読書メモグローバル仕事

パンツを脱ぐ勇気

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図書館で予約していたこの本を受け取りに行ったとき、こんな時に限って若いお姉さんがカウンターに。

「パンツを脱ぐ勇気」(児玉教仁)を指差しながら「この本で間違いありませんか?」と確認されて「間違いありません」と答えた時は結構勇気が要りました。

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バッファローウィングで全米No.1を目指す

この本、表紙を良く見ると一応「世界一”熱い”ハーバードMBA留学記」と小さく書いてあるとおりMBAの授業や課外活動の様子も臨場感あふれる描写で綴られていて興味深いのですが、実は本書の見所はMBAの一年目を終えた後の夏休みの出来事。

p.44 食文化という意味ではマックとスタバでくらいしか世界に貢献を果たさなかったアメリカ人が、唯一生み出した独創的で芸術的な食べ物、それが本場のバッファローウィングなのである。

このアメリカ生まれのKing of ジャンキーフード、バッファローウィングで全米No.1を目指すために、あえてサマーインターンシップもせずに夏休みを捧げた男の戦いの物語です。

なんでバッファローウィング?っていうか、バッファローウィングって何?というところから、全米No.1になれたとしてそれがどうした?といったあたりまで突っ込みどころ満載なのですが、それは児玉さんの生い立ちと切っても切れない伏線があるのです。

King of ジャンキーフード
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パンツを脱ぐという生き方

p.212 僕がつかんだアメリカや国際社会での生き方、それは、「パンツを脱ぐ」ということ。当然、物理的にパンツを脱ぐということではない。心にまとっているもの、自分を無意識に防御しているものをすべて脱いでとっぱらってしまうということだ。

自分の弱いところ、恥ずかしいところ、くだらないプライドをすべて脱ぎ捨てて、素の自分、自分の情熱を臆面もなくさらけ出してしまうということだ。結局、真実をさらし自分の価値観にのっとって生きているアメリカ人は、いい意味で日本の幼稚園児みたいなものだ。

このくだりには大いに共感。アメリカ西海岸の抜けるような青空の下、UCLAに通いながら陽気なアメリカ人に囲まれて生活するなかで、彼らの臆面もなく思ったことを何でも口にしてしまう、ある意味、潔い単純さがとっても新鮮でした。

逆に、場の空気を読むとか、相手の気持ちを察するとかいう部分は一般的な日本人が当たり前に思っている水準を期待しても全くダメ。まさに文化の違いを痛感しました。

日本のように大半が日本人によって構成され、日本語だけで生活できるようなハイコンテキストな社会とは正反対のアメリカ社会では、自分が何者かを強烈に意識して情報発信し続けない限り、誰も気づいてくれません。

特に世界中から競争意識の高い若者が集うビジネススクールでは、「大人しい日本人」ではサバイブできませんし、会社名や肩書など何の役にも立ちません。

30歳を過ぎて必死になって自分なりの強みを改めてゼロベースで見つめ直し、いかにして自分ならではのユニークさをアピールするか、それを武器にどうやって仲間に貢献して自分の価値を認めさせるか、という戦い。パンツを脱いでからが勝負です。

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パンツを脱ぐ尊さ

p.213 事実アメリカ人はパンツを脱いだ人間をバカにしなかった。情熱を真正面から受け止めてくれる熱い奴ら、それがアメリカという社会だった。すべてをさらしてぶつかっていく者をがっちりと受けとめるところだった。

まだ渡米した直後、英語もままならずに苦労していた頃に、スタディグループでレポートを作成してプレゼンする課題がありました。僕は”Pushing yourself out of comfort zone”を実践する絶好の機会と考えて、あえて英語が一番下手な自分がプレゼンをやりたいと願い出ました。

特にUCLAではグループワークが個人の成績に大きく影響することからチームメートからは「Kenyaで大丈夫か?」という声もあがりましたが、それよりも「そのチャレンジ精神が尊い」という結論に。

当日は徹底した準備の甲斐あってプレゼンは大成功。僕らのグループの発表の後、何人かのクラスメートがわざわざ僕の席までやって来て、Great job!などと声をかけてくれました。日本人ならそう思っても口に出す人は稀ですが、こうしたアメリカ人の素直な陽気さに助けられて、下手な英語でも何とかなると吹っ切れたものです。

もともと楽天家な性格だった僕は、UCLAで「あえてリスクを取って挑戦した奴は(例え失敗しても)ただ黙って座ってる奴よりずっと尊い」という価値観に何度も触れる中で、「悩んだらまずやってみる」というマインドセットが身につきました。

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今こそパンツを脱いで世界に出よう

帰国後すぐ、一般社員の立場で、経営会議で社内SNSを提案したり、副社長にM&A部隊の立ち上げを直訴したりといったアクションが自然と取れたのもアメリカで学んだLeadershipやEntreprenuershipのおかげだと思っています。

p.220 楽なんだ。何か自分で自分の役割をつくり出し、その型に自分をはめて生きていくことは。

常に自分の心の衝動をみつめそれに従って生きていくことは、現代社会では大変なことだ。それは労力も、そして勇気もいるし、リスクも背負うかもしれないのだ。

でも疲れるんだ。役割に支配された生き方は。楽なんだけど、その器が自分に合わなくなってもそれを続けていくとものすごく疲れるんだ。

会社における役職とは単なる役割の違いでしかなく、自分が自分なりの立場で考え、行動する。自分より役職が上だからといって、へつらうことなく、言うべきことがあればファクトとロジックと情熱を持って正面から言う。結局、最後は自分の人生なんだから自分でしか責任は取れない。だったらせめてハンドルは自分で握る。そういう生き方を貫きたい。

p.212 もともと情熱がみなぎる僕たち日本人は、しかし、その狭い国土で皆が円滑に生きていくために情熱を制御しているのかもしれない。ただ、下手をするとそれは硬い殻となって自分を縛ってしまうこともある。でも、パンツを脱いで、殻を捨て去り、生のままの情熱を解放してやれば、熱い血潮の煮えたぎる日本人こそ、どんな国でもどんな社会でも通用する。(中略)

弱いところも、情けないところも全部見せて生きていくことができれば、たいていのことは怖くないし、周りの人から受け入れられて、応援され、助けてもらい、結局自分が前に進みやすくなる。パンツを脱いで不退転の覚悟で進んでいけば、難しいゴールも突破できる。(中略)

もっと言うと、パンツを脱いだ生き方ほど楽なものはない。気取ったり着飾ったりする必要もまったくない。自分は自分。こんな自分なんだけどよろしく。

いいね!日本の経済再生は日本人がどれだけパンツを脱げるかにかかっています。日本人よ、今こそパンツを脱いで世界に出よう。

何だか僕が紹介した箇所だけ読むと堅苦しい人生論みたいに見えますが、実はこの本、全編を通じて笑いを堪えながら読む必要がありますので電車とかで読む時はご注意を。

そんな中で、父と子の絆、夫婦の絆、友人との絆などが要所で絡み合って不覚にも涙しました。

ある熱い男のひと夏の挑戦を通じて描かれるノンフィクションストーリー、MBAに興味がある人だけでなく、最近ちょっと元気のない全ての日本人にオススメしたい素敵な1冊です。

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