いま思うこと

各国の人口当たりコロナ死者数から考える(2020/4/5)

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今から3週間前、WHOがパンデミック宣言をした直後の2020/3/15に「人口当たりの死者数から見えてくる新型コロナウイルスの実態」というエントリーを書きました。

この記事は、当時、新型コロナウイルスの感染者数や死者数の報道ばかりが先行していて、国ごとの深刻度の違いが分からなかったため、公知情報ベースで人口100万人あたりの各国の新型コロナウイルス死者数を自分で算出してみたものです。

新型コロナウイルスの感染者数はその国の検査体制の整備状況や検査に対する政府の姿勢によって大きく左右されるため、実際の感染者数と対外的に広報されている感染者数とは大きな乖離があると思われます。

また、当然ながら国ごとに人口が大きく異なるため、感染者数を比較しても国ごとの被害の深刻度の比較にはなりません。

もちろん、新型コロナウイルスが原因で亡くなった人数を正しく把握するのは難しく、例えば本当は新型コロナウイルスが引き起こした肺炎で亡くなっていても単なる肺炎による死亡とカウントされるケースもあるでしょうし、国によってデータの信憑性は異なります。

とはいえ、今の状況で高熱で病院に運び込まれて重篤な状況な患者がいた場合はまず新型コロナウイルスを疑って最優先で検査をするでしょうから、仮に死亡した後からでも陽性反応が確認されれば新型コロナウイルスによる死亡としてカウントされる可能性が高いと思われます。

したがって、人口100万人あたりの新型コロナウイルス死亡者数を国ごとに比較することで、被害の深刻さや封じ込め状況、医療の有効性といった傾向が見られると考えます。

2020/3/15ブログより

3週間が経過し、欧米を中心に感染者数、死者数が爆発的に増加している現時点で、改めて定点観測することで状況の変化を明らかにしてみます。

まずは、ファクトを整理します。

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ワースト50カ国

人口当たりのコロナ死者数のワースト50カ国は次のグラフの通り。

人口100万人当たりのコロナ死者数のワースト50カ国

イタリアに囲まれた人口3万人ほどの小国サンマリノが突出しており、約1,000人に1人が亡くなっているという危機的な状況です。

続いて、スペイン、イタリア、アンドラ(フランスとスペインに囲まれた人口7万人ほどの小国)、 サン・マルタン(カリブ海の人口4万人ほどの島国)、フランス、ベルギー、オランダ、スイス、イギリス、ルクセンブルクとなっています。

こう見ると、特に欧州全域で大変な状況になっていることがわかります。また、カリブ海の島国であるサン・マルタンは北側がフランス領、南側がオランダ領となっており、その合計ではワースト5位の死者数です。欧州以外の地域でも欧州と人の往来がある関係の深い島国で深刻な事態になっています。

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3/15時点で死者が発生していた国の状況変化

上のグラフで黄色の棒グラフは3/15時点での死者数ですが、その後の3週間での増加が著しいため、ほとんど比較になりません。

そこで、3/15時点で既に死者が発生していた国にフォーカスしたグラフが以下のとおり。

人口100万人当たりのコロナ死者数(3/15との比較可能な国)

これでもほとんど黄色の棒グラフが見えません。それほどこの3週間で急激に死者数が増加していることがわかります。

グラフの縦軸を25人にしたグラフは次のとおり。

更に、3/15と4/5との比較で死者数の増加率をリスト化してみました。この増加率を見ることで、ここ3週間で急激に死者数が増加している国の傾向が分かります。

A. 100万人当たりの
死者数 (4/5) 
B. 100万人当たりの
死者数 (3/15)
増加率 (A/B)
Belgium1110.34321.9
Canada60.03225.7
UK640.31206.8
Austria210.11189.2
Sweden370.20186.7
Denmark280.17162.2
Germany170.11158.2
USA260.18143.4
Netherlands960.70137.0
Ecuador100.1187.5
France1161.3983.2
Morocco20.0372.0
Ireland280.4069.2
Spain2564.1961.1
Switzerland771.5051.3
Panama110.2347.3
Algeria30.0745.0
Indonesia0.70.0241.0
India0.070.0037.5
Egypt0.70.0235.0
Poland20.0825.5
Slovenia110.4822.9
Argentina10.0422.5
Thailand0.30.0121.4
Ukraine0.70.0321.0
Albania70.3520.2
Norway110.5519.9
Greece70.3818.2
Italy25423.8310.7
Philippines10.109.8
Bulgaria20.296.9
Australia10.166.4
Iran417.275.6
Azerbaijan0.50.105.0
Taiwan0.20.044.7
Lebanon20.444.6
Iraq10.254.1
Japan0.60.173.5
S. Korea31.462.1
Hong Kong0.50.530.9
China22.220.9

死者数が急増した国

表からは、人口当たり死者数が3週間で100倍以上に急増したのは、ベルギーの322倍を筆頭に、カナダ、イギリス、オーストリア、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、アメリカ、オランダということがわかります。

欧州だけではなく、カナダ、アメリカといった北米でも急増しており、いずれも先進国にも関わらず新型コロナウイルスの死者数を抑えることができておらず、非常に危機的な事態であると言えます。

死者数が今後増えそうな国

インド、インドネシアは表では40倍ほどの増加率ですが、人口が多く、医療インフラが比較的未整備であることから正しい統計がまだ取られていない可能性があります。今後、急激に死者が増加するリスクがあり、要注意だと思います。

現時点ではまだ辛うじて感染を制御できている国

比較的先進国で増加率が一桁の国は、オーストラリア、台湾、日本、韓国です。

これらの国々では死者数は相対的に正しく把握できていると仮定すると、現時点では何とか感染の急拡大を抑えられていると思われます。

香港と中国は唯一、3週間前と比べてほとんど死者が増加していないように見えますが、政治的な思惑で正しい死者数が公開されていない可能性を疑う必要があるでしょう。

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まとめ

欧米の先進国を中心に今まさに新型コロナウイルスの死者数が急増しており、まだピークは見えない様子です。非常事態宣言により食料品等の必需品の買い物以外の外出が禁止されている国々が多く、危機的な状況といえます。

一方、日本はまだ大都市での外出自粛要請がある程度であり、欧米諸国の切羽詰まった危機感と比べると、まだのんびりとした雰囲気があると感じます。

ただし、上のグラフや表から見る限り、日本はまさに急拡大の瀬戸際にいる状況であり、今週末の大都市での外出自粛要請等を含めて今後1~2週間でどれだけ人の移動を制限できるかが非常に重要な局面だと思います。

医療現場で働く知人からは「医療崩壊のシナリオも想定」して日々対応に当たっているという声が複数届き始めています。

日本医師会、緊急事態宣言を要望…「油断すると欧米と同じような状況に」
 新型コロナウイルスの感染が日本各地に拡大する中、日本医師会は1日、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を出すべき時期だとの考えを改めて示した。

 この日の記者会見で、横倉義武会長は「欧米諸国では感染の拡大が止まらず、日本も油断すると同じような状況になる」と危機感をあらわにし、政府の対応については「もう少し加速していただきたい」と注文をつけた。首都圏、大阪、愛知を中心とした全国各地の医師会からの要望を踏まえた判断だという。

 政府専門家会議のメンバーの釜萢敏・常任理事も「現状として医療崩壊は起きていないが、それを防ぐためにも早く緊急事態宣言を出すべきだ」と述べた。

 同法に基づき首相が緊急事態宣言を出すと、対象となった都道府県の知事は強い権限を持つ。臨時の医療施設開設のために土地・建物を同意なしに使用したり、必要な医薬品や食品などを収用したりできるようになる。

2020/4/1 読売新聞

僕も今週から更にテレワークの割合を増やして原則テレワーク予定です。コロナ収束後は新しい時代の幕開けになると信じて、今は見えない敵と静かに戦いましょう。

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