新大学生の息子、新中学生の娘を連れて家族4人で春休みに屋久島へ行ってきました。
初日は、羽田から鹿児島経由で屋久島入りして、トレッキング用品をレンタルする等、翌日に備えつつ、天然温泉つきの宿でのんびり過ごしました。
屋久島と言うと、世界自然遺産とか、屋久杉・縄文杉とか、もののけ姫の舞台になった苔むす森といったイメージはあったものの、ほとんど何も知りませんでした。
今回、家族で旅することになり、ネットでざっくりお勉強。すると、実は縄文杉までのトレッキングは想像以上に厳しい道のりであることが判明しました。
縄文杉までのトレッキング概要
- トレッキングというより登山
- 登山口までは車の乗り入れ禁止でバスかタクシーで入山
- 縄文杉までは、標高差700m、往復22kmの山道を歩く必要あり
- 登山口までのバスのスケジュールの都合上、ガイドツアーは朝が早い
- 概ねどのツアーも宿へのお迎えが早朝の4:30!
- バス乗り場(屋久杉自然館)から荒川登山バスで登山口まで移動
- 5:00から6:00まで20分間隔でバスが運行
- 帰りのバスは15時から18時まで30分間隔
- 18時のバスを逃すとタクシーを呼ぶほか帰る手段なし
今回は受験生活ですっかり体力が落ちている子供2人連れ、特に下の娘は小6ということで、果たしてこのハードな行程を完遂できるのか不安でした。
そこで、一般のツアーには入らずに、個別に家族専用のガイドをお願いして何とか時間内に縄文杉まで往復できるようリードしてもらうことにしました。
ネットで各種のツアー会社を比較した結果、実績があって安心できそうな「屋久島ガイドツアー」さんの「縄文杉トレッキング」コースに申し込むことに。
縄文杉トレッキングに必要な装備
色々と縄文杉トレッキングについて調べるほどに、思っていたよりもガチな登山になりそう、とは思ったものの、ハイキング程度の経験しかなかったのでまともな登山グッズは皆無でした。
同時に、子供の受験も一段落したので、今回を機に彼女と登山を楽しみたいと思っていました。
そこで、登山と言えばモンベル(mont-bell)ということで、お店に行ってみました。さすが専門店、常駐スタッフが丁寧にアドバイスしてくれて、概ね必要な装備を理解した上で以下のグッズ一式を購入。
- トレッキングシューズ
- 雨具上下(防風・防寒にもなるため防水素材のしっかりした作りの登山専用のもの)
- 登山用のズボン(軽くて伸縮しやすい素材のもの)
- 登山用の靴下(左右形の違うデザインで厚手のしっかりしたもの)
- 登山用の長袖肌着(伸縮性、保温性、速乾性に優れた素材のもの)
ただし、子供たちはまだ成長中でサイズアウトがもったいないので靴下と肌着のみ購入し、ほかはレンタルすることにしました。
春休み、3月の屋久島の気候
3月といっても今回は春休みの3月末でしたので、どちらかというと4月の天候に近いと思います。4月の屋久島の平均気温は最高12度、最低5度だそうで、今回の滞在中もそんな感じの予報でした。
ただし、この気候は平野部の話で、縄文杉トレッキングは標高600mの登山口からスタートし、縄文杉のある地点は1,300mなので更に寒いです。したがって初春とは言え、真冬の防寒対策が必要です。
天気予報はほぼ雨マーク。季節柄、雨は避けられないと覚悟してレインウェア上下と折り畳み傘を各自準備して臨みました。レインウェアを着ていれば折り畳み傘は不要では?と思いましたが、写真を撮ったり、昼休みにお弁当を食べる際に必要とのこと。確かに言われてみるとそうですね。
実際に歩いてみた縄文杉トレッキングコース
いざ出発!…実はコースの8割はトロッコ道
5:20のバスで登山口に向かって出発し、6:00頃に到着。屋根のあるところでさっと朝食のおにぎりを食べてトイレと準備体操を済ませて6:30頃にいざ出発!
歩いてみてわかった意外な事実は、片道11kmのうちの大半、約8割は今でも使われているトロッコが走るレールの上を歩くトロッコ道、ということ。

このトロッコ道、とっても風情があって素敵です。少なくとも始めのうちは…
- レールの間に敷き詰められた木の板の上を歩けば平坦で安全、楽ちん
- 古いトロッコ道と自然の不思議なハーモニーが醸し出す素敵な雰囲気
- 景色や足場が単調で飽きやすい
- 手すりのない橋は怖い!高所恐怖症の人で橋が渡れずに断念した人もいるとか。

少なくとも僕はこのトロッコ道、好きです。確かに8km以上も続くと若干飽きますが、それなりに風景も変わりますし、何よりもゴツゴツの登山道に比べると格段に歩きやすい!行きも帰りも、このトロッコ道をスタスタ歩くことで距離を稼げます。
ただし、子供は要注意です。娘は延々と続くと思われるトロッコ道に飽きてしまい、疲れも出てきて、ようやく長いトロッコ道が終わって「さあ、これからいよいよ本格的な登山道に入るよ!」という段になって既に心身ともに相当凹んでいました。



最後の2kmちょっとの本格的な登山道
長いトロッコ道が終わると、最後に待ち構えているのがいわゆる登山道。ここから森に分け入っていきます。とは言え、そんなにきついコースではないです。
まだ往路の途中だと言うのに足が痛み出し、気持ちも萎えてきた娘を何とか元気づけて登山道に入りました。ここからはコース途中に1から50までの目印があり、50が縄文杉。励みになります。


それまでのトロッコ道とはうって変わって、バラエティに富んだ原生林の中を歩きます。ところどころに貴重な屋久杉(樹齢1000年以上の杉だけがこう呼ばれるそう)スポットがあり、ガイドさんが説明してくれます。



ウィルソン株から見えるハート型
山道の途中、しばらく進むと到着するのが休憩スポットでもあるウィルソン株。枯れて空洞になった屋久杉の切り株の中に入ることができます。
上を見上げると切り株の上部に穴が空いています。一見すると、ただの穴ですが…

切り株の入り口から入って右側の壁に沿って座って見上げてみると、不思議なことに上の穴がハート型に見えるポイントがあります!しゃがみこんで見上げながら少しずつ移動すると突然ハート型に見えるので分かります。
そして、我らがガイドさんが僕のスマホのカメラのパノラマ機能を使って撮ってくれたのがこの一枚。通常では決して撮れない構図ですが、ズバリ綺麗に一枚に収めて頂きました。

そして、遂に縄文杉と対面!
元気のなかった娘もこのウィルソン株のおかげで一気に表情が変わりました。ここから縄文杉までの山道は急になるのできついですが、トロッコ道に比べると見どころが多くて飽きにくいので、休みながら何とか頑張ることができました。
縄文杉は、発見当初に樹齢4,000年と推定されたことから名付けられたそうですが、実際には3,500年~7,200年くらいの幅で諸説あるそうです。
木の周りの環境を守るために縄文杉周辺は立ち入りが禁止されており、15mほど離れた場所に設置された足場から見る形になっています。

足場を登ると、遂に縄文杉が出迎えてくれました!

この時、既に13時過ぎ。登山を開始してから6時間半が経過していました。途中、数多くのパーティに追い抜かされ、僕らが到着した時には入れ替わりで何と縄文杉が貸切状態に。
登山の疲れを癒やしつつ、何とも贅沢な屋久杉との時間を名残惜しむように静かに楽しみました。実は僕らの後ろにはもうひと家族がいたのみで、ほぼ最終組になっていました。
この時点で、最終バスの18時まで、あと5時間を切った状態。帰りは下りとは言え、疲れた体でバス停のある登山口までもう11km、標高差700mの山道を踏破しなければなりません。
野生の猿、そして鹿にも遭遇!
ペースを上げて、ひたすら来た道を戻ります。途中、運が良いと遭遇することもあると言われていた野生の猿、そして鹿にもバッタリ出会うことができました。


いよいよ足が痛くなってきて泣きそうになる娘を励ましながら、トロッコ道に戻ってからは一気にペースアップして一路、バス停を目指します。何とかバス停に辿り着いたのは17:55、最終バスの5分前でした。
さすがはプロのガイドさん。子供の体力を見ながら、しっかりペース配分して頂き、結果的に全てのスポットを丁寧な解説つきで見て回ることができました。
また、家族だけでは撮ることのできない家族写真をたくさん撮って頂けました。プライベートガイド、少なくとも子連れ家族には十分に価値がありました。
終わってみれば一番心配していた雨に降られることもなく、この季節としては驚くほどの晴天にも恵まれて、家族の想い出に残る縄文杉トレッキングになりました。