読書メモいま思うこと

「片付け」は幸せな人生の出発点

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読書メモ
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近藤麻里恵さんの「人生がときめく片付けの魔法」、2011年11月時点で既に110万部を超えるベストセラーだそうです。

今まで「片付けコンサルタント」なる職業があることすら知りませんでしたが、この近藤さん、「幼稚園年長から「ESSE」や「オレンジページ」等の主婦雑誌を愛読。中学3年のとき、ベストセラー「捨てる!技術」を読んで開眼、本格的に片付け研究を始め、大学2年のとき、コンサルティング業務を開始」とのことで、生まれながらにしての片付けのプロフェッショナルです(彼女の子供時代の突拍子もないエピソードの数々は本書に満載です)。

「なんで片付け本がこんなに売れてるの?」と思っていましたが、父親の本棚でたまたま発見し、軽い気持ちで読んでみたところ、なるほど片付けって深い。本の後半は哲学というか思想というか、片付けは人の生き様に大きく関わる重要なタスクなんだということを理解しました。

片付けで人生を語る近藤さん、さすが物心ついた頃から趣味が片付けだっただけあって、その圧倒的な知識と経験から語れる言葉には説得力があります。

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心がときめくモノだけに囲まれた生活

p.64 心がときめくモノだけに囲まれた生活をイメージしてください。それこそ、あなたが手に入れたかった、理想の生活ではありませんか?心がときめくモノだけを残す。あとは全部、思いきって捨ててみる。すると、その瞬間から、これまでの人生がリセットされ、新たな人生がスタートするのです。

よくドラマに出てくるようなオシャレなリビングや書斎。あるいはマンションや住宅展示場のモデルルームも素敵です。

でも、何も高級な家具を揃えなくても、自分が本当にお気に入りのモノを厳選して、そうしたモノたちに囲まれて、愛情を持って長く大事に使っていくことができたら、日々の生活はどんなに素敵になることでしょう。頭ではわかっていても、回りを見渡せばいつ使うかわからないようなモノばかりが溢れかえって雑然としているのが現実。

ここで近藤さんが説くのは、「片付けるとは心がときめくモノだけを残して後は捨てる」ということ。

そうは言っても、まだ使えるモノを捨てるのはもったいない!と思うとなかなか捨てられません。僕はいわゆる「モノ持ち」がいい方で、学生時代に買った服を未だに捨てられないで持っていたりします。

でも、よくよく自分と向き合って、そのモノとの関係について1つ1つ振り返ってみると、実は本当に使っているモノはごくごく一部だという事実に気づきます。

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役割を終えたモノを捨てる

p.88 本当に大切なモノを大切にするために、役割を終えたモノを捨てるのです。
ですから、「モノをたくさん捨てる」のは、モノを粗末にしているということではありません。押し入れやタンスの奥にしまわれ、その存在すら忘れ去られてしまったモノたちがはたして大切にされているといえるでしょうか。

p.91 はじめにいってしまうと、片付けってそもそも楽しいのです。今まで無意識だった自分の持ちモノにあらためて向き合って自分の感覚を確かめて、役割が終わったモノには感謝してきちんと送り出してあげること。その過程はまさに自分の内面と向き合って棚卸しをする、生まれ変わりの儀式のようなものです。

p.253 今はもうときめかなくなったモノを捨てる。それは、モノにとっては新たな門出ともいえる儀式なのです。ぜひその門出を祝福してあげてください。モノは、手に入れたときだけでなく、捨てられるときにもいっそう輝くのだと、私は思います。

ときめくモノを見極めて大事に長く使うために、役割を終えたモノに対しても一度、1:1で正面から向き合って捨てる決断をする。本書では捨てるとありますが、物理的に捨てるだけでなく、ネットオークションに出品したり、リサイクルショップに持ち込んだり、あげます掲示板で近所の人に譲ったりできれば、もちろんそれもOKです。

大切なのは、自分が今までため込んできた膨大な数のモノ達と1つずつ向き合って自分で決断すること。それは過去と向き合うことでもあります。

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片付けることは自分の過去と向き合うこと

p.91 順番だけは必ず守ること。はじめに衣類、次に本類、書類、小物類、そして最後に想い出品。この順番通りにモノを減らしていくと、驚くほどスムーズに片付けを進めることができます。なぜなら、残すか捨てるかの判断がしやすく、カテゴリーがはっきりしているモノから整理したほうがラクだからです。

せっかくですので、僕もこの順番に従って自分の過去と向き合う覚悟をしました。まずは全てのクローゼットを開けて、冬物も夏物も全ての衣料を取り出して一箇所に集めて山を作りました。いつも衣替えで引き出しの中身を入れ替える程度でしたので、改めて自分の持っている衣服を全部並べてみるとその膨大な量に驚いてしまいました。

そして、1つずつ実際に手にとって「ときめくか」、自問自答を繰り返します。不思議なもので、本当にときめくものは触った瞬間にわかります。最初は「もったいない」意識が拭いきれず、ほとんど捨てるコーナーに移せません。

でも、実はもう何年も着ていないのに何となく捨てられないまま、ずっとクローゼットの奥底に眠っている服は結構あるもの。昔は好きだったモノも今はもうときめかないのなら、その気持ちに正直になることで過去と決別できるようになります。「もうこの服は十分に役目を果たしてくれたな」と思えると、心の中でありがとうを言って捨てる山に加えることができるようになります。

p.87 「ときめかないけど、捨てられない」モノに対しては、一つひとつ、その本当の役割を考えてあげること。すると、意外なほど多くのモノが、すでにお役目を終えていることに気づくはずです。モノが果たしてくれた役割にきちんと向き合い、感謝して手放してあげることで、初めてモノとの関係に「片をつける」ことができたといえます。そうして手元に残ったモノこそ、あなたが大切にするべきモノ。

最終的に捨てる決断ができた衣服たち、40リットルのゴミ袋2つ分
手元に残った、ときめく衣服たち、全て「立てて」収納するのがミソ

ちょうど夢の注文住宅プロジェクトに向けて引越の荷造りをするタイミングだったこともあり、約3週間かけて、服から本、書類、そして想い出の品まで行き着きました。1つ1つ、実際に手で触れて、そのモノとの出会いを思い返しながら自分の気持ちを確認していきます。

MBA留学で使った大量の教科書やケースの山は、いつか役に立つかも、と思って大事にとっておきましたが、帰国後6年が経過した今までほとんど見ることはありませんでした。実は、既にほとんどが僕にとって過去になっていることに気づき、sentimental valueが残っている想い出の教科書とケースだけを厳選し、あとは友人に譲ることに。

UCLAで格闘した教科書とケーススタディの山

When I packed things into boxes for moving, I found a lot of textbooks and business cases which I used at UCLA Anderson School of Management. Before I move to a new house, I will give them to someone who sincerely needs them to study management because I’ve already stocked all the contents in my brain. (^_-)-☆ If you need, send a message to me. I will give them for free if you pay only the shipping cost.

facebookで募ったところ、1時間もしないうちに希望者が何人かいたので、最初に手を挙げた友人に一式を差し上げました。結局、僕がクローゼットの奥底に追いやって日の目を見ないくらいなら、こうしてもっと必要としている人の手に渡り大事に使ってもらった方がモノも喜んでいるんだと思います。

p.170 たくさんのモノを抱え込んで捨てずに持っているからといって、モノを大事にしているわけではありません。むしろ、その逆です。自分がきちんと向き合える量に絞り込むことによって、モノと自分との関係がいきいきとしてくるのです。(中略)一つひとつのモノと真っ正面から向き合うことで、モノは私たちにいろんな感情をまざまざと呼び起こしてくれます。そのとき感じた、その感情は本物です。その感情こそが、これから生きていくエネルギーに転換されていくのです。
ときめくかどうか。心にたずねたときの、その感情を信じてください。その感情を信じて行動すると、本当に信じられないくらい、いろんなことがどんどんつながりはじめ、人生が劇的に変化していきます。まるで、人生に魔法がかかったかのように。

p.240 モノと向き合いながら捨てていくのは、はっきりいってつらい作業でもあります。その過程で、過去の自分のばかさ加減やくだらなさや至らなさを認めざるをえないからです。(中略)
それでも、ここにモノがあるという事実。それは過去に、他人ではなく、ほかならぬ自分自身が選択した結果、そこにモノが存在しているのです。(中略)
私は、モノを無意味にため込むことも、「とにかく何も考えずに捨てる」という考えにも反対。一つひとつのモノに向き合って、そこで出てきた感情を味わって初めて、モノとの関係が消化できると考えています。(中略)
モノを通して「過去に対する執着」と「未来に対する不安」に向き合うと、今自分にとって本当に大切なモノが見えるようになります。すると、自分の価値観がクリアになり、その後の人生の選択に迷いが少なくなるのです。

たかが片付け、されど片付け。書類の整理では、自分がいかに不要な書類の数々を大事にためこんでいたのかに気づきました。各種申込書類の控えや説明書類、明細類、名簿など、改めて見返してみると、ただ格納しているだけできっと死ぬまで見ることもないんだろうな、というものが大半。とりあえず箱に入れて新居に持っていくのは簡単なことですが、あえて全ての書類に目を通して、本当に必要なモノだけに厳選し、残りは全て破棄しました。

最後の難関は想い出の品々。しかし、これも改めて1つ1つ向き合うと、自然と「さよなら」できるものが大半でした。両親が大事に取っておいてくれた、僕が幼稚園や小学校で描いた絵や賞状など。息子と娘と一緒に一通り眺めながら、幾つかは写真に撮って、あとは手放すことに。古い写真たちも明らかにもう見ることもなさそうなモノは思いきって破棄しました。

こうしたプロセスを経て、それなりに時間はかかりましたが、まさに自分の人生をイチから振り返り、自分の価値観の変遷を確認しながら、恥ずかしい過去も思い出しながら、でもそうした積み重ねがあって今の自分があることを再認識することで、過去の様々な想いやしがらみから解放されていくのを感じました。

そして、これからの自分の人生を生きる上で本当に必要と思われるモノだけを絞込み、あとはスッパリ捨てる。こうして、ちゃんとモノ達と向き合い、会話したうえで、お礼とお別れを言うことで、まさに心身ともにふっと軽くなりました。

著者のコンマリさんは、モノだけでなく、その人が住む家にも話しかけます。家もモノと同様に声がけしながら大事に付き合っていこう、というのです。好きなモノだけに囲まれて生活するのが人生がときめく片付けの魔法なら、住む家そのものにもこだわり抜いてみたい。設計士と何度も会話する中で、自分たちが生活に求める価値観を見極め、そのライフスタイルを少しでも実現できるような理想の家をゼロからデザインしたのが今、まさに建築中の家です。

今回の引越を新たな人生のステージのスタートとして捉えて、これからまた一歩ずつ進んでいきます。

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ロサンゼルスMBA生活とその後