読書メモ親バカ

東大生となった君へ

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読書メモ
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息子の大学受験が終わりました。

硬式テニスを存分にやりたいという動機でテニスコートが5面ある中高一貫校に進学し、テニス部とスクールでテニス三昧の日々。

高2の冬でテニス部を完全引退してからようやく勉強を始めて1年間、それまでテニスにかけていた情熱を全て受験勉強に注いでいました。

大学受験に関して僕が唯一、彼に言ってきたことは「浪人なし」ということだけ。

「今どき、どこの大学を出たかなんてほとんど関係ない。それよりも、与えられた環境で自分が何をやるかの勝負だ。偏差値の高い大学に行くために浪人して受験勉強だけやるなんて時間がもったいない。偏差値に関わらず私立含めて合格した中で自分が一番行きたい大学に行かせてあげるから、現役合格を前提に準備しなさい」と彼が中学生の頃から一貫して言い続けました。

受験勉強に着手した高2の冬から受験本番までの1年間の道のりと、滑り止め校2つ、妥当な大学2つ、そしてチャレンジ校1つの合計5校にトライした結果までを振り返っておきます。

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高2の冬:部活完全引退~受験勉強の開始

LAに住んでいた3歳の時からテニスを始めて、小6の時には所属するメガロステニススクールの全国大会で準優勝。

中3の時には1ヶ月間、オーストラリアにホームステイしながらブリスベンのテニスアカデミーにテニス留学も経験しました。

その後も高校テニス部でシングルスNo.1選手として活躍し、高2の冬までテニスに打ち込んでいました。最後の公式戦では4回戦で予選ブロックのシード選手を逆転で破ってブロック優勝決定戦まで進出し、これに勝てばブロック優勝、横浜ベスト32選手入りでしたが、残念ながらここで敗退でした。

高校生活最後の公式戦

この試合を機にあれほど好きだったテニスをきっぱり辞めました。受験勉強ばかりだと気が滅入ってしまうのでテニススクールだけは気分転換のために続けることを勧めましたが、本人は勉強に集中したいとのことでテニスは封印することに。

彼が中学受験をしていた小6の頃にも同じように勉強漬けを心配して色々と声がけをしていたところ、「僕に勉強するなと言わないでください」というメモをもらったことを思い出しました。

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高3の春:塾に通いたい、でも授業は取らない?

高2までテニス中心の生活で塾にも通っていなかったので、さすがに高3からは予備校に入ってしっかりリカバリーする必要があると思っていましたが、本人は「自分で自習した方が効率が良いので塾は必要ない」と言うのでビックリしました。その代わりに「自習室を使うために予備校に入学金だけ支払って欲しい」とのこと。

始めはサッパリ意味が分かりませんでしたが、彼の話を聞くと、大手の予備校は大学進学実績を確保するために、進学校に通う高校生を対象として入学金、担任指導費、模試費の実費のみ(6万円ほど)を支払えば、自習室が自由に使える上に通常の授業を40コマ分、数十万円相当をプレゼントする特待生制度があるそう。

僕からすると、せっかく大手予備校の授業をたくさん受けられるのにもったいない!と思ってしまいますが、結局、受験が終わるまでこの予備校の授業は1コマも取らずに自習室を使っただけでした。

高校の授業が終わってから塾の自習室に移動し、そのまま夕食を取らずに自習室が閉まる22時まで毎晩ひたすら自習して、20分ほど歩いて帰宅。学校のある日も週末も含めてほぼ毎日、受験の日まで自習室に通う日々が1年ほど続きました。

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高3の夏:遂に学年2位!(スポーツテスト)

こうして後れ馳せながら受験勉強をスタートさせた息子ですが、高1の時は4位、高2では3位だった夏のスポーツテストで遂に学年2位まで上り詰めました。

ここまで来れば体力は十分。特に立ち幅跳びは高2に続いて学年1位だったので、この跳躍力で学業の方も一気にジャンプアップに期待したいところ。

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高3の秋:中学受験の娘と切磋琢磨

基本的に自習室に籠もって勉強する毎日ですが、たまに気分転換で自宅で勉強することも。また、自分の部屋から出てきて、ダイニングの片隅にあるスタディーコーナーで6歳下の妹と並んで問題と格闘する姿も見られました。お父さんとしては、何とも微笑ましい瞬間です。

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高3の冬:いよいよ受験本番

あっという間に2019年に入り、まずは1/19-20でセンター試験が始まりました。また、2/1からは娘の中学受験も始まり、我が家は一気に臨戦態勢に突入。

センター試験

凡ミスをしてしまい、あと30-40点は取れたはず、とのこと。1月に入ってから勉強に着手して集中的にやっつけたという日本史が98点というのは驚き。

第一陣:センター受験校(滑り止め)

センター試験の自己採点結果を踏まえて、センター試験の点数だけで受験できる大学の中から東京理科大学と早稲田大学(政治経済学部)を滑り止めで出願。

ともに無事に合格したものの、併せて受験した慶應義塾大学と早稲田大学の理工学部の方が志望度が高く、その結果待ちの間に第一陣受験校の入学金(デポジット)の支払期限がやってきます。大学側も早慶理系との併願者を想定したスケジュール設定なんでしょう。

もし、「早慶どちらかに確実に合格している自信があるから滑り止め2校のデポジットは不要」というならデポジットの半額をお小遣いとしてあげる、という条件を出したところ、本人は直前まで悩みつつも我が家は 「浪人はなし」が条件なのでやはり確実に抑えておきたい、ということに。

東京理科大学と早稲田大学(政治経済学部)を比較すると理系志望なので理科大とのことで、デポジット30万円を支払いました。大金ですが、受験における滑り止めとはそういうものと割り切るほかありません。

第二陣:早慶

自己採点では、慶應は例年の合格最低点よりも20-30点は上回ってそう、早稲田はいい勝負、とのこと。結果的には両校ともに無事合格でした。

ここでまた課題になるのがデポジット。本命の国立大学の合格発表は3/10で、早慶ともにその前にデポジットの支払期限が設定されています。息子曰く、「家から近いので慶應」を選択。次の滑り止めとしてデポジットで更に20万円…。後は国立大学の合格発表を待つのみ。

第三陣:理科一類

二次試験の感触は例年のボーダーラインよりも少し上くらいとのこと。2/25-26に受験を終えてから3/10の合格発表までの間は、受験をやり切った開放感からテニス部の仲間と一緒にテニスしたり、高校の自習室で友達とボードゲームをしたりと終日遊び三昧の日々。そして迎えた3/10(日)は昼の12時に合格発表でした。

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3/10 合格発表当日にトラブル発生!

JAL国際線のWIFIが繋がらない

合格発表まであと1時間

ずっと気になっていた合格発表ですが、実はこんな大切な日に限ってどうしても外せない海外出張が入ってしまい、日曜日だと言うのに前泊入り移動日になってしまいました。

しかも、ツイてないことに、昼の12時に合格発表のところ、11:30羽田発のフライトという不運。駐機場の混雑により少し離陸が遅れましたが、非情にも11:45頃に離陸しネットが繋がらなくなりました。あともうちょっとだけ時間があれば結果がネットで見られたのに…!

非情にも合格発表の直前に離陸

しかし、今どきのJAL国際線はWIFIがあります。すぐに接続を試みましたが、こんな時に限って機内WIFIが不調でずっと繋がらず。

日本海側に入った途端に雪景色。WIFIは一向に繋がらず。

初めは僕のスマホが原因かと思いましたが、iPhoneとAndroidのどちらの端末も同じエラーで接続できませんでした。気づくと日本列島を超えて日本海、そしてシベリアへ。

到着まではまだ10時間以上。とても寝られる心持ちではなく、数時間に亘って何度も端末を再起動したり設定を変えたりと手を尽くしましたが一向に回復する気配がないため、仕方なくCAさんに事情を話して相談してみました。CAさんによると一部のお客様はWIFIに接続できているとのことで原因は不明のまま。

CAさんの神対応

ヤキモキしたまま何も手に付かない状態で困り果てていたところ、CAさんが上司に特別に許可を取ってくれたとのことで、CAさんの見ている前に限り乗務員iPadを特別に貸して頂けることに。

そこで、機内の中ほどにあるキッチンスペースで立ったまま、CAさんが見守る中でiPadを操作して合格発表のページへ。

運命のPDF

一応接続できたものの、速度が遅く、なかなかPDFが開きません。永遠のように長く感じる時間。自分の合格発表よりも緊張しました。そして、ようやく受験番号の一覧が表示。

真っ暗な中、iPadのバックライトで手元の受験番号のメモと何度か繰り返して照合し、確かにシベリア上空で息子の受験番号を確認!機転を利かせてくれたCAさんもお子さんが来年に大学を受験予定とのことで、一緒に喜んでくれました。

着陸前にはお世話になったCAの方が2名で座席まで来られて、息子への合格祝いとしてファーストクラス用のパジャマのサプライズプレゼントも。JALも粋なことをしてくれますね。

CAに頂いたプレゼント
袋の中には手書きのお手紙も

また、最後に白ジャケットのチーフCAの方が挨拶に来られて、改めてお祝いの言葉と「ぜひご子息様にもJALをご利用頂けますように」としっかり宣伝頂きました。

ヒースロー空港に到着し、ようやくスマホがネットに接続できた瞬間、息子の合格を巡るLINEの着信メッセージが続々と表示されました。機内WIFIで確認すると言っていたのにいつまで経っても「既読」がつかないので家族も心配していた様子。

ちなみに、彼女はウェブで合格を確かめた後にキャンパスまで行って息子と一緒に掲示板で記念撮影ししたそう(娘は塾の受験お疲れ様イベントで奈良へ旅行中)。僕も一緒に行きたかったなあ。

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予備校に通わずに現役合格できた理由

英語のアドバンテージ

息子は2歳~4歳の時に僕のMBA留学に合わせて米国に引っ越して、ロサンゼルスの現地のプレスクール(保育園)に通っていました。渡米直後は英語が分からずにプレスクールで1週間泣き続けて入園を断られたことも。

言葉が通じない外国人のコミュニティに放り込まれて子供ながらに辛い思いをしたことでしょう。でも、子供の吸収力、対応力は凄いもので、いったん慣れてしまうとグングンと英語が話せるように。リスニングはもちろんですが、スピーキングも耳から聞こえた音を素直に真似るのでネイティブ並みの発音で流暢に話していました。

課題は帰国後の環境づくり。実は僕も父の転勤で息子と同じ2歳~4歳はロンドンで暮らし、現地のプレスクールに通い、英語を普通に話していたそうです。ただ、当時は今ほど子供が英語に触れられる環境はなかったのですぐに英語を忘れてしまいました。中1でABCから勉強する羽目になり、特に得意意識もないまま苦労して英語を勉強しました。

そんな実体験があったので、息子には何とかして英語をアドバンテージにしてあげたいと思い、帰国後も外国人の先生がいる帰国子女向けの幼稚園に週に何度か通わせたり、小学生になってからはアメリカ人の大学生に週に1回自宅まで来てもらって英語の会話をする機会を設けたり、とできる限り英語力をキープできる環境づくりに投資しました。

結果的に小1で児童英検ゴールド満点、小2で英検3級に合格。それ以降は特に英語に関しては何もしませんでしたが、中高生になってもリスニングだけは得意で大学受験でも満点が取れる力がキープできたのは大きなアドバンテージになったと思います。

充実した学校の授業

中高一貫校のメリットとして、大学受験を視野に入れたカリキュラムがあります。息子の学校では、高2までにほぼ全てのカリキュラムを終えてしまい、高3は受験を意識した過去問での演習中心の授業でした。

学校の先生も大手予備校で実績を積んだ上で高校教師として採用された人も多く、また授業で使う教科書も先生によるオリジナル教材が充実しています。下手な参考書を買うよりもずっと実践的で要点がまとまった教材が学校で用意されているのです。

したがって日々の学校の授業をしっかり受けていれば予備校に通う必要もないレベルで高校の先生が受験をサポートしてくれる体制になっています。息子はわからない問題があれば放課後に先生に質問すれば的確に解説してもらえるので塾に通う必要はない、と話していました。

最後の追い込み

僕は区立中学から都立高校に進学したので、学習指導要領に沿って高3の3学期までかけて普通の授業を受けていました。ユニークな先生が多く、受験を意識しない個性的な授業で楽しかったですが、受験という観点からは私立の中高一貫の進学校には到底敵いません。

高校受験・大学受験に向けて予備校に通う時間やコストを考えると、私立でも学校の授業中心+高3だけ自習室の方が中高6年間トータルで見てずっと効率的でお金をかけずに受験を終えることができました。

前向きな同調圧力

現役合格に一番大きかった要素は、高校全体で醸し出される「前向きな同調圧力」とでも言うべき雰囲気だったと思います。過去の先輩たちの多くが難関の大学に進学していった様子を間近で見て、高校の友人達も自然体で受験に向けた準備に入っていきます。

高校生くらいではどこか「真面目に勉強するのはカッコ悪い」「青春を謳歌するべし!」といった雰囲気が蔓延するもの。僕が通った都立高校では高3の秋の文化祭でクラスごとに映画を制作する伝統があり、そのために高3の夏休みの大半の時間を費やして映画づくりに没頭するのが「青春」でした。

息子が通った高校では仲の良い友人達が普通に勉強していて「現役で難関校に合格するのがカッコいい」という雰囲気がありました。スポーツも勉強も真剣に取り組む仲間が周りに自然にいて、互いに切磋琢磨しながら前向きな刺激をもらえる環境は非常に大切です。

もともと息子の代は全体的に勉強の出来がよかったそうで、息子が高2だった頃、当時の高3の先輩が受けた模試と同じ問題をやらせたら高2の方が学年全体の平均点が高かったとか。終わってみれば、仲の良かったテニス部やクラスの仲間は軒並み東京大学や医学系大学に合格。良い意味でのライバルに恵まれて、自然に高め合える環境が現役合格には一番大事なものだと感じました。

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東大生となった君へ

昨年の春に発売されて気になっていた本「東大生となった君へ」(田坂広志)。息子がもし合格したらプレゼントするつもりで予め買っておきました。

東大を出ても活躍する人と活躍しない人がいる。その違いは何か?東大出というだけで良い意味でも悪い意味でも周りから意識されてしまうのが現実。それを知った上で、東大では何をどう勉強するべきか?

必ずしも東大生だけに向けたメッセージではなく、これから大学生になる若者に読んで欲しい本質的なメッセージが込められています。

  • 「東大卒」という人生の落とし穴
  • 「エリート」という言葉の誤解
  • 競争社会で見失う「自分の人生」
  • 東大卒の人材が抱く錯覚
  • 実社会における「優秀さ」とは
  • 人事部が東大卒を採用する「本当の理由」
  • 高校時代の「頭の良さ」は何も保証しない
  • 人工知能革命は「学歴社会」を崩壊させる
  • 「知識」と「教養」を混同しない 等

p.260 我々日本人は、誰もが「恵まれた人間」ではないか。

七〇年以上戦争の無い平和な国。

世界第三位を誇る経済的な大国。

最先端の科学技術の恩恵に浴せる国。

高齢社会が悩みとなる健康長寿の国。

国民の多くが高等教育を受けられる国。

いま、この五つの条件を考えてみるだけでも、我々日本人は、「世界で最も恵まれた人間」ではないか。君には、そのことを考えて欲しい。

そして、この時代に生まれ、この日本に生まれ、大学に行けるほどの教育を受け、その中でも、東大生となった君は、誰よりも「恵まれた人間」ではないか。

p.264 もし我々が、真摯に「志」を抱いて歩むならば、その「志」を実現するために、大いなる何かが、有り難い「縁」を導いてくれるからだ。

もし我々が、ささやかな人生を通じて、世の中のために、何か良きことを為したい、多くの人々の幸せのために、何か良きことを為したいと願い、その「志」を、深く、強く抱くならば、必ず、素晴らしい人物と巡り会い、素晴らしい人々が周りに集まり、必要な智恵と力を貸してくれる。それが、我々の人生の真実だ。

だから、君には、勇気を持って歩んで欲しい。迷うことなく、「志」を大切に歩んで欲しい。

その歩みは、必ず、君の人生を拓く。そして、その歩みは、君に、人生で最高の報酬を与えるだろう。

AIの時代に入り、今後は知識を持っていることの重要性が低下し、自分の頭で考えること、色々な体験をすること、人とコミュニケーションを深めること、といったことが大切になってきます。

工学部でsoftware engineeringを学びたいという息子には、本書に込められたメッセージを胸に、素晴らしい大学生活の第一歩を踏み出して欲しいと願うばかりです。

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