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メモの魔力 The Magic of Memos

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読書メモ
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2019/8時点で37万部を突破したという、SHOWROOM社長の前田裕二さんの「メモの魔力」を読みました。

僕にとってメモとは、生き方そのものです。
メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。
メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。
メモによって夢を持ち、熱が生まれる。
その熱は確実に自らを動かし、人を動かし、そして人生を、世界を大きく動かします。
誰にでもできるけど、誰もまだ、その魔力に気付いてない
「本当のメモの世界」へ、ようこそ

「序章『メモの魔力』を持てば世界に敵はいない」より

メモと聞くと、一般的には「見聞きしたことを忘れないように記録する技術」といった理解ですが、それだけのメモにはもちろん魔力などありません。前田さん流のメモとは、単にファクトを記述するだけではなく、その内容を「抽象化」し、更に横展開する「転用」までを1セットにして実行するところがミソ。

これを実直に継続することで、自分自身を深く理解し、人生の優先順位に気づき、新しいアイディアが湧いてくる、という「魔力」を手に入れることができると言います。これは気になる!

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抽象化とは、「本質を考えること」

p.91 抽象化するときは、この「汎用性の高さ」を意識しましょう。汎用するために抽象化するのだ、という目的を意識したほうがいい。ただレイヤーを上げるのではなく「他に活かせないだろうか?」と考えながら抽象化することが、思考を深めることにつながります。

ファクトを記載するのはメモの基本中の基本です。私を含めて、ほとんどの人はこのステップでおしまい。

魔力を生むメモのポイントは、単にファクトを記述するだけではなく、その横にその事実を抽象化することでより汎用的な気づきとするまで記載すること。そして、その抽象化で得られた気づきを全く別の領域に横展開して当てはめてみる。

こうした思考実験を常にメモを取りながら繰り返すことで、単なるファクトの羅列ではなく、その事実から導出される、より本質的なメッセージに目を向ける習慣が身につきます。

ブログで読書メモを書くのも実は同じこと

本書を読んでいて途中で気がついたのが、僕がかれこれ15年ほど継続して綴っているこのブログも、実は前田さんのいう抽象化の一種だということ。

一義的には、旅行の様子や子供たちのイベント等、自分が後に振り返るときに参考になるように事実を記録することが目的ですが、特に面白い本を読んだ時には、気になった一節を本ブログにメモして、一言、その時に感じたこと、考えことを併せてメモするようにしています。

これは言わば思考の抽象化とも言えるでしょう。

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言語化の第一歩は自分の心に「なぜ」を向けること

p.100 この、「意識の抽象化」のチャンスは、本当に生活の至るところに転がっています。例えば、「この映画、面白いな」と思ったとします。実際、8~9割の人は、純粋に「面白いな」で終わるでしょう。その率直で素直な感想自体は大変尊いものですし、失ってはいけません。が、この意識に「なぜ」を向け、言葉にする作業こそが、僕らの抽象化能力・言語化能力を引き上げます。「なぜ面白いのか」をきちんと言語に落とし込んで、人に伝える作業をすれば相当な力がつきます。

良い本は後で読み返すたびに違ったメッセージを受け取ることができるもの。それは自分自身が時を経て様々な経験を積むことで、若い頃に読んだときには気づけなかった、より本質的な著者のメッセージに気づけるからでしょう。

同様に、過去に自分が書いた読書メモを読み返すと恥ずかしい思いをすることもしばしばです。逆に、忘れかけていた当時の気付きや、本質的なメッセージに触れて「はっ」とすることも。

いずれにせよ、「ああ、楽しい本だった」「勉強になった」という感想だけではその感動もその場限りになりがちで自分の身につきにくいもの。そんなとき、読書メモを書いておくと頭の整理になるだけでなく、その内容を自分なりに抽象化・言語化することで、根底に流れている本質的なメッセージに耳を傾けるきっかけになります。

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「想い」と「思い」の違い

p.151 「想い」の言語化は、その絵が思い浮かぶくらい、想像し切らないといけません。頭でぼんやりと思うだけではなく、目で具体的に見た映像のように、ありありと思い浮かぶくらいまで持っていきたいものです。逆にこれは、「そのくらい欲している対象ですか?」という問いかけでもあるのです。(中略)

僕も、一緒に仕事をしたい人と一緒に仕事をして夢をかなえていっている映像を何度も思い描くし、そこれこそ、夢にも見るほどです。そして、夢に思い描いたことは、今までほぼすべて実現しています。その段階に行けば、無意識的行動も含めて、自らのすべての行動がそこに向かっていく。それによって、現実も進みたい方向に自然と向かっていきます。

このくだりを読んで、はっとしました。かの東郷平八郎、原敬、松下幸之助、稲盛和夫といった政財界の重鎮が師として学んだという、中村天風(1876-1978)の講演録「成功の実現」にまさに同様な記述がありました。

 それからもうひとつ、信念煥発に必要なことを注意しておく。
 それは「暗示力の応用」だ。わかりやすく言えば、いま教えたとおり、心に映像をはっきり絶え間なく連続的に反復する必要がある。(中略)
 ただ、注意深くしなければならないのは、その映像が時々ピンボケになるからね。ピンボケにしない要領は、その想像の映像をできるだけ興味を十二分に加味して描いてごらん。興味ができなかったら楽しみを。すると、むずかしいと思える観念集中が存外やさしくできる。
 心の統御に対するこの技術に熟達すると、潜在意識という最も安心のできる、信頼性のある大きい力をもつものに自分の命をぐっとお任せしたことになるんだ。

中村天風 「成功の実現」p.383

こうした「暗示の力」はイメージトレーニングとも表現されますが、単に予め脳内でシミュレーションすることで訓練するだけではなく、自分が本当に実現したい夢を日々鮮明に思い描くことで、それが単なる「夢」ではなく自分の中で一種の「真実」となり、それに向かってやるべきことをやるモチベーションにもなります。

これは無意識に対して意識的に働きかけることで、より大きな力を味方につけ、様々な障害も1つずつ乗り越えながら着実に実現に向けて近づいていく、といった感覚です。

僕が腹の底からこうした「魔力」を理解しているのは、まさに自分自身がこの力を実感できた経験があるからです。

縁あってMBA留学というオプションがあることを知り、20代後半になって英語を本気で勉強し始めた頃。当時の僕はTOEIC600点ほどで英語力からしてMBA留学なんて夢のまた夢、そもそも留学するお金などある訳もなく、社費留学するには数十倍という難関をくぐり抜けて選抜される必要があり、仮に選ばれたとしても世界Top20に入る超難関の大学院から入学許可を得るのは更に狭き門という状況でした。

いま思えば無謀としか思えない挑戦でしたが、なぜか自分では「必ず自分はアメリカに渡ってMBAを取得する」という信念というか覚悟を持って机に向かっていました。その時、机には憧れだったUCLAのキャンパスの写真を貼って、日々、その写真を眺めてはGパン、Tシャツで自転車に乗ってリュックを背負って通学する自分の姿を夢に見ていました。時間はかかりましたが、様々な出会いや幸運が重なって、夢は現実に。

2018/2/4 ブログエントリー「成功の実現」より抜粋(以下リンク)
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あなたは何に突き動かされているか

p.194 これらのイベントを積み重ねるときには必ず何らかの尺度によって、意思決定が成されているはずですが、その尺度が、自分の人生の軸に関連・依拠していなくてはなりません。例えば10分の時間を与えられたときに、TwitterやInstagramなどのSNSを見るのか。友達に電話をかけるのか。本を読むのか。PCを開くのか。ぼーっとするのか。この意思決定の向きは、本来、自身の価値観の軸、つまり人生のコンパスによって指し示されるべきだと思っています。

 人生は「時間をどう使ったか」の結果でしかありません。ならば「時間をどう使うのか」というところで、自分の人生の勝算につながる選択をすべきです。すべては、これからのあなたの選択にかかっているし、その選択の前提となる人生の軸を自己分析によって得ていることは、大変な強みになります。

本書の後半は、メモを離れて、自己分析の方法について論じています。ただ、自己分析も実は見方を変えると、過去のファクト、そこから得られた経験、その経験が活きる分野、といった具合に、メモ術で述べられた3つの構造と同じと言えます。

思えば、大学3年生となり、就職活動を始めた秋くらいから、僕は本書に書かれているような形で、過去の人生を振り返ることを通じて、自分でも意識していなかった、自分が大切にしている価値観や生きる上での優先順位といったことについて、大学ノートにひたすらメモを書き出しながら少しずつ気がついていった時期がありました。

まだ就活における「自己分析」といった言葉などない時代です。それは、いよいよ社会人になるにあたり、自分がいったいどんな会社でどんなキャリアを目指すべきか、もっと簡単に言うと、どんな人生を送れると自分は幸せを感じられる人間なのか、という基本的な問に答えられない限り、誰もが羨むような企業から内定をもらえたとしても決して幸せにはなれないだろう、という強烈な想いから必要に迫られて実施したタスクでした。

幸いにも、結果として入社した企業に気がついたら25年間も勤続し、今でもエキサイティングな仕事をやらせてもらえていることが何よりもありがたいことだと改めて感じます。

同時に、そろそろセカンドキャリアをにらんだ人生設計をする時期でもあります。本書に出てきた「ライフチャート」(横軸を時間、縦軸を感情とした曲線グラフ)を描き、自分の今までの人生を振り返ってみて、今後の「人生の軸」を改めて考えてみようと思います。

「メモとは生き方そのもの」、確かにそうもと言えるなと思わせられた、単なるノウハウ本でない前田さんの人生に対する熱い想いが込められた一冊です。

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ロサンゼルスMBA生活とその後