かつてはヤフオクのヘビーユーザーでしたが、メルカリを使い始めてからはすっかりメルカリ派になりました。
思わずブログのエントリーを起こしたほど。シンプルで使い勝手の良いアプリのUI/UXはとても素晴らしいです。
今まで何のトラブルもなく快適にサービスを利用してきましたが、先日、購買者に荷物を送付する際にやっかいなトラブルに巻き込まれてしまい大変でした。
結果的には僕が苦労しただけで相手には迷惑がかからなかったので良かったですが、ひとつ間違えば荷物が紛失しかねないトラブルでした。
一連の事故を通じて見えてきたのが、メルカリのカスタマーサポートと他サービスとの連携に関する課題です。
同様な事象に巻き込まれた人向けの参考に、またメルカリへの期待を込めたユーザーの声としてメモしておきます。
トラブル事象
娘の中学受験が無事に終わり、不要になった教材や学校案内パンフレット等をまとめてメルカリに出品したところ、すぐに購入して頂けました。
梱包が大変だったので「4~7日で発送」としていましたが、たまたま売れたのが日曜日の夕方だったのですぐに梱包し、その晩に発送しました。
発送はヤマト運輸の宅急便サービスである「らくらくメルカリ便」で、宅配ロッカーPUDOから実施。この宅配ロッカーは我が家のすぐそこに設置されており、荷物の受け取りだけでなく発送も可能です。
わざわざ最寄りのコンビニまで持って行かなくてもメルカリのアプリのQRコードをかざすことでロッカーのドアが空き、そこに荷物を入れるだけで発送手続きが完了。とても便利なので今までも数回利用していました。

トラブル発生の状況
寒い冬の夜、いつものようにロッカーに荷物を入れて扉を閉めた際、 通常なら最後の確認画面がロッカーの液晶画面に表示されるはずのところが、初期画面に戻っていました。
あれ?と思いつつ、メルカリのアプリで発送完了をタップすると「商品の発送を確認できませんでした。らくらくメルカリ便で発送をした後、発送通知をしてください」というエラー画面が表示されてしまいます。

つまり、肝心の荷物は宅配ロッカー内にあり鍵がかかった状態で、メルカリ上ではまだ発送されていないステータスのまま、という状況。利用者としてはどうしようもできない困った状況です。
トラブルに対する関係各社の一次対応
このサービスは、ユーザーフロントに立っているアプリを運営するメルカリ、実際に荷物を預かるサービスを提供する宅配ロッカー会社、そして荷物を運ぶヤマト運輸の3社が連携して提供するサービスです。
宅配ロッカー会社の対応
寒空の下、しばし呆然と佇むのみでしたが、とりあえずのアクションとして宅配ロッカーに書かれていた電話番号に連絡することに。
ところが、この宅配ロッカー会社の担当者は「荷物はヤマトが出し入れするので何もできない。トラブル発生時は利用者からメルカリに連絡してもらうルールのため、ヤマトにも連絡できない」の一点張りで一切の謝罪もなし。
たまたま担当者が外れだったのかもと思い、また電話してみましたが、しばらく待たされた挙げ句に同じオジサンが出て同じ説明をされるのみ。一義的には宅配ロッカーの挙動が悪いのが原因であるのにこの対応は、僕からすると最悪のユーザー体験でした。
ヤマトの対応
もはやこの宅配ロッカー業者と話しても埒が明かないと判断した僕は、ヤマト運輸ならそれなりの対応をしてくれるはずと思い、近所の集配センターを調べて電話しました。電話はコールセンターに繋がり、事情を説明すると、とりあえず近所の集配センターに連絡して折返し電話させる、とのこと。
ただ、メルカリの荷物は匿名発送のため、ロッカー内の荷物はただ梱包された状態のままで一切の伝票や差出人名も書かれていません。ヤマトの人が開けて取り出しても誰の荷物かはわかりません。
また、ロッカーは異常終了しているので、後から利用する人が開けてしまうリスクも想定されます。最悪シナリオは、大事な荷物が紛失してしまう事態です。
メルカリの対応
こういうトラブル発生時は電話ですぐに相談したいところですが、メルカリはユーザーサポートの電話はなく、アプリを通じて連絡するのみです。宅配ロッカー会社、ヤマトに電話した後、メルカリに本件をアプリから連絡しました。
ただ、日曜の夜ということもあり、不安なまま期待せずに連絡を待っていたところ、30分少々経過した時点でメルカリから返事がありました。
お問い合わせありがとうございます。
メルカリのユーザーサポートからの返答より
このたびは、メルカリのご利用に際し、ご不便をおかけし申し訳ございません。
本件について、事務局よりヤマトへ調査をさせていただきます。
大変お手数をおかけいたしますが、下記の情報を事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
・発送した宅配便ロッカーPUDOの場所:
・発送したボックスのサイズ(S/M/L):
・発送日時:
・荷姿(梱包に使用した資材の種類や外観・色など):
・商品の詳細(商品の種類や個数など具体的に):
いただいた情報をもとに、ヤマトへ状況を確認いたします。
何とぞよろしくお願いいたします。
さすがメルカリ!宅配ロッカー会社のオジサンによると、こうしたトラブルはたまに発生している、とのことでしたので、ユーザーサポートではテンプレート化された回答があったのだと思います。それにしても、為す術もなく途方に暮れていた僕にとってはこのメールは神対応でした。
写真も添付できる問い合わせフォームだったので、宅配ロッカーの写真も添付してすぐに返信。とりあえず少し安心できました。
トラブル解決までの道のり
ここまでがトラブルが発生した日曜日の夜の出来事。タイミングが悪いことに、この週は火曜日にお客様を100人ほど集めたイベントを企画しており、責任者として、また講演者の1人として終日ドタバタでした。
そんな中でヤマトから電話があり、荷物を取り出したのですぐに自宅まで再配達するとのこと。改めて発送のやり直しが必要ですが、とりあえず荷物の無事が最優先。やれやれこれで一件落着と思いきや、結局、月曜日は配達がありませんでした。
ヤマトの理不尽な要求と要領を得ないメルカリのユーザーサポート
火曜日になって、メルカリからこんな連絡が来ました。
ヤマトより下記の回答がございました。
メルカリのユーザーサポートからの返答より
内容:PUDOロッカーより商品回収し保管しております。らくらくメルカリ便以外の荷の可能性もあるため、ご依頼主様へ身分証明書持参のうえご来店頂きますようお願いいたします。
保管店:xxセンター
住所:xx
恐れ入りますが、ご確認のうえ引取の対応をお願いいたします。
ここで問題が2点。まず、そもそも宅配ロッカーの誤作動が原因で荷物が取り出せなくなったのに、この忙しい折、仕事から帰宅後の深夜に集配センターまで荷物を取りに来させるのは筋が違うのでは。
そして、致命的だったのは、メルカリからの連絡に記載された集配センターの住所が間違っていて存在しない住所だったこと。
本件についてヤマトと直接会話する手段がないので、上記の旨をメルカリのユーザーサポートに連絡しましたが、恐らく複数のオペレータがラウンドロビン方式で対応しているのか、一向に要領を得ない返答が数回続きました。
該当の商品は、ヤマトにて本人確認がおこなえないため、ご来店でのお引取りをお願いしておりました。今後、同様の事象が発生した際も、本件同様の対応をご案内する可能性がございます。
メルカリのユーザーサポートからの返答より
これ以上は時間の無駄と判断して、携帯電話の着信履歴を辿って、最初に電話がかかってきたヤマトの担当者に連絡して、上記の旨を伝えて交渉し、結果的に荷物を自宅まで再配達してもらうことに。
銀行の口座開設時の本人確認手段として郵送でキャッシュカードを送付するのは身分証明書の偽造を防ぐための一番確実な方法だからです。
それなのに「本人確認が必要だから」という理由で迷惑をかけた顧客に対して「営業所まで身分証明書を持って荷物を取りに来い」という対応は筋が通っていませんが、メルカリのユーザーサポートは終始、その一点張りでした。
メルカリのユーザーサポートの不誠実な対応
もう1点、メルカリのユーザーサポートが残念だったのが、購入者宛の連絡内容です。今回、商品を早々に発送したにもかかわらず、宅配ロッカーの不具合でトラブルに巻き込まれて荷物の発送が遅くなってしまうため、購入者の方向けにメルカリ事務局から本件について連絡しておいてもらえるようお願いしておいたのでした。
一連の対応でメルカリのユーザーサポートのレベルに不安を抱いたので、念のために購入者の方にメルカリ事務局からの連絡内容をシェアして頂きました。
いつもご利用いただきありがとうございます。下記の取引について、ご案内いたします。
商品ID: xx、商品名: xx
本取引のお荷物について、発送の際に不備があり、ヤマトにて宅配便ロッカーPUDOより商品の回収のうえ、出品者へ一度お戻ししております。出品者のお手元に返送商品が到着しましたら、再度商品を発送いただくようご連絡しております。お手数をおかけしますが、出品者のご対応をお待ちいただきますよう、よろしくお願いいたします。
メルカリのユーザーサポートから購入者への連絡より
メルカリのようなP to Pアプリでは個人間取引の評価内容が唯一の信頼情報として重要になりますが、「発送の際に不備があり」という表現は説明が非常に不十分であり、このままだと「発送者側の不備が原因」と読めます。
今回は明らかに宅配ロッカーの不具合が原因であるため、その旨をメルカリ事務局は購入者に対して誠実に説明するべきでした。
Lessons learned for Mercari
昨今では、全てを自社で賄うのではなく、自社以外のサービスを組み合わせて、早く、安く、柔軟に顧客向けサービスを提供することが求められています。ただし、継続的な収益を確保するために重要なのは、卓越したユーザー体験を提供することです。
メルカリは次の2点を学ぶべきです。まず、顧客の接点であるユーザーサポートのレベル向上。今回はメルカリの初動対応が非常に良かったのに後半がグタグタだったために結果として非常に残念な体験となりました。
P to Pサービスではユーザーサポートはコストセンターではなく顧客体験を高めるための重要な機能として優先的に投資するべきエリアと考えます。
もう1点は、ワンストップでサービス提供をする覚悟。ユーザーからするとメルカリのサービスを使っているのであり、パートナーである宅配ロッカー会社やヤマトとの対応をユーザーに意識させてはいけません。
パートナーの品質の悪さはメルカリの評判に直結します。「そこは私の管轄外」といったスタンスではなく、自らがサービス提供者として、パートナー会社の不備を背負ってユーザーに向き合うことが重要です。
複数回のメルカリ事務局とのやりとりの最後に僕が送ったメッセージです。
お返事ありがとうございました。ようやく理解可能なお返事が頂けました。
今回は購入者に送付する約束をした大切な荷物が貴社の提供するサービスの不備で取り出せなくなり、最悪は紛失するリスクがありました。顧客はメルカリのサービスを利用しているのであり、提携先の宅配ロッカー会社や運送会社の管理は貴社が一人称で責任を持って対応すべきものです。
日曜日の夜に遭遇した想定外のトラブルに非常に困惑しながら、宅配ロッカー会社やヤマトに連絡しましたが、貴社が情報を保有しているので貴社に連絡するようにと言われて連絡した次第です。
要領を得ない宅配ロッカー会社の対応で一番困っていた時、貴社との最初のやり取りは迅速かつ誠実な対応で、さすがメルカリ!と感動しました。しかし、その後の対応は時間がかかっただけでなく、事実関係の確認ミスや説明不足、不誠実な対応が続き、非常に残念でした。
こうしたトラブルの対応時に会社の真の実力が試されます。私は貴社の経営理念とサービスに共感し、ヘビーユーザーとしてファンを自認しており、IPOにも参加して貴社を応援しています。
カスタマーサービス部門の方には本件を共有頂き、より良い顧客体験の実現に向けて改善を期待しております。
後日談:最も簡単な解決策
ネットで色々と調べたところ、もし同様なトラブルに巻き込まれた時は、以下の手順で自力で荷物を取り戻せるようです。
- もう一度はじめから発送処理を行う
- 空いているロッカーの扉が開く
- 荷物が閉じ込められたロッカーの扉が開くまで繰り返す(PUDOでは荷物が閉じ込められたロッカーは未使用と認識されているため、何度かトライすれば扉は開く)
今の仕様である限りはこれが一番確実で安全な方法に思われます。
追記:このエントリーを書いた翌日に初めて訪問したコメダ珈琲店は素敵な顧客体験となりました。