「いま、会いにゆきます」という本を読みました。賛否両論あるようですが、電車男にも素直に感動してしまった僕としては、そして4歳の息子を持つ父親としては、たやすく作者の意図に乗せられて最後まで読んでしまいました。
渡米前の1-2年は仕事とMBAの受験勉強で随分と忙しい時間を日本で過ごし、またこちらに来てからも当初は慣れない英語と課題の山で家族との時間をかなり犠牲にしていました。MBAも2年目に入り、最近はかなりTime managementもできるようになり、自然と家族と過ごす時間が増えました。
当たり前な、何でもない普通のことを家族とする幸せ(例えば3人で近所の公園へ行ってのんびりと過ごす時間)をしみじみと実感する一方で、自分の今後のキャリアプランについて考えたり、職場に戻ってからのことを考えると、今後はいよいよ「キャリアと家族とのバランス」をどうやってキープしていくかが僕にとって大きなテーマの一つだと思います。
ビジネススクールでの生活を通じて、ビジネスやキャリアについて徹底的に考える時間を与えてもらっている中で、ビジネスパーソンとしてのキャリアを突き詰めていけば、まだまだどうにでも自分の道は切り拓いていけるという強い思い、憧れを感じる一方で、家族と過ごす時間の大切さも同じように強く感じる機会が増えました。
今まで10年弱、やみくもに目の前の仕事に取り組むことを大事に考えて突っ走ってきたときに、ふと自分のこれからの人生について「このままで本当にいいのか?」という漠然とした不安のようなものを感じたのも留学を志したきっかけの一つでした。その意味で、今回の留学で、今までとは全く別の言語、文化、世界に身を置き、全く別の価値観(学生という身分)で自分を見つめ直す「時間」を得られたことは間違いなくプラスだったと思っています。
結局、幸せとは人それぞれの価値観によるものであり、今後も自分、そして家族にとってベストな「幸せ」の姿を試行錯誤しながら追究していくことでしょう。今までの経験から、僕は自分の能力に比してよりチャレンジングな環境や課題を与えられると、反射的に「いっちょやってみるか」と気負い、つい頑張りすぎて周りが見えにくくなってしまう欠点があります。
そんなときには、どんなに忙しかったとしても、意識してビジネスの世界とは対極の世界にしばし思いを馳せることで、自分の中のバランス感覚を取り戻すことが僕にはとても大切です。そんなときほど「ありえないファンタジー」や「お涙ちょうだい系」でも結構はっと気づかされる瞬間が多々あります。
子供の今後の成長を考えると、自然とこれからの日本、社会のあり方についても色々と思いを巡らせる機会が増えてきました。こうしたバランス感覚を大事に、自分なりのhappinessについて、そして更に一歩進めて自分なりのあるべき社会の姿についてこれからも考えていきたいと思います。
【追記】
帰国後、映画版をDVDで観ました。ストーリーの大筋は原作に忠実に作りつつ、さりげない伏線や演出を加えた内容、キャスティング(特に竹内結子)、ロケ地のイメージ・・・等、完成度は原作を超えていると思います。ぜひ一度ご覧あれ。