる「1兆ドルコーチ」を読みました。

アメフトのコーチ出身でありながら、優秀なプロ経営者。ジョブズの師であると同時に、グーグル創業者たちをゼロから育て上げたコーチ。アマゾンのベゾスを救い、ツイッター、ユーチューブCEOらを鍛え、たった1人で、シリコンバレー中の企業に空前の成功をもたらした伝説のリーダー、ビル・キャンベル。これまで謎に包まれてきたその驚くべき教えのすべてがいま、初めて明らかに―。

Amazonより

スティーブ・ジョブズをはじめ、アマゾンのジェフ・ベゾスやグーグルのエリック・シュミット等、錚々たるテックビジネス界の経営トップが師事したというコーチ、ビル・キャンベルについてエリック・シュミットらがその教えについて綴った本です。

彼にまつわる様々なエピソードが書かれていますが、あえて一言で彼の凄さをまとめるならば、「同僚への愛」の深さ。家族に接するのと同じような愛情をもって自分のコーチする相手と向かい合い、関わり続けること。

ビルのようにはなれないとしても、経営者として、マネージャーとして、日々の意思決定や部下を育成する上で学ぶべきポイントが多数ありました。中でも次の3点をメモしておきます。

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円卓の「背後」に控える

p.92 ビルはそうした「アンサンブル※」の状態を好み、駆け引きのない環境が保たれるよう、つねに気を配っていた。経営トップがすべての決定を下すようでは、その正反対の環境になってしまう。なぜなら部下は自分のアイデアをマネジャーに認めさせることに終始するからだ。そうした環境では、最適解ではなく、最高権力者へのロビイングに長けた者、言い換えれば政治が勝利を収める。

※適材適所でリーダーたちが有機的に入れ替わり、適宜チームを率いていくこと。

p.92 最適解を得るには、すべての意見とアイデアを俎上に載せ、グループ全体で話し合うのがいちばんだ。正直に問題を公開し、とりわけ不満が出ているような場合には、率直な意見を述べる機会を全員に与える。

 その問題が特定の業務機能(マーケティングや財務など)に関わるものであれば、その分野に精通した人に議論をリードさせるし、複数の部門にまたがる幅広い決定なら、チームリーダーを議論の「オーナー」にして責任を持たせる。いずれにせよ、全員の意見を吸い上げることが肝心だ。

 全員に忌憚のない意見を促すために、ビルはミーティングの前にメンバー一人ひとりと膝を交えて、彼らの胸の内を知ろうとした。おかげでビルは問題をさまざまな視点から捉えられたし、なにより全員が、自分の見解を述べる準備ができた状態でミーティングに臨むことができた。ビルと事前に話すことで、全体で議論を交わす前に自分の意見をじっくり考え、話し合い、発表できる状態にあった。

重要な意思決定ほど、様々な観点から熟考した末に、総合的に判断して最適解を導き出すことが必要です。経営トップは最終的に決断することが求められますが、そこに至るまでのプロセスが重要。

会社の方向性を決めるような基本的、根源的な課題については、各部門の立場によって見解が異なることもよくあります。まずは、営業、マーケティング、製造・開発、財務、人事、法務など、各部門のヘッドに自らの専門分野から見た見解をファクトベースでチーム内できちんと検討させること。

その上で、部門ヘッド同士でディスカッションを重ねてもらい、彼らなりに最適解を検討してもらうことが重要です。その過程では、それぞれのヘッドと個別に話をして、ファクトとロジックを確認します。そして、立体的に状況を把握し検討した結果として、自分なりの仮説、見解を立てます。

この時に注意すべき点として、ある部門の偏った意見だけをベースに検討初期の段階で経営トップが特定の方針を表明してしまうと、上意下達の文化の強い組織ほど部下は経営トップの方針を忖度してしまうリスクがある、ということ。

いま取締役としてインドの企業の経営を見ていますが、この点は特に留意しています。

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「フリーフォーム」で話を聞く

p.141 ビルのリスニングは、たいてい山のような質問を伴った。ソクラテス式の対話だ。2016年の「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌の論文によれば、こうした質問の姿勢は、すぐれた聞き手になるために欠かせないという。「発見や洞察を促すような質問をしょっちゅうする人は、最高の聞き手だと相手に思われる」

「ビルに何をしろと指図されたことは一度もない」とベン・ホロウィッツは言う。「むしろ彼はどんどん質問を投げかけて、本当の問題に気づかせてくれた」(中略)

彼はむしろビルのように自分から多くの質問をして、相手の状況を多面的に理解しようとする。そうすることで、用意された質問(や答え)に囚われずに、問題の核心を明らかにすることができるのだ。

人は他人から何かを指図されると面白くないですが、自分で考えた結果であれば納得感があります。

議論をする際に、自分の意見をファクトで正しく示すことだけでは人は動かないことが多々あります。そんなときに大切なのは、意見を表明する代わりに、相手にうまく質問をすること。

課題の本質をとらえた質問であるほど、聞かれた側は自分なりに考え、回答するプロセスの中でそれまで自分だけでは思いつかなかった観点から課題を見つめて考えてみる機会を通じて、新たな論点に気づくことがあります。

もちろん同様に、自分の仮説を確かめるために本質的な問いかけを相手にぶつけてみて、その意見交換の中で新たな見方を発見し、より最適解に近づいていくことも。

単に意見を主張するだけでなく、質問を通じて思考を深めていくアプローチは立場が違うステークホルダーと議論する上でお互いに納得感を醸成していくために有効な手段だと思います。

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「ありのままの自分」をさらけだす

p.162 それでも、彼はつねに自分をさらけだし、教える相手にも同じことを求めた。全人格をかけて仕事をするほど偽りがない人は、同僚に敬意を持たれるし、同じことをする同僚をより高く評価するだろう。(中略)

シェリーはアフリカ系アメリカ人で、IBMでセールス担当として働きはじめたころ、そうした文化的背景を捨てて、身なりやふるまいを周囲に合わせようとしていた。ビルはそれを乗り越えるのを助けた。

「君がいちばん心地よく感じる格好をしろと、ビルは励ましてくれた。自分を偽ると、他人にもそれがわかる。なぜ偽っているのだろうと人は考え、それが不信感を生むのだと」

「ありのままの自分」をさらけだす
人はありのままの自分でいられるとき、そして全人格をかけて仕事をするとき、最もよい仕事ができる。

これらがビルのエグゼクティブコーチとしての成功を支えた要素であり、またビルに教えを受けた人たちが自分の同僚や部下をコーチするときに肝に銘じた要素だ。

まず信頼を築くことから始め、時間をかけてますます深めていく。コーチングを受け入れる姿勢のある、謙虚で好奇心旺盛な、生涯を通じて学び続ける意欲のある人だけをコーチする。そして相手の話に一心に耳を傾ける。たいていの場合、何をすべきかは指図せず、物語を語って聞かせ、そこから自分で結論を引き出させる。完璧に率直になり、相手にも同じことを求める。相手にとてつもない信頼を寄せ、高い目標を設け、勇気の伝道師になる。

これは仕事だけでなく、恋愛や友情も含めて、人との付き合いにおける大事なスタンスだと思います。信頼するに足る相手かを見極めることがまず大切ですが、いちど信じた相手に対しては自分の弱いところも含めてさらけ出し、その上で互いに弱点を補完し合いながらより良い方向へ導いていくこと。

時間がたてばメッキは自然と剥がれます。ならば、始めからオープンなスタンスで臨むほうが楽だし、結果的にも落ち着くべきところに落ち着くもの。換言すれば、「パンツを脱ぐ勇気」が肝心なんだと思います。

仕事をする上で忘れてはならない大切な姿勢に気づかせてくれる一冊です。

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ロサンゼルスMBA生活とその後 2019~
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