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スタンフォードの自分を変える教室と気づきの瞑想

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スタンフォード大学で最も優秀な教員に贈られるウォルター・J・ゴア賞を受賞したというKelly McGonigalの「スタンフォードの自分を変える教室」(The Willpower Instinct Based on a Wildly Popular Course at Stanford University)を読みました。

本書は、どうやったら強い意志を持って自分自身をコントロールできるかという誰もが気になるテーマを取り上げつつも、心理学、神経科学や経済学に至るまで様々な科学的な研究結果をベースとした具体的なアプローチ方法を多数紹介しているところが類似な本と違ってユニークです。その中でも特に印象的だったのが以下のフレーズ。

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本当に「自分だけ」で意思決定できているか?

p.301 私たちの脳は、驚くほど他の人たちの目標や、信念や、行動を、自分自身の決定に取り込んでいます。他の人たちと行動を共にしたり、あるいはその人たちのことを考えたりしただけで、その人たちは私たちの心のなかで「もうひとりの自分」と化し、自己コントロールに影響を及ぼします。

昔から「朱に交われば赤くなる」と言いますが、最新の脳科学でもこれが実証された格好です。進学する学校、就職する会社に始まり、付き合う友人や結婚相手に至るまで、人生の節目の決断によって様々な出会いがありますが、自分の周囲にどんな人がいるかは自分の選択の結果とも言えます。

自分としては自分だけの意志で決めたつもりになっていることでも、実はその多くは周囲の人々からの影響を多分に受けているようです。これからの人生、限られた時間をどんな仲間とどんな風に過ごしていくか改めて見つめ直してみることで、今後の人生はまた大きく変化していくのだと思います。

もう1点、新たな気づきだったのが、意志力が長続きしないのは性格的な問題というよりは意思決定を行う際の心身の状況に大きく依存しているということ。

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意志が長続きしない本当の理由

p.91 意志力のチャレンジが失敗しそうになると、私たちはそれをつい自分の性格のせいにしがちです。自分は弱いから、怠け者だから、意気地なしだから、と。けれども、たいていの場合は、たんに脳と体が自己コントロールに適さない状態にあるだけです。たとえば、慢性的なストレス状態にある場合は、意志力の問題に取り組もうとしても、前面に出てくるのは非常に衝動的な自己です。

p.206 ストレスは私たちをまちがった方向へ進ませ、思慮分別を失わせ、いたずらな本能のままに動かそうとします。(中略)
その結果、ほんとうは効果などないのに、原始的な脳が喜びへ至る道だと決めつけた作戦を、私たちは何度も繰り返すことになります。(中略)
のんびりしていたせいでプロジェクトのスケジュールが遅れ、すっかりあせった人たちが、そのことを考えたくないばかりに仕事をさらに先延ばしにしてしまったり。いずれの場合も、自己コントロールよりも気晴らしが優先されてしまうのです。

ドーパミンという脳内で作用する快楽物質がありますが、本書によると実はこのドーパミンの作用は「行動を起こすためのもので、幸福感をもたらすものではない」ことが様々な実験により証明されているそうです。換言すれば、ドーパミンは「喜び」そのものではなく、もっと良い結果が得られるかもしれないという「期待」をもたらす物質だったのです。

むしろやらない方がいいと理性では理解しているのに、ついずるずるとハマってしまうといったようなことは誰にでも経験があると思いますが、これは人類がもっと原始的な生活をしていた頃からの名残であるシステムに支配されてしまっているということ。こうした悪いサイクルを断ち切るために有効な手段として紹介されていることは実はとっても些細なことでした。

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意志力を高めるための簡単で効果的な方法

p.111 その他の研究でも、自制心を要する小さなこと(姿勢をよくする、毎日手が疲れるまでハンドグリップを握る、甘いものを減らす、出費を記録するなど)を継続して行った場合、意志力が全般的に強くなるという結果が出ています。

p.50 神経科学者の発見によれば、瞑想を行うようになると、脳が瞑想に慣れるだけでなく、注意力、集中力、ストレス管理、衝動の抑制、自己認識といった自己コントロールのさまざまなスキルが向上します。(中略)
定期的に瞑想を行う人の場合、前頭前皮質や自己認識のために役立つ領域の灰白質が増加するのです。

中でも最も簡単で効果が高いように思えたのが瞑想。人は瞑想することでストレスを軽減できるだけでなく意志力の向上に繋がる様々なスキルを磨くことができ、さらに瞑想を習慣化することによってあたかも筋トレで筋力アップできるように脳をより強化して自己コントロール能力を向上させることができると言います。

振り返ると、僕は昔から日頃の生活で特に忙しい時こそ、しばらく目を閉じて呼吸を整えることで気持ちを落ち着かせて、自分の直感、inner voiceに耳を傾けるようなことを意図的にすることがありますが、これも瞑想の一つの形と言えるかもしれません。

そこで、簡単な瞑想の方法や効果についてもう少し知りたくなって手にしたのが、Bhante Henepola Gunaratanaの「マインドフルネス 気づきの瞑想」(Mindfulness in Plain English)です。

本書はAmazonの紹介文によると、「マインドフルネス(ヴィパッサナー瞑想、気づきの瞑想)の実践入門書として、米国で出版以来20年以上にわたり読みつがれ、世界15カ国で翻訳されているロングセラー。

仏教の知識がなくともわかる平易な言葉で、ヴィパッサナーを実践するために必要な情報を余すところなく伝え、確かな評価を得ている。ラリー・ローゼンバーグ(『呼吸による癒し』著者)や、ジョン・カバット・ジン(マサチューセッツ大学医学部名誉教授)など多くの瞑想指導者、医師、実践者が絶賛してやまない名著」とのこと。

先に紹介した「スタンフォードの自分を変える教室」同様に、確かに非常にわかりやすい表現で繰り返し瞑想の基本について紹介されています。

■ひらめきが生まれる条件

p.49 ある日、問題が起きたとしましょう。(中略)
一見、絶対に解決できないような問題に見えます。(中略)
翌日、台所で食器を洗っているとき、ひたすら洗うことに集中していると、突然解決法が頭にパッと浮かんできます。心の深層部からパッと答えが現れて「あ、そうか!」と気づき、問題をうまく解決することができるのです。このような直観が湧いてくるのは、思考を問題からはずし、心の深層部に問題を解決させる機会を与えるときだけです。思考は問題解決の邪魔をします。

アルキメデスが風呂に入ったときに湯船から溢れる水をみた瞬間にアルキメデスの原理をひらめいたとか、リンゴの木からリンゴが落ちるのをみてニュートンが万有引力の法則を思いついたとか、そんな歴史的な大発見でなくても、ずっと気になっていた問題の解決方法がどんなに机に向かって思考を巡らせても思いつけなかったのにちょっとした瞬間にふとひらめくことはきっと誰でも何度か体験していると思います。意図的に思考から遠ざかることで直感は研ぎ澄まされるもの。

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反応を選択する姿勢

p.262 私たちはこれまで気づくのではなく、気づきの後に続いて起こる現象、いわゆる認識した対象に目を向け、認識し、ラベルを貼り、さらにはそれについて象徴的な思考を延々と回転させる癖を身につけてきました。

p.88 感覚の対象を観察するとき、通常やっている主観的な見方ではなく、認識のプロセスを観察するのです。対象が、自分の感覚や認識にたいしてどのような作用をするのかを観察します。生じた感覚と、その後に続いて起こる心の働きを観察します。その結果、心に生じる変化を観察するのです。(中略)
この比べ方を聞いたとき、最初は強引で不自然なように感じるかもしれません。(中略)
実践するにしたがって、この方法は私たちが普段やっている差に注目する自己中心的な方法と入れ替わります。やがて、こちらのほうが遥かに自然だということが感じられるでしょう。その結果、非常に理解力のある人間になり、他人の失敗を見ても腹を立てることがなくなります。そして、すべての生命と調和するほうへと進んでいくのです。

ちょっと抽象的でわかりにくかもしれませんが、起こってしまった事態はもうどうにも変えられないので事実としてまず受け入れたうえで、その事実に対してどう反応するかは自分次第ということ。感情レベルで反射的に反応してしまう前に、ひと呼吸を置いて、その事実に対して自分がどう認識してどう感じているかを客観的に見つめる訓練です。

これは本当に難しいのですが、日頃から意識することで少しずつ気づき、自分の反応を意識的に選択できるようになっていきます。人生は無数の意思決定の積み重ねである訳ですが、その根底をなしている日常のちょっとした1つ1つの意思決定が少しでも気づきに根ざしたものであればあるほど、より自然で、あるべき結果に行き着くものだと思います。

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気づくための訓練としての瞑想

p.149 私たちが目指しているのは、自分の認識世界で起こっていることすべてを、まさに起こっているとおり、起こった瞬間に、完全に気づくことです。これは非常に高い目標で、すぐにできることではありません。訓練が必要です。ですから最初は小さな単位から始めてみてください。一つの小さな単位として、息を吸うことに完全に気づくことから始めるのです。これに成功すれば、これまでとはまったく異なる新しい生き方のほうへ進んでいることになるのです。

p.147 ある一定の時間、瞑想がうまくできたときには、心地よい新鮮さを感じることでしょう。これは穏やかで、軽快で、喜びに満ちたエネルギーです。このエネルギーによって、私たちは日常生活の問題を解決することができます。これはそれ自体が瞑想から得られる大きな報酬なのです。

瞑想は非常に奥深い世界ですが、入口は極めてシンプル。本書で紹介されているような「呼吸に集中して気づく」ことから始めれば誰でも簡単にできます。僕はまだ初心者で日常的な習慣にもできていませんが、ちょっとした折に意識して呼吸に気づくように心がけています。

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深い気づきと私という感覚

p.312 ありのままに気づくことは、心の隅に雑然と隠れている混乱に秩序をもたらします。鋭い気づきの光を、秩序のない心の隅々まで行き届かせながら、明晰な理解をもって日々行動するとき、理性と穏やかさを保ち続ける能力がつくのです。そして、自分の心の苦しみは自分の責任である、ということを見始めます。自分の不幸、恐怖、ストレスの原因は自分にあることがわかり、また自分の苦しみ、弱さ、限界を引き起こしているのも自分である、ということを見るのです。こうした心のプロセスを深く理解すればするほど、縛られるものが少なくなるでしょう。

p.331 鋭い気づきをもって自分自身を凝視するとき、「私」や「私がいる」などの「私という感覚」は、その固体性を失い、分解してなくなります。そして智慧の瞑想の核である存在の三つの特徴ーー無常・苦・無我ーーがありありと家(心と身体の集合体)に現れるのです。(中略)
残っているものといえば、相互に関係し合う実体のない無数の現象のみです。それらは条件によって成り立ち、変化し続けているものです。欲は消え、重い荷物は降ろされます。抵抗も緊張もなくなり、苦も楽もない流れだけが残ります。心に大きな安らぎが現れます。つくられたものではない究極の幸福、涅槃(Nibbana)が実現するのです。

長い間に亘って伝承されてきた人類の知恵とも呼べる瞑想という技術。その奥深い世界の先にあるものは僕には全くわかりませんが、少なくとも長い歴史の中で受け継がれてきたものには何らかの普遍性や真実が込められていると僕は思っています。「青い鳥」のように、探し求めているものは案外、目の前にあるように思うのです。

※ハーバードの人生を変える授業はこちら。

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