いま思うこと

人智を超えた大きな力に逆らわない生き方

スポンサーリンク
いま思うこと
スポンサーリンク

今晩はANAホテルにて開催されたUCLA日本同窓会30周年記念パーティに出席してきました。ちょうど隣の宴会場では楽天の決算発表会が終わったところだったようで、多くの来場者とすれ違いながら会場へ。6:30からの総会には出れませんでしたが、パーティに先立って7:30から始まった河合隼雄さんによる講演「日本文化外交と世界の中の日本」にギリギリ間に合いました。

河合さんはUCLA留学後、スイスユング研究所で日本人として初めてユング派分析家の資格を取得した方として有名です。臨床心理学や心理療法に関する本のみならず、子育て論や仏教論、村上春樹や吉本ばななとの対談など、タイトルを見るだけでも興味をそそられる作品がずらり。

講演では、日本の神話をベースにして日本人の考え方や組織のあり方についてユーモアたっぷりにお話しくださいました。日本の神話ではNo.2とNo.3の神様が一生懸命働いているのに実は一番中心にいる神様は何もしていない、他国の神話等でよく見られるような善悪の神が戦う勧善懲悪スタイルのわかりやすい構造は日本の神話には見られない、日本では中心にいる神様は周りの色々なキャラクターの神様達の調和を保つ役目を果たしている等・・・。

話は日本の神話に留まらず、中心の神様を日本の会社の社長に見立てて、日本の会社組織では長い間、社長はバランス型、中空均衡タイプの人間が選ばれる文化だったと分析。それが最近では、欧米型の経営手法、いわば一神教の精神文化に基づく強いリーダーシップスタイルがもてはやされてきていると繋げます。そして、今後求められるリーダー像は、日本古来の調整型と欧米の強いリーダーシップ型の双方を内包し、その矛盾に気づきながらも場面に応じて柔軟に使い分けることができる人材だと予言されていました。

そのほか、日本人は美意識を大事にする文化、例えば「お前は悪い奴だ」と言われるよりも「お前は汚い奴だ」と言われた方が心にぐさっとくるという観察等、非常に興味深くユニークなお話がポンポンと続きました。

中でも印象的だったのは、特に宗教を持たず、ただ毎日を生きていられることを感謝しながら自然と共存して暮らすアメリカのナバホ族の話。この部族の老人たちは歳を重ねるにつれてますます生き生きとした表情で幸せを噛み締めて日々生活していること、そんな彼らにとって大事な価値観について尋ねると、harmony(調和)とかbeauty(美)といったキーワードが出てきたというエピソード。

日本人も歴史的には同じような価値観を持ちながら、現代では行き過ぎた物質文明に侵されて人間として本当に大事な心構えを忘れがちになり、日々の忙しさの中で本当の幸せを見失いかけているのではないか・・・といったことを考えさせられました。

講演の中で一貫して根底に流れていたテーマについて思いを馳せると、「あくせくして目先のことで色々と悩むのではなく、大河の流れに身を任せるように次から次へとやってくる出来事に対して自然体で臨むべし」というようなことだったと感じました。最近、ふとした折に同じようなことを考えたり感じたりする機会がよくあったので、いちいち納得しながらお話を聞くことができました。人生のこのタイミングで彼に出会い、自分のキャリアや生き方、幸せのあり方について考えを深める機会を得ることができたことに感謝です。

あっという間の一時間弱でしたが、最後まで全く飽きさせることなく、様々な引き出しを用いながら京都弁で優しく語る河合さんの人柄と深い洞察に圧倒されました。さて、自分が77歳の頃は一体どこで何をしているのでしょう。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
takekuraをフォローする
ロサンゼルスMBA生活とその後