読書メモ土偶を読む

「土偶を読む」と死に山、星を継ぐもの、サピエンス全史

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読書メモ
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最近読んだ本の中から面白かった本を3冊ご紹介します。

特に、土偶のモチーフに関する新説で評判の「土偶を読む」を読んだ方には、一見何の関連もなさそうなタイトルですが意外な共通点があって併せて読むと面白さが倍増するのでぜひどうぞ。

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死に山(ドニー・アイカー)

このあらすじを読んだだけでも興味が湧いてくるはず。

世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》──その全貌と真相を描く衝撃のノンフィクション!

1959年、冷戦下のソ連・ウラル山脈で起きた遭難事故。登山チーム九名はテントから一キロ半ほども離れた場所で、この世のものとは思えない凄惨な死に様で発見された。

氷点下の中で衣服をろくに着けておらず、全員が靴を履いていない。三人は頭蓋骨折などの重傷、女性メンバーの一人は舌を喪失。遺体の着衣からは異常な濃度の放射線が検出された。

最終報告書は「未知の不可抗力によって死亡」と語るのみ――。地元住民に「死に山」と名づけられ、事件から50年を経てもなおインターネットを席巻、われわれを翻弄しつづけるこの事件に、アメリカ人ドキュメンタリー映画作家が挑む。彼が到達した驚くべき結末とは…!

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SFのようなストーリーですが実話です。

宇宙人による仕業では?という説まで様々な解釈がなされたものの決定打がないまま闇に葬り去られそうになっていた事件の謎に門外漢のアメリカ人ジャーナリストが挑み、過去の仮説を1つずつ却下していきながら、最後に今まで誰も思いつかなかった観点から新たな仮説を立てて見事に解き明かしていきます。

「土偶を読む」とは全くジャンルが違うようでいて、以下のような点で共通点も多数あります。

  • ミステリー小説を読むような謎解きの展開
  • 専門家でない人が大胆な仮説を立てて立証
  • 頭だけで考えるのではなく現地に赴いて実施したフィールドワークがブレークスルーに
  • 多くの仲間に出会い、助けてもらった

あまりに奇怪であり、永遠に謎のままかと思えていたこの事件を著者はどのように推理し、謎解きをしたのか?「土偶を読む」にも通じるAha!体験がきっとできるはずの1冊です。

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星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン)

現代ハードSFの巨匠と言われるジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作。創元SF文庫の中でAmazon1位、729個の評価で★4.4という、とんでもない作品です。

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。

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何と1980年の作品ですが、いま読んでも古めかしさを感じさせない世界観と謎解きの面白さです。

「月面から宇宙服を着た5万年前の人間の死体が発見された」という、突拍子もない謎から始まるこのストーリーは、地球の科学者から様々な仮説が提示されるものの、新たに明らかにされる数々の事象を説明できるような決め手がないまま謎が謎を呼ぶ展開に。

p.214 どの説が正しいか、どの論が誤りか、判断しようとするのは問題の本質を見失うことであろう。迷路のどこか一点、おそらくはあまりにも初歩的であるがゆえに誰も顧みようとしないところに、決定的な誤りがあるに違いない。あまりにも他愛のないことであるために、却って誰もが自分で犯していることに気付かぬ誤り。もし、彼らが初心に帰ってその一点の誤りを突き止めるならば、矛盾は雲散霧消して、対立する議論は何の抵抗もなく、円満に統一されるのではなかろうか。

星を継ぐもの

先の「死に山」も、「土偶を読む」もそうですが、従来の発想にはなかった新しい視点から大胆な仮説が提示されることにより、それまで謎とされてきた事象が全く違った輪郭で浮かび上がる様は感動的です。

そして、こうした仮説は往々にして「灯台下暗し」のような、あまりに当たり前過ぎて誰も疑わなかったような「事実」に目を向けて、実は「事実」だと思っていたことは大きな前提が置かれた「思い込み」だったのではないか、という発想から生まれるもの。

相対性理論をベースとした壮大な時間軸や太陽系を超えた空間的な広がりが、続編の「ガニメデの優しい巨人」、「巨人たちの星」、「内なる宇宙」にてますますスケールを増していく様子は、話題のSF小説「三体」のベースになっているのではと感じます。

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サピエンス全史( ユヴァル・ノア・ハラリ )

イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリが「なぜホモ・サピエンスだけが繁栄したのか?」という謎に対して、国家、貨幣、企業といった「虚構」が文明をもたらしたとする大胆な仮説で答える本。

なぜ我々はこのような世界に生きているのか?
ホモ・サピエンスの歴史を俯瞰することで現代世界を鋭く抉る世界的ベストセラー!

「歴史と現代世界の最大の問題に取り組んだ書」
──ジャレド・ダイアモンド

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「虚構」というキーワードで人類の本質に迫る本書ですが、さすがの著者も縄文人のような狩猟採集民の精神性についてはお手上げの様子です。

p.77 太古の霊性の具体的な点を記述しようとする試みはすべて、不確実極まりない。頼りになる証拠はほぼ皆無で、かろうじて手元にある証拠(一握りの人工遺物と洞窟壁画)は無数の解釈が可能だからだ。狩猟採集民がどう感じていたかを知っていると主張する学者の説からは、石器時代の宗教よりも、学者自身の偏見がはっきり浮かび上がってくる。

わずかな数の墳墓の遺物や洞窟壁画、骨製の小彫像から誇大な説を打ち立てるよりも、古代の狩猟採集民の宗教については曖昧極まりない認識しか持っていないことを正直に認めたほうがいいだろう。彼らはアニミズムの信奉者だったとは思うが、そこからわかることはあまりない。彼らがどの霊に祈っていたのかや、どのような祝祭を催していたのか、あるいは、どのようなタブーを遵守していたのかはわからない。そしてこれが肝心だが、彼らがどのような物語を語っていたかを私たちは知らない。これは人類史の理解に空いた最大級の穴と言えるだろう。

サピエンス全史

まさにこの「人類史の理解に空いた最大級の穴」に対して、「土偶」という世界的に見ても類を見ないユニークな遺物を手がかりとして謎の解明に挑もうとしているのが「土偶を読む」です。

特に次回作では、「土偶の原義とは植物栽培に伴う呪術に用いられていたのではないか」との仮説をベースに狩猟採集民である縄文人の精神性について考察されるそう。縄文人が語っていた物語の一端を解き明かすことができれば、世界的にも非常に価値のある研究になることでしょう。

また、人類の起源やホモサピエンスの本質に迫る本書は、先に紹介した「星を継ぐもの」の謎解きにも見事に符合する解説となっており、併せて読むと理解が深まります。

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