読書メモいま思うこと

自分の人生を生きるコツ

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読書メモ
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先日読んだ喜多川泰さんの『「福」に憑かれた男』が面白かったので、『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』を読んでみました(カギかっこが好きな作家ですね!)。これまた簡単に読めてしまう小説ですが、普遍的なメッセージが込められた1冊。

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居心地の良い場所

p.62
あなたにとって居心地のいい場所は、まわりの人があなたに何をしてくれるかによってじゃなくて、あなたがまわりの人のために何をするかによって決まるの。家も、学校も、職場も、全部同じね。そんなこと考えなくても、あなたがそこそこ幸せだったのは、あなたの家には、たとえあなたがどんな態度をとってもそれを毎日やってくれる人がいるからよ。そのことを忘れちゃダメね。

土産物売り場のおばさんのこの一言、ぐっときました。「居心地のいい場所」というと、誰かが整えて与えてくれるものと思いがちです。例えば、職場。偉そうにふんぞり返っている部長は確かに職務権限はあるので部下にあれこれ命令はできますが、そこは本当に居心地の良い場所でしょうか。自宅に帰って、「俺は仕事で疲れてるんだから当たり前」な顔でソファーに寝転がってビールを呑んでるリビングは居心地いいでしょうか。

例えば、職場なら現場の最前線で戦っている営業や開発を裏で支えているスタッフ。家庭であれば、家事全般を回して当たり前の毎日が送れるようにする役目。頭で理解していても、実際に少しでもいいから自分でそうした立場を経験してみることでその大変さや有難味がわかります。僕も子供を育てる親になってみて改めて身に沁みた両親のありがたさや、30代に入って裏方スタッフ業務を初めて担当して気づいたことや身に付けたことが数多くあります。結局、最後に問われるのは、部下や家族のために自分がどれだけのことをしてきたかであり、そうした積み重ねが職場や家庭での自分の居場所につながっていくのでしょう。

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他人のメガネ

p.135
他人のメガネをかけて世の中を見ている奴に限って、この世は生きにくいとか、苦労が多いとか、いいことがないとか、平気で口にする。(中略)わけもわからず、他の人が幸せやと言うてるものを追い求めたり、他人が持っているものを手に入れようとするんが人生やないで。そんなくだらんことに人生を費やすためにおまえは生まれてきたんやない。他人のメガネはほっとけ。人が何と言おうと、自分がやりたいことは何かを真剣に考えろ。他の誰でもない、おまえの人生やろ。

物語の中盤で、17歳の主人公に大きな影響を与えるのが旅で出会った長距離トラックの運転手。このおっさんが、またいいこと言います。幸せのかたちは人の数だけあって、自分にとっての幸せは自分で定義するしかないのです。この辺の「幸せになるコツ」は福の神に任せるとして、この「他人のメガネ」のくだりで僕が思い出したのはスティーブ・ジョブズのこの言葉

Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.

きっとこの運ちゃん、大のAppleファンなんでしょうね。言語や表現こそ違えど、本質的なメッセージはまるで同じです。振り返れば、僕も大学生の途中までは他人が作り出した「成功のイメージ」をそのまま鵜呑みにして、それに合わせてカッコつけることばかり考えていたように思います。

漫然とした日々を送りながら、このままじゃあいったい俺の人生何なんだろう?という漠然とした想いが積み上がってきたとき、ゼミや就職活動を通じて主体的に様々な人たちと出会い、自分の人生を切り拓く面白さと勇気をもらいました。ありのままのカッコ悪い自分をまず直視して受け入れたところから成長が始まったと思います。

p.211
人生は誰と出会うかで決まるのです。それは何も、有名な人や世間からすごいといわれる人との出会いに限りません。日常のふとした出会いが、人生を変えるきっかけをくれることだって少なくありません。いや、ほとんどがそうです。大きく人生を変える、結婚相手との出会いも、最初はそういう偶然の出会いがきっかけですから。ただ、確かに一つひとつの出会いは偶然起こっているように見えるけれども、「今」という場所から過去を振り返り、一つひとつの出会いを見つめてみると、どれも今の自分を創る上で欠くことができない必要な要素になっていることに気づかされます。

スティーブ・ジョブズに言わせるとこうなります。

Again, you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.

だからこそ、ただ与えられた人生を漫然と生きるのではなく、出会うべくして出会った人々との縁を大事にすること、そしてまだ出会っていない「将来の自分を導いてくれるはずの誰か」と出会うために新しいことに挑戦し続けることが、僕は自分の成長にとって、そして幸せに向かって欠かせないことだと思うのです。

「そんな当たり前のこと、知ってるよ」と片付けられてしまいがちな、至極当たり前なメッセージですが、心の底からその価値と可能性を信じて行動できるかどうか。少なくとも大学生の時にそれを体感し、それ以来、自分の行動指針にしてきた僕にとっては共感しながらすっと腹に落ちるストーリーでした。

小5の息子は夏休みの宿題として、今ちょうど僕の隣でこの本の読書感想文を書いています。小学生でも小学生なりに感じるものがある一方、自分のキャリアにモヤモヤしている20-30代の社会人にも自分の答えのつくりかた」とセットでお勧めできる1冊です。

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