読書メモ仕事

岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。

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ゲームプログラマーから任天堂の社長になった岩田聡さんの言葉を集めた「岩田聡はこんなことを話していた」を読みました。ファミコン発売初期のゴルフやピンボールは子供の頃に相当やりこんだ記憶がありますが、これらのソフトをプログラミングしていたのが岩田聡さん。

55歳の若さで逝去した岩田さんは単なる天才プログラマーだけではなく、経営者、人間として多くの人から慕われる稀有な存在だったことが彼の言葉の節々から伝わってきます。

天才プログラマーとして多くの名作ゲームを生み出し、任天堂の社長としてニンテンドーDSやWiiなど革新的なゲーム機をプロデュースした岩田聡さんの、クリエイティブに対する思いや経営理念、価値観、ポリシー、哲学などが凝縮された本です。

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ボトルネックがどこなのかを見つける

 プログラムの世界では、よく、「全体のなかの1%の部分が、全体の処理時間の7割から8割を消費している」などといわれるぐらい、そこばかり何回も処理しているということがあり得ます。ですから、そのボトルネックになっているところを直さない限りは、そうじゃないところをいくら直しても意味がないんですね。

 ところが、人は、とにかく手を動かしていたほうが安心するので、ボトルネックの部分を見つける前に、目の前のことに取り組んで汗をかいてしまいがちです。そうではなくて、いちばん問題になっていることはなにかとか、自分しかできないことはなにかということが、ちゃんとわかってから行動していくべきです。

p.49

仕事も人生もうまくいかずにもがいている時ほど、後から振り返ると視野が狭くなっていて目の前に見えている課題を手っ取り早く片付けようとしていることがよくあります。

一歩ひいて全体を見渡し、頭を使って真の原因、ボトルネックについて考えること、そしてそこに手を打つことが長い目で見て課題解決に非常に効果的だったという経験は誰にもあることでしょう。

プログラムを書いたことがある人なら体感していることですが、岩田さんが凄いところはプログラミングで得た知見を一般化して経営や日々の生活にも適用しているところ。

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プログラムの経験が会社の経営に活きている

 プログラムの世界は、理詰めです。だから、もしも完動しないとしたら、原因は全部、プラグラムしたこっちにある。

 わたしは、人と人とのコミュニケーションにおいても、うまく伝わらなかったらその人を責めずに、自分の側に原因を探すんです。コミュニケーションがうまくいかないときに、絶対に人のせいにしない。「この人が自分のメッセージを理解したり共感したりしないのは、自分がベストな伝え方をしていないからなんだ」と思うようにすると決めたんです。(中略)

 だから、人と話してうまくいかなかったら、「わからない人だな」と思う前に、こっちが悪かったんだろうと思う。うまくいかないのならば、自分が変わらないといけない。この人に合ったやり方を、こちらが探せば、理解や共感を得る方法はかならずある。いまでも、コミュニケーションがうまくいかなかったら、自分の側に原因を求めています。そう思えるのは、きっと、過去に組んできたプログラムのおかげですね。

p.84

岩田さんの言葉で一番衝撃だったのはこの一節。

一般論として「コミュニケーションで相手に伝わらなかったのは伝える側の問題」とは言われるものの、それを「この人が自分のメッセージを理解したり共感したりしないのは、自分がベストな伝え方をしていないからなんだ」と思うようにすると決めたんです、と言い切るのは相当な覚悟です。

この「伝え方」には伝える内容、ロジックの分かりやすさ、一貫性といったことから、伝える態度、聞く態度といった対人コミュニケーションのやり方までの全てが含まれているのでしょう。

このスタンスを任天堂という世界企業のトップにまでなっても貫いた信念はそうそう真似できません。だからこそ、彼と関わった多くの人から慕われ、請われて、気がついたら社長になっていたんだろうなと思います。

海外のメディアがゲーム開発者として彼の功績を称えて作成したビデオを観ると日本だけではなく世界中のゲーマーからも愛されていたことが分かります。

”…in my heart, I am a gamer.”

人としての優しさ、思いやりと、静かで強い信念、そしてゲームが好きという岩田さんの思いが伝わってくる1冊です。

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