新居を構えた時にIDCで新調したお気に入りの白いカウチソファー。
厚み2mmの本革を贅沢に使った逸品、少しでも長く使いたいと思い、評判の高いイタリア製のレザーマスターの革クリーナーとプロテクションローションで定期的にメンテナンスをしてきました。
ただ、色が白で汚れが目立ちやすいのと、子どもたちがリュックやカバン等を平気で載せたり、お昼寝したりと、革にとっては過酷な環境下で8年が経過し、いよいよ汚れや傷が目立ってきました。
また、背面のクッションのへたりも気になります。
革は天然素材なので、擦れによる経年劣化は避けられません。一般的には革ソファーの寿命は5~10年くらいだそう。
そこで、思い立って革メンテナンスの専門家に修繕してもらうことにしました。まずは、ネットでおおよその作業内容や価格感を調べたうえで、良さそうな業者さんに見積もりを依頼したところ、思っていた以上にばらつきがありました。
今回、見積もりをお願いしたのは、大塚家具(買ったお店)、革製品の修理工房YSR、Furniture Repair Table、佐山製作所の4社で、YSRとFRTには自宅まで来て頂き見積もって頂きました。
革ソファーの全体クリーニングの相場
革専用のクリーナーを使って定期的に汚れ落としを続けてきましたが、素人の限界で、どうしても少しずつ全体的に汚れが定着してきました。
特に汚れが目立つのがよく座る場所の座面と背面部分。背面のクッションをめくってみると、隠れていた部分は購入当時のままの白さなので、その違いがよく分かります。
まめにクリーニングしていたつもりでも、いつの間にかこんなに汚れていたんだなぁと実感。
専門の業者さんは汚れの種類に応じて特殊なクリーナーを使い分けながら徹底的にクリーニングしてくれます。自宅まで出張見積もりを実施してくれた専門家の方に色々と話しを伺い、わかったことをメモ。
- ソファーの大きさによって費用は異なる。我が家のようなL字型のカウチは最も大きい部類で費用もかさむ。(これは想定内)
- 一見すると汚れに見える箇所もよく見てみると革の表皮が傷んでめくれてしまっているケースが多い。
- クリーニングをすると表面は綺麗になるが、革の表皮の傷みはそのままなので、かえって傷んでいる部分が目立ってしまう。
- 革の表皮の傷みは放っておくと劣化が進み、最終的には革が破れてしまう。
3人掛けカウチソファーの全体クリーニングの場合、相場は25,000円(クリーニングのみ)~126,500円(補修込み)と大きく幅がありました。
革ソファー表皮の傷み修復の相場
何度もクリーナーで繰り返し掃除しても落ちない汚れが少しずつ増えてきた印象でしたが、写真を撮って拡大してみると、汚れだと思っていた箇所の大半は実は革の表皮の傷みでした。
こうした傷みはクリーニングではかえって目立ってしまうのと、放置すると劣化が進んでしまうため、今回はクリーニングと同時に革の補修もお願いすることに。
ただ、革クリーニングの業者さんは数多くいますが、革の補修までやってくれるところは少数で値が張ります。また、多くは工場に移動して集中作業して配送という流れになるので、その輸送費だけでも2~3万円ほどかかってしまうのと、引取から納期まで2~3週間ほど要することがわかりました。
革の表皮の傷み補修の相場は、25,000円~41,800円ほど。といっても何箇所が対象か、どの程度まで綺麗に補修できるか等、業者さんによって品質が大きく異なる印象です。
革ソファーの背面クッションのへたり補修の相場
汚れと同じくらい気になっていたのが背面クッションのへたり。特に足を伸ばして座れる部分はみな座りたがる人気ポジションのため、汚れもへたりも一番目立ちます。
このへたりの補修も業者さんに相談したところ、想像以上に手間暇とコストがかかることが判明。
- 背面クッションがソファー本体から取り外せるか、またファスナー等でクッション内部が簡単に交換できる構造か?
- 我が家のソファーはクッションと本体は縫い付けられており、またクッションも縫製のため内部を交換するためには縫製をいったん全て解いた上で再度縫製する必要あり。
- クッション内部の素材はウレタンかフェザー(羽毛)か?
- 恐らくウレタンがベースで残りの空間にフェザーを入れているのでは、とのこと。
- フェザーも入ると材料費が高くなる。
3つの背面クッションの内部交換の場合で、見積もりはおよそ40,000円~65,000円くらいの幅でした。そこまでかけて修理するほどではないと判断し、今回はクリーニングと補修をお願いすることで決定。
実際のクリーニングと補修の様子
革製品の修理工房YSR (Yokohama Shonan Reproduction)
今回は4社から見積もりを頂いた中で、最も良心的な価格で腕も確からしかったYSRさんにお願いすることにしました。
YSRさんはメールに写真を添付してオンライン見積をお願いした際もすぐに対応して頂き、その後に幾つかメールで質問した際も的確にお返事をくれたので好印象でした。
見積価格 | |
クリーニング | 28,000 |
革の表皮の傷み補修 | 25,000 |
出張費用 | 7,000 |
合計 | 60,000 |
価格と技術面以外でYSRさんが良かった点としては、他社は全て引き取りでの作業のため運搬費用がかかるのと、2~3週間をソファーなしで生活しなければならない制約があるのに対して、YSRさんは自宅まで来て頂いてその場で4時間ほどの作業で全て完了できる点でした。
これなら半日立ち会うだけで良いですし、作業の状況も見ていられるので安心です。また、この道のプロフェッショナルであるYSR代表の南條さん自らが担当してくれるというのも心強い。
そして、地味にありがたかったのがPayPayでも支払えること。その場でバーコードを読み込んで決済できますし、1.5%のポイントバックもあります。
手間と時間をかけた手作業による仕上げにこだわります
それぞれの革の特性や、状態を見極めて適正なクリーニング・メンテナンス方法をご提案いたします。ご要望を具体的にお伝え下さい。
経年の皮脂汚れによる黒ずみ、食べこぼしの付着物、水染み、臭い、摩擦によるテカりの解消から艶出しまで、革の種類、特性にあった専用クリーナー、保革剤で手間をかけて丁寧に仕上げていきます。経験豊富な専任の技術スタッフが親切、丁寧にアドバイスいたしますのでご安心ください。
YSRウェブサイトより
ご自宅からオフィスまで、椅子1脚からご注文承ります
これまでに五つ星ホテルからアミューズメントパーク、空港、オフィス、マンション、公共施設等、多種に渡るクライアント様からの様々なクリーニング、リペアのご要望にお応えして参りました。ご自宅の椅子1脚からご対応いたします。定期的なメンテナンスについてもご相談ください。
一つ一つ手作業で丁寧に仕上げていきますので、たとえ椅子1脚でも手間を惜しまず時間をかけて行ないます。一時的に汚れが解消されても、残念ながら必ず時間が経てば革は汚れてきますので、いかに良いコンディションを維持させるかにこだわることが重要だと考えます。
YSRウェブサイトより
まずソファー全体のクリーニング
朝9:15頃に到着。お二人でカウチソファーを分離して手際よくビニールシートを敷きます。
スプレーに入った特注配合の液体クリーナーを革に直接噴霧してブラシでささっと擦るだけで、みるみる汚れが落ちていきます。
クリーニング途中の箇所を見ると、ビフォア、アフターが一目瞭然。
さすがプロフェッショナルの仕事です。素人が市販のクリーナーで苦労して掃除してもこの白さは出せません。
革の補修
1時間半ほどで全体クリーニングが完了しました。続いて、傷んでいる革の表皮の補修作業に。
ソファーの色に合わせて塗料を配合し、刷毛や筆で塗っていきます。
塗料を塗っては乾かすという地道な工程を丁寧に繰り返すことで革の表皮の傷みが目立たなくなります。
仕上げ
作業開始から2時間半ほどした時点から、一人は革の補修を続けながら、並行して仕上げ工程に入りました。
コンプレッサーに繋がった特殊なスプレーを使ってコーティングしてドライヤーで乾かす作業を繰り返します。
3時間超に亘る作業の劇的ビフォーアフター
朝9時過ぎから始まったクリーニングと補修作業が完了したのは12時半過ぎ。代表の南條さんとスタッフの方が2名で3時間超に亘って休みなしで集中対応頂きました。
クリーニング
全体的に薄汚れていたので写真だけでは分かりにくいですが、購入時の白さに戻りました。
拡大してみると差は歴然です。へたりの強いカウチ側の肘置きはこんな感じ。汚れが落ちただけではなく、摩擦によるテカリも消えて、購入時のような風合いが蘇りました。
革の表皮の傷み修復
クリーニングだけでも感動的な仕上がりでしたが、更に劇的だったのが革の傷みの補修。
経年劣化で表皮が剥げたりヒビ割れたりし始めていた部分がほとんど目立たないというか見ても分からないレベルで綺麗に修復されました。
上の肘置き部分のシワになっている箇所を拡大してみると…
革の繋ぎ目部分の擦れ、傷みもこの通り綺麗に修復されました。
つなぎ目を更に拡大してみると、細かい修復作業のクオリティーの高さが分かります。
本革ソファーのメンテナンス
せっかくここまで綺麗に仕上げて頂いたので、大事に長く使いたいものです。革ソファーの寿命は一般的に5~10年程度とのことですので、我が家のソファーはほぼ寿命に近い状態。
綺麗に汚れは落ちましたが、革自体の経年劣化は避けられないため、メンテナンスがより重要になります。
YSR南條さんから頂いたアドバイスは以下の通り。
- 季節ごと、3ヶ月に1回程度、クリーニングとローションによる手入れをする。
- 市販のクリーナーは強度が限られているため気休め程度で。
- 柔らかい布で乾拭きするだけでも汚れは落ちる。
- クリーニングよりもむしろクリームによるケアの方が大事。
- クリームは革に必要な栄養を与え、通気性の高い保護膜を形成する。
- 汚れも防ぎ、付着しても汚れを取りやすくする。
今回の仕上げに使っていたクリームを見せてもらったところ、何と僕が普段使用しているレザーマスターのプロテクションクリームでした。プロも使っている製品と知り、今後もこれでしっかりメンテナンスしていこうと思います。
YSRさんは東京、神奈川エリアは全域で対応可能で、ソファーだけではなく、革製品であれば椅子、革ジャン、ジャケット、バッグ、財布、靴から車のレザーシートまでクリーニングや修復が可能とのこと。
代表の南條さんは納得の行くまでしっかり相談に乗ってくれる頼りになる方でした。革製品のメンテナンスの際にはお勧めします!