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アフターコロナの働き方(追記あり)

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いま思うこと
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COVID-19のピークを超えた欧米諸国では徐々に行動制限を解除し、経済回復を図る動きが見え始めてきました。

また、日本でも都道府県単位で緊急事態宣言の解除が実施され、今週末の感染者数の動向次第では首都圏の1都3県でも解除される方針とのこと。

緊急事態宣言が継続している東京など首都圏の1都3県と北海道について、政府は、感染者数の減少傾向などが続けば25日にも宣言を解除する方針です。全面的な解除の際には、社会経済活動の再開に向けた考え方を示し、各知事と連携しながら経済の回復を急ぎたい考えです。

2020/5/23 NHKニュースより

僕は4月始めから約2ヶ月間に亘って完全テレワーク、在宅勤務が続いています。

6月以降の勤務形態がどうなるのか、まだ方針は不明ですが、企業によってはアフターコロナを見据えて、コロナ前の状況にただ戻るのではなく、より良い形で働き方を見直す動き(BBB: Build Back Better)が見られるようになってきました。

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NTT

NTTグループ各社は、少なくともコロナウイルスのワクチンや治療薬が普及するまで、オフィス勤務者を中心に在宅率を5割以上にする方針。

NTTは6月以降も、在宅勤務を5割以上にする方針を決めた。国内のグループ約280社の間接部門を対象にする。新型コロナウイルスの緊急事態宣言は解除されたが、約18万人が働くNTTグループは在宅継続を契機に業務の棚卸しを進め、効率的な働き方を実現する。

持ち株会社のNTTが28日午後、各社の経営陣に方針を伝えた。現在、NTTグループの約6割の社員が在宅で勤務している。このうち6月以降も在宅の主な対象となる本社や支社のオフィス勤務者の在宅率は約9割で推移している。

今後は少なくともワクチンや治療薬が普及するまで、オフィス勤務者を中心に在宅率を5割以上にする。間接部門の多い持ち株会社や主要8社の本社勤務者だけでも約5万人に上るという。「コロナ終息後も、以前の働き方に戻すことはない。対面とリモートの業務を分け、仕事のやり方や働き方を大胆に変える」(NTT役員)

2020/5/28 日本経済新聞
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日立

日立ではコロナ収束後も週2~3日の在宅勤務を定着させる方針とのこと。また、自宅で勤務するための経費として月3,000円の手当を新設するそうです。

日立製作所は26日、新型コロナウイルスの終息後も在宅勤務を続け、週2~3日の出社でも効率的に働けるよう人事制度を見直すと発表した。国内で働く社員の約7割にあたる約2万3千人が対象だ。働きぶりが見えにくい在宅でも生産性が落ちないよう職務を明確にする「ジョブ型」雇用を本格的に導入し、勤務時間ではなく成果で評価する制度に移行。コロナ後の「ニューノーマル(新常態)」を見据えて多様な働き方を認める動きが広がりそうだ。(中略)

日立では在宅勤務の継続に向け、押印や会議のために出社する機会を減らすよう業務改革も進める。在宅勤務で増える光熱費や、出社時に着用するマスクの費用などとして、1人あたり月3千円を補助する制度も新設し、6月から支給する。

2020/5/26 日本経済新聞
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富士通

富士通は、緊急事態宣言が全面解除された後もオフィスへの出勤率を25%までに制限する方針を発表しました。

今後も恒常的に実施するのかは不明ですが、25%という水準は週に4日は在宅勤務ということであり、インドのTATAと同じ高水準です。

通は25日、緊急事態宣言が全面解除された後も、オフィスへの出勤率を最大25%に抑えると発表した。社員の出勤を必要最低限にとどめ、原則在宅勤務を継続する。顧客などとの対面での面談や打ち合わせについても、オンラインなどによる遠隔での実施を推奨する。

海外や国内の遠方への出張も原則禁止とするほか、会議やイベントの実施もウェブを最大限利用するとした。富士通の時田隆仁社長は同日「固定的なオフィスや通勤の在り方についても見直す。制度やプロセス、社内システムもオンラインでの業務を前提としたものに変えていく」と表明した。

2020/5/25 日本経済新聞
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IBM

IBMでは、以下のような基本方針を策定し、日本IBMもこれにならって徐々にオフィスでの業務を再開する方針とのこと。

・Wave 0:緊急事態宣言時の対応であり、各国政府の要請に応じて可能な限り出社しない

・Wave 1:緊急事態宣言解除後2カ月間の対応であり、必要最小限の社員のみ出社(日本はいわゆるソフトロックダウンのため、緊急事態宣言時も実質Wave 1で現在の対応を6~7月も継続。状況に応じて変更の可能性あり)

・Wave 2:緊急事態宣言解除後、3カ月目(日本では8月以降予定)からは、平常時に毎日出社していた社員は概ね週1~2回出社

・Wave 3:緊急事態宣言解除後、5カ月目(同10月以降予定)からは、平常時に毎日出社していた社員は概ね週2~3回出社

2020/5/22 ZDNet Japan記事より

ここではアフターコロナにおける恒久的な働き方については触れていないものの、日本では10月以降にWave 3「平常時に毎日出社していた社員は概ね週2~3回出社」とする方針です。

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Facebook

Facebookでは、今後10年ほどで米国の社員の半数はフルタイムでリモートワーク可能になる見込みであり、また現在シリコンバレーに集中しているオフィス環境を全米の大都市に分散させ、より多様な人材を確保する方針に転換するそうです。

Facebookの創業者でCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は新型コロナウイルス(COVID-19)危機が続く中で社員の生産性と安全性を両立させるため、シリコンバレー外の大都市に施設を建設することを計画している。(中略)

5月21日に同氏は、デンバー、ダラス、アトランタにFacebookの新しい拠点を設置すると述べた。またサンディエゴ、ポートランド、フィラデルフィア、ピッツバーグなど現在オフィスがある都市の周辺を対象にした新規採用に力を入れていくという。同氏は今後10年程度で米国カの社員の半数がフルタイムのリモートワークが可能になると考えている。

同氏はどのような職がリモートワークの対象となり得るかついても詳しく説明した。ハードウェア開発、データセンター運営、採用事業、利用約款策定、他企業との提携などの部門では、その場にいることが必要となるため、物理的なオフィスでの勤務が必要だろうという。

「大都市に住んでいる、あるいはそこに移住してもよいと考えている人々だけを採用の対象と考えていると、多様なコミュニティに属し多様な背景、多様な視点を持つ多くの人々を排除することになる」と同氏は述べた。

2020/5/22 TechCrunch記事より
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TCS (TATA Consultancy Services)

世界有数のIT企業、タタ・コンサルタンシー・サービシーズは、全世界で約45万人いる社員の在宅勤務の割合を現在の20%から2025年までに75%にまで上げる方針を打ち出しました。

Running up to 2025, TCS will ask a vast majority of 75% of its 4.48 lakh employees globally (including 3.5 lakh in India) to work from home, up from the industry average of 20% today. The new model called 25/25 will require far less office space than occupied today. “We don’t believe that we need more than 25% of our workforce at our facilities in order to be 100% productive,” says TCS’s chief operating officer NG Subramaniam.

2020/4/30 Business Today記事より

システム保守等でどうしてもオフィスに出勤しないと仕事ができない社員は25%程度とし、残りの75%の社員は在宅勤務でも現在の生産性を維持できる(ツールの活用により生産性は25%ほど上昇する見込み)と同社COOは話しています。

更に、同社CEOはアフターコロナは以前の働き方に戻るのではなく、新しい働き方に移行すると明言しています。

CEOによると、これは単に生産性やワークライフバランスだけの話ではなく、オフィスに社員が集まって仕事をするスタイルよりも在宅勤務を組み合わせた分散的な仕事のやり方の方がビジネスの継続性の観点からもより優れているからだ、とのこと。

But, will TCS go back to the current way of working post lockdown?

Gopinathan is clear that will not be the case. “We’re not going to go back to where we were,” he says.

He says it is not just about productivity and work life balance for employees but decentralising work also has several organisational benefits. He said, “It helps organisations become more resilient, because the fully distributed nature of this model is inherently less risky and better suited for business continuity and agility.”

2020/4/30 Business Today記事より

また、Florida International UniversityのRavi Gajendran教授は、優秀な人材を確保するために、こうした動きは同業他社であるInfosysやWiproといった企業も追随するだろうと話しています。

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在宅勤務の振り返り

こうした世界各国の動きや実際に2ヶ月間テレワークを続けてみて感じたことをメモ。

  1. 仕事自体がデジタル化しやすいIT企業が在宅勤務を先導
    • IT企業では在宅勤務に移行しやすい条件が揃っており、オフィスに毎日通勤するのが当たり前、という働き方はアフターコロナで大きく変わる可能性あり。
    • 例)NTTデータの概況
      • 基本的にすべての資料はデジタル化されてサーバー上にある
      • 大半の意思決定は押印不要で電子稟議化
      • オフィスのPCは既にシンクライアント化
      • オンライン会議等の仕組みの使い分け(Teams, Webex, Zoom等)
  2. 在宅勤務の利点
    • 通勤が不要(自由時間の増加、無駄な心身疲労なし)
    • 家族と一緒に過ごす時間が増える(特に夕食前後)
    • (自宅に環境が整っていれば)オフィスよりも集中して作業できる
    • 裁量労働と組み合わせることで意識的に休憩時間を設けて心身リフレッシュしやすい
  3. 在宅勤務の欠点
    • オフィスで自然と耳に入ってくる情報が入ってこない
      • 同僚の会話から無意識に得ていた仕事の状況
      • メールや電話するまでもない、ちょっとした会話(あの件、どんな感じ?)
    • 運動不足
      • 通勤やビル勤務で結構歩いていたことを実感
      • 気づくと何時間も座ったままの姿勢が続く
    • 気が滅入りがち
      • 机に向かってPCに向かう時間が大半で、人との会話が少なくなる
  4. 在宅勤務の工夫
    • ITツールを目的に応じてうまく使い分けてコミュニケーション不足を補完する
      • 電話
        • 急ぎ確認したい要件がある時のみ
      • オンライン会議
        • 電話の代わりに1:1の会話もTeamsやWebexですることが増えた
        • 通信コスト削減の意識もあるが、互いにPC画面を共有しながら話すことで仕事の効率が上がる実感あり
      • メール
        • 証跡を残したい要件
        • 特定の複数人に添付ファイルをシェアしたい要件
      • オンラインチャット
        • 電話やメールするまでもない、急ぎでなく、単発的な要件
      • オフィス勤務時は対面コミュニケーションが大半だったが、在宅勤務では電話やメールに加えてオンライン会議やチャットを意図して使い分けることでコミュニケーション不足を補う意識が大切
    • 意識して運動や気分転換する機会を作る
      • 5分で良いので自宅の周りを散歩する
      • オンラインピラティス
      • ドラクエウォークから今さらポケモンGoへ(娘とのコミュニケーションツール)
      • 夕食の買い物、料理、食器洗い、風呂掃除
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新しい働き方への進化

僕の勤務する会社のある海外グループ会社では、コロナを契機に今の半分程度のオフィスへの移転を計画中。

今回の在宅勤務でも十分に仕事が進められた経験から、オフィス移転を機にして今までの仕事のやり方を見直し、テレワークを前提に組み込んだ働き方を検討しています。

コスト面では短期的には社員に新たにラップトップPCを購入したり、サーバーやNWインフラへの投資が必要ですが、中長期的に見ればオフィス使用料が大幅に減らせるためコスト削減効果は大きい見込み。

また、同時に裁量労働的な仕組みを導入することで、より多様な働き方のオプションを社員に提供できるようになります。

振り返れば、頑なに守られてきたスーツ文化、特に湿度が高く不快な日本の猛暑日でもネクタイ、スーツが当たり前だったのが、東日本大震災後の節電をきっかけにクールビズが定着しました。

今になって思えば、何かの罰ゲームかのようでしたが、あれと同様に、東京の朝の通勤ラッシュも懐かしい笑い話になる日が来るかもしれません。

アフターコロナでは、普通の社員でも週に1,2日はテレワークが恒常化したり、育児や介護等のライフイベントに応じて在宅勤務を一時的に選択したり、地方から完全リモートで仕事をする社員が出てきたり、企業側はより柔軟な働き方を認めることで有能な人材を惹きつけることが一般化していくのでは。

働き方改革はコロナから学ぶべき行動変革のほんの一例ですが、今回の経験から得た気づきを踏まえて、自分のできる範囲からより良い社会を作っていく取り組みを始めたいと思います。

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