先週、たまたまダイヤモンド・オンラインの記事「「キャンセル待ち70万人」のヘッドスパ専門店、14年も人気が続く理由」を見かけた時、その見出しに釘付けになりました。
仕事の節目等で自分へのご褒美としてたまーにマッサージを受けてリフレッシュすることがあります。
中でもお気に入りなのがヘッドマッサージ。頭ばっかり使う仕事なので、頭を揉みほぐして欲しい。
その「ヘッドスパ」専門店というのが気になるし、そもそも「キャンセル待ち70万人」というパワーワードに至っては全く理解不能です。
キャンセル待ち70万人?
今や“日本一予約が取れない店”と呼ばれる、無水ヘッドスパ専門店「悟空のきもち」。現在、全店で3カ月先まで満席状態で、キャンセル待ちの人数は70万人近くに上る。
ダイヤモンド・オンライン
そして驚くことにウェブサイトがあるのみで積極的なマーケティングは行っていないという点。
短期的な利益を求めて一気に拡大路線を取ることはせずに、品質を担保できる範囲で着実に成長するというスタンスです。
「ディズニーランドが全都道府県にあったとして、あそこまで人気を集めるでしょうか。私たちが目指すのは、1店1店を、お客様から『わざわざ行きたい』と思われて、かつそういった期待に応えられる満足度の高い“人気店”にすること。『人気軸重視は機会損失だ』というお声も耳に届きますが、当店はコロナ禍でも売り上げを落としていません。『悟空のきもちでなければ満足できない』と感じてくださるファンを増やしていく“人気軸重視”のビジネススタイルは、きちんと利益を生んでいるのです」
ダイヤモンド・オンライン
本質的なアプローチだと思います。企業によるマーケティングを素直に受けて行動する消費者が少なくなってきている中で、評判をベースにファンを増やしていく戦略。
実際、僕もこの記事を読んで興味を持ち、一度体験してみたい!と思ってわざわざサイトを訪れて、更にLINEのキャンセル待ち専用アカウントを登録したほか、Twitterのアカウントまでフォローしました。
コストをかけずに取材記事だけでターゲット消費者をここまで動かすことができれば最高のマーケティングですね。
70万人キャンセル待ちの熾烈な戦い
とりあえずキャンセル待ちに登録してみたものの、既に70万人が待っている行列の最後尾に今から加わっても順番が回ってくる気が全くしません。
ただ、一般的なキャンセル待ちと違い、いわゆるFIFO(first in, first out)的な先着順ではなく、キャンセルが発生したらSNSで知らせるから早いもの勝ちで予約してね、という仕組みの模様。
とはいえ、70万人のライバルを出し抜いて予約できる気は全くしませんね…
というわけで、LINEとTwitterに登録した日こそ何度か投稿を見てみたものの、当然ながら空きは一切なく、ほどなく僕の「悟空のきもち」熱は冷めてすっかり忘れました。
なぜか予約が取れた
そんなある日、Twitterを眺めていたらこんな投稿を目にしました。
既に投稿から4時間ほど経過していましたが試しにクリックしてみました。
当然ながら土曜日の枠は既に埋まっていましたが、なぜか日曜日19時の枠がひとつだけ空いているように見えます。
日曜日の夕食時にヘッドスパはないだろうと思いながら、試しに予約をクリックしてみたところ、普通に氏名等を入力する画面に遷移。
そのまま予約情報を入力して登録したところ、すぐさまメールで予約完了とのこと。
その後も時々サイトをチェックしてみましたが、常に3ヶ月先まで満席で予約できる余地なし。
ビギナーズラックというやつで本当にたまたま予約できたみたいです。
1番人気☆スタンダードコース 60分
コースは幾つかあるようですが、僕がたまたま見た時に空いていたのは「1番人気☆スタンダードコース 60分(7,000円税込 キャッシュレス店)・原宿神宮店にて」というもの。
日時も場所もコースも迷わずにとりあえず一択でポチったのでした。
予約メールを眺めながら、ふと冷静に確認したところ、原宿なら電車一本で行けるから便利だとひと安心。
また、価格ですが、回数券を買って定期的に通っている日帰り温泉にリラクゼーション施設があり、ヘッドスパを受けたことがあります。
改めてその価格を確認してみると、以下の通りでした。
ヘッドスパ40分
洗髪+首肩ストレッチ+ふのり(海藻)シャンプーヘアパック+デコルテ+コンディショナー … 6,160円
湯けむりの庄 宮前平
こちらは単なるマッサージではなく、頭髪のトリートメント重視のプランなので単純比較はできませんが、「悟空のきもち」のプライシングは少し高め、といった印象。
寝るべきか?をAIに尋ねた
「悟空のきもち」は「快楽の絶頂で眠りに落とす絶頂睡眠」が売りとのこと。
薄い頭筋膜をとらえる無水ヘッドスパとして、年々改良をつづける「21の手技」をはじめ、「大人を 眠らせる技術」・通常の安堵型睡眠と違い、快感の絶頂で眠りに落とす「絶頂睡眠」が評価を頂き、クチコミで人気が拡大。「快楽の向こう側」と言われる悟空の極上の無水ヘッドスパをご体験ください。
公式サイト
ただ、7,000円払ってすぐに寝てしまってあとは覚えていない、というのも何だかもったいない気もします。
そこで、ChatGPTに質問してみました。
■質問
「悟空のきもち」にこれから初めて行きます。1時間のコースですが多くの人は十分位で気持ちよくて寝てしまうそうです。寝られたら気持ち良いなあと思う反面、お金がもったいない気もします。寝たほうが良いか、あるいは寝ないよう頑張って起きている方が良いか、どちらが良いでしょうか?
■AIの回答
悟空のきもちへの初めてのアクセス、楽しんでください!
寝るか寝ないかは、個人の好みや体調によって異なるかもしれませんが、一般的には、リラックスして眠ることで、より効果的にリフレッシュできることが知られています。
ですから、もし時間やお金に余裕があるのであれば、睡眠を取ることをお勧めします。疲れがたまっている場合には、リラックスして睡眠をとることで、体調の回復にもつながります。
ただし、お金に余裕がない場合や、睡眠が得意でない場合には、無理をして寝なくても大丈夫です。
また、もし眠ってしまうことが心配であれば、コース中に自分で意識的に動いたり、深呼吸をしたりすることで、目を覚ましていることができます。重要なのは、自分の体調や好みに合わせて、無理をせずにリラックスして過ごすことです。
相変わらず実にそれっぽい回答をしれっとしてきますね。
結局、僕は「絶頂睡眠で気持ちよく寝る」ことをゴールに据えることとして、いざ出陣!
行きの電車で早くも絶頂睡眠!
この日は日曜日だというのに早起きして7時の開店と同時に高1娘と一緒にコメダ籠もり。
5時間きっちり虚数やユークリッドの互除法と不定方程式を勉強した後は急いで帰宅して妻と一緒にテニスの練習試合へ。

帰宅後、風呂に浸かってゆっくり温まり、いつでも寝られる状態に。
でも、今日は「悟空のきもち」の絶頂睡眠の日です。そのまま寝てしまいたい衝動と戦いながら着替えていざ原宿神宮店へ!
行きの電車では疲れたからだをシートに預けて、心地よい揺れと車内のノイズに誘われて、もう起きていられない。寝過ごしちゃだめだ!と思うほどに、気づくと絶頂睡眠に達してウトウトと頭カックンを繰り返していました。
悟空のきもち初体験
前置きが長くなりましたが、車内で絶頂睡眠を体感し、すっきりした頭で久々の原宿を散策しながらお店に到着。


担当のSさんは接客は丁寧ですが、経験が浅そうで自信のなさがそこはかとなく伝わってきます。ちょっと不安。
施術前に「途中で気持ちよくて寝てしまう方が多いですが、初回の方は緊張して寝られなかったという方も。ぜひリラックスしてくださいね」と言われ、逆に変なプレッシャーを感じました。

異世界への扉的な装飾に期待は高まる一方です。

「体験するぞ、絶頂睡眠!」と意気込んでいたわけではないのですが、無意識に緊張していたのでしょう。
「21の手技はどこまで繰り出されたんだろう?」とか考えているうちに寝落ちすることなく60分のヘッドスパはあっという間に終了。気持ちよかったですよ。
施術後は2ヶ月先までの日程で優先予約を受けられる仕組みです。店内のiPadでカレンダーを表示してみると、翌月、翌々月はほとんど空きありでした。
つまり、リピーター向けに相当枠を確保して確実に埋めつつ、残りを一般開放して予約させるという戦略ですね。市場ではレア感が常に漂っているので新規客は放っておいても僕みたいに勝手に飛び込んできてくれて、その一定数が固定客に移行していく仕組み。
試行錯誤の末に辿り着いたのだと思いますが、よくできたマーケティング戦略だと思います。
翌日の朝の目覚め
帰宅後は遅めの夕食を頂いて、ほっと一息。寝るぞ!という緊張感から開放された安心感からか、ほどなく眠気に襲われて慌ただしい日曜日が終わりました。
翌朝、Fitbitの睡眠スコアを確認すると、最近ではなかなか出なかったハイスコアでした。


特に、レム睡眠と深い睡眠の割合が高いと睡眠スコアも高くなる傾向があります。睡眠スコアが高い朝はよく寝られた実感もあり。
土曜の夜は遅くまでYouTubeを観ていて翌朝は早起きだったので日曜日は寝不足、更に朝から5時間のコメダ籠もり、そしてテニスからの悟空のきもち、すぐに就寝だったので睡眠スコアが高いのも当然といえば当然でしょう。
そんな訳で、悟空のきもちをまとめるとこんな感じです。
- 気持ちよかったけど行きの電車の方が絶頂睡眠だった
- 翌朝の目覚めは良かったがヘッドスパとの関係性は不明
気になった方はいちどキャンセル待ちにトライしてみては!僕はもういいかな。