読書メモいま思うこと仕事

採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの

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本エントリーの反響

このエントリーは期せずして非常に多くの方々に読んで頂きました。

公開翌日の11/19(月)だけで9,000件以上のアクセス、瞬間同時閲覧数は226ユーザーを記録、はてなブックマーク300件、Twitter100件という反響。公開から6日が経過した時点では13,000件を超えるアクセスがありました。

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伊賀さんとの出会い

いつものように、朝、自宅のリビングで日経新聞を読んでいると目に飛び込んできたのが「採用基準」(ダイヤモンド社)の広告でした。「マッキンゼーの採用マネジャーを12年務めた著者が語る」というくだりを読んで頭にすぐ浮かんだのが伊賀さんの顔。

マッキンゼーを2年前に卒業し、キャリアインタビューサイト “MY CHOICE”を開設されたことはFacebookで知っていました。いつもは図書館で借りる派でめったに本を買わない僕ですが、「伊賀泰代」として本を出版したとなれば買うほかあるまいということで、Amazonですぐに注文しました。

伊賀さんとの出会いは、僕がUCLA Anderson School of ManagementのMBA課程の1年目で四苦八苦しながら夏休みの過ごし方をあれこれと模索していた2004年のこと。コンピュータテクノロジーで世の中を変えるような仕事がしたいと考えて就職した会社でがむしゃらに数年間働いた後に、企業派遣でのMBA留学というチャンスまでもらって家族で渡米していた僕にとって、キャリアチェンジは全く考えていませんでした。ただ、バブル後の就職氷河期と呼ばれた時代に就職活動する中で外資系3社含む5社から内定を頂き、最後まで迷っていたのがコンサルティング業界でした。

あれだけの高額なフィーを要求しても成り立つ経営コンサルティングとはいったいどんな仕事なのか。そして何よりもその中で働く人たちはいったいどんな人間なのか。いったんはSEというキャリアを選択したものの、サマーインターンシップという形で経営コンサルティング業界のインサイダー体験ができるならぜひとも挑戦したい。どうせやるならNo.1ブランドのマッキンゼーでやってみたいと思っていた頃、同社東京オフィスのリクルーターがLAまで来てくれるとの話を聞きつけて出会ったのが伊賀さんでした。

それまでに様々な企業の面接を受けたことがあった僕ですが、その時の面接は過去に体験したことのないユニークな内容でした。たった1つの質問だけ、しかも全く想定していなかったシンプルな問い、かつコンサルティング業界を志す者をスクリーニングするためには究極なまでに本質的な問いを与えられて、1時間ほど色々な話をしました。あまりにユニークな問いだったこと、そして伊賀さんがとても聞き上手で僕の引き出しをどんどん開けてくれるので頭はフル回転で楽しく密度の濃い時間だったことから、今でもそのインタビューは鮮明に記憶に残っています。

かつて僕の会社からMBAに企業派遣されている社員が社外でサマーインターンを行う前例はありませんでしたが、自分の視野を広げ、可能性を見極めるのにはまたとないチャンスと考え、本社の人事部と交渉した結果、無給を条件に特別にインターンを認めてもらうことができました。

その年のマッキンゼーのサマーインターンはUCLAをはじめスタンフォード、UCバークレー、USC等の西海岸のビジネススクールからの参加者は僕だけでしたが、他にもハーバードやケロッグ、エール、プリンストン、INSEADといった全世界のトップビジネススクールを中心としたプロフェッショナルスクールから選抜された10名少々が参加しました。

たった2週間という短い期間でしたが、あの夏に出会った仲間のトンガリ具合は衝撃的で、自分がいかに井の中の蛙だったかを思い知らされました。また、日替わりで同社のコンサルタントに議論に参加してもらったり、ランチをともにしたりする中で、まだ2年目くらいの若手からマネージャクラス、パートナークラスまで多様な才能と個性にあふれた面々と出会い、その論理構成・展開力、着想の自由度、議論のリーダーシップを目の当たりにして大きな刺激を受けました。

単なる人事マネージャではなく、もとはコンサルタント出身でマネージャとしてバリバリ活躍されていた伊賀さんは、毎日、ほとんどの時間を僕らのチームに同席して、時に鋭い指摘や笑いを提供してくれたので、僕にとってのマッキンゼーは伊賀さんのイメージが多くを占めています。

そんな強烈な短い夏の記憶を思い出しながら本書のページをめくりましたが、まずタイトル「採用基準」は意図的な釣りです。マッキンゼーというブランドと「採用基準」という誰もが気になるようなキーワードを並べて、まずは興味を持ってもらう、手に取ってもらうという意味ではマーケティング的なタイトルのネーミングは上々でしょう。しかし、本書は、マッキンゼーの内定をもらうためのTipsでもなんでもなく、実はビジネスパーソンとして、あるいは一人の生活者として、これからの時代を生き抜くために不可欠な要素「自分の車のハンドルを自分で握ること」、すなわちリーダーシップを身につけることの重要性についてひたすら説かれています。

●概要
マッキンゼーと言えば、ずば抜けて優秀な学生の就職先として思い浮かぶだろう。そこでは学歴のみならず、地頭のよさが問われると思われがちで、応募する学生は論理的思考やフェルミ推定など学んで試験に挑もうとする。
しかしマッキンゼーの人事採用マネジャーを10年以上務めた著者は、このような見方に対して勘違いだという。実はマッキンゼーが求める人材は、いまの日本が必要としている人材とまったく同じなのだ。だからこそ、マッキンゼーは「最強」と言われる人材の宝庫の源泉であり、多くのOBが社会で活躍しているのだ。
本書では、延べ数千人の学生と面接してきた著者が、本当に優秀な人材の条件を説くとともに、日本社会にいまこそ必要な人材像を明らかにする。

●主な内容 ・マッキンゼーでの17年間
・コンサルティングより人材育成システム
・誤解される採用基準
・採用したいのは将来のリーダー
・東大法学部と経済学部の学生の違い
・スクリーニング基準と採用基準の違い
・日本の大企業で劣化する人
・能力の高い人より、これから伸びる人
・「マッキンゼー入社」を目標にしている人は採用されない
・不幸な海外MBAへの企業派遣制度
・すべての人に求められるリーダーシップ
・リーダーシップで人生をコントロールする
・メンタルセットの変化
・問題が解決できる
・自分の世界観が実現できる
・世界が拡がる
・価値観転換機関としてのマッキンゼー

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リーダーシップに役職は不要

特に僕がいま推進している「グローバルで新市場を立ち上げる」という途方もないテーマの場合、ひとりで悩んでいても何にもなりません。様々なステークホルダーを巻き込みながら自由に発想してもらったり突っ込んでもらったりするなかで新しい突破口が見つかることが多々あります。このとき重要なのがその場の雰囲気づくり。部長という立場の僕は、ホワイトボードの前に立ち、参加者が委縮せずに自分の考えをどんどん発信することを推奨するファシリテーターであり、自分自身も時に議論のリーダーとして積極的に参加します。

p.67 問題解決リーダーシップとは、プロセスをうまく回すためのスキルではなく、答えの質そのものの向上を追求するためのスキルです。思考を深められるよう視点を何度も変更してみたり、みんなの発想を刺激するため、思わぬ角度から質問を投げかけてみたり、時にはあえて反論を述べ、参加者の意思や論理構成がどれほど強固なものか、試してみる場合もあります。

p.70 本来のリーダーとは、(中略)「チームの使命を達成するために、必要なことをやる人」です。プロジェクトリーダーである自分の意見より、ずっと若いメンバーの意見が正しいと考えれば、すぐに自分の意見を捨て、その若者の意見をチームの結論として採用するのがリーダーです。

p.72 もちろんマッキンゼーのチームにも、プロジェクトマネジャーや責任パートナーは存在します。しかしそれらはチーム管理上の役割にすぎません。(中略)マッキンゼーではみんな、「全員がリーダーシップを発揮して問題解決を進める」という前提で、他者に対して遠慮なく自分の意見を伝えます。(中略)部下が自分の言ったとおりに動くと思えば、上にいる人はよくよく自分の影響力を考えてからでないと、発言ができなくなります。(中略)
けれどマッキンゼーではそんな気遣いは無用です。どんなに強くパートナーが意見を言っても、他のメンバーはそれを上司の指示とは受け取りません。その意見を尊重するべきか否かを、自分で考えて決めようとします。だからこそ、”上の人”も自由に自説を主張することができます。ヒエラルキーを議論にもち込まずにすむのは、全員がリーダーシップをもっているからなのです。

この「ヒラエルキーを議論に持ち込まない」というのがポイント。僕のチームで日々行われているディスカッションでは6年目の若手社員もベテランの課長も役職などは一切関係なく、自分のポジションを取って意見を表明しながら、いかにしてその場のテーマに対してバリューのある発言ができるか、の1点に注力しています。

予め手順がほとんど標準化されている開発作業等とは違い、その時々で日々変化し発生する論点に対して分析し、方向性を決めていくような新規ビジネス立ち上げの世界では、事実と論理を積み上げてチームで双方向に議論し、もっともらしい仮説を打ち立てて行動につなげること、そして行動の結果として得られる反応を踏まえて仮説や前提条件を修正しながらより具体的な戦略として洗練していくことが求められます。

このような誰も正解を知らない新しい課題解決のプロセスでは、経験豊かな管理職だからと言って過去の経験から正答を導出できるわけでもなく、時には当たり前だと誰もが考えているような業界の常識をさらりと疑ってかかることができる若手の方がかえって斬新な発想をしたり、意外な盲点に気づいたりしやすい面もあります。そうした「安全でオープンな議論の場」づくりは、現場の雰囲気、もっと言えば価値基準を作り出す部長の責任です。

p.99 マッキンゼーでも、役職の裏づけがなければリーダーシップを発揮できないような人に、役職が与えられることはありません。役職という権威の裏づけがないと、人を率いることができないのであれば、リーダーシップがあるとは見なされないからです。

仕事の量・質ともに誰にも負けない自負をもってがむしゃらに取り組んでいた20代の頃、担当者として自分がやるべきことは十二分に果たしているのに主任や課長代理、課長といった役職をもった先輩や上司が決めるべきことを決めてくれなかったり、指示するべきアクションを取ってくれなかったりする姿を見ながら、「もし僕に権限があったら・・・」とよく考えていました。

そんなある時、お客様のキーパーソンがいる場で意見を求められた際に、ここぞとばかりに自分がそれまで考えてきた仮説と打ち手を想いを込めて伝えたところ、そのキーパーソンの方が僕を見出し、引き立ててくれるようになりました。それ以来、自分に自信を持てるようになり、肩書はなくとも事実と論理と情熱があればわかってくれる人が必ずいるという信念を持って仕事に取り組むことができるようになりました。このとき、リーダーシップとは役職に関係なく意図して学び鍛えることができるTrainableな資質であることに気づいたのです。

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変化は「対応する」ものではなく「起こす」もの

p.120 「変化に対応する力のある人」を求めるという言い方がありますが、リーダーシップ・ポテンシャルの高い人を求めるという趣旨から言えば、変化への対応する力が高い人ではなく、むしろ、「変化を起こす力のある人」が求められます。(中略)

対応という言葉には、変化は外部からやってくるもの、という前提があります。しかしリーダーにとって変化は自分が起こすものであって、外からやってきて対処すべき対象ではありません。その人が立つ場所が主体側であるか否かは、決定的に重要です。同様に、目標を誰かから与えられ、それを達成するために働くだけの人はリーダーではありません。リーダーにとって、目標は自分で掲げるものなのです。

MBA留学から帰国してまず最初に手を挙げたのが自社で新たに策定されたグループビジョンをどうやって浸透させるか?というテーマでした。本業とは全く関係のない活動でしたが、逆にそうであったからこそ失敗を恐れずに自分が考える理想をとことん追求してやろうという覚悟で臨みました。結果として、2005年当時はまだ斬新だったソーシャルメディアを企業内コミュニケーションの活性化ツールとして活用するというアイディアを着想し、世界に先駆けて実現することで、それまで保守的で内向きだった社風に風穴を開けるきっかけを作ることができました。

振り返れば、UCLAで最初に取り組んだLeadership foundationのクラスで“Pushing yourself out of comfort zone”という考え方に触れて、以降、自分の中でいつもこの言葉で自分を鼓舞しながら新しいことに挑戦してきました。こうしたリーダーシップに関するマインドセットの大きな転換があって、2年間、ビジネススクールでヒエラルキーのないチームで世界中の仲間と自分なりのリーダーシップスタイルを意識しながらチームで成果を出す訓練を繰り返した末に、典型的な日本の大企業に戻ってきた僕は、日本人しかいない同じ職種の同じような経験した人しかいないチームに放り込まれたとき、留学前とは全く別の視点から仕事に取り組む準備ができていました。

硬直した組織であるほどに自分なりのバリューが出せることに気づき、起業や転職というオプションに挑戦する大勢の仲間と比べれば自分はしょせん大企業のサラリーマンという守られた環境で仕事をしているという事実に気づき、それならばせめて思いっきりエッジを利かせて自分なりのリーダーシップを発揮してやろうという意気込みに溢れていました。

その時点で、会社の本流である部署を希望すればどこでも行ける状況でしたが、あえて自分のバリューが活きそうな新規ビジネス立ち上げのチームに飛び込み、上司の反対にもめげずに課長代理の立場で副社長に直訴して自分が考える新しい取り組みについて価値を認めてもらい、小さなチームを立ち上げました。その結果として1年後には戦略的なM&Aを行い、自社にはないユニークなソリューションのポートフォリオを生み出すことができました。MBA留学前では想像すらできなかったアクションでしたが、そんな働き方を自然と選択できたのもUCLAで学んで身につけたリーダーシップのおかげだと思っています。

p.114 どこで働く人も、自分の成長スピードが鈍ってきたと感じたら、できるだけ早く働く環境を変えることです。もちろんそれは転職である必要はなく、社内での異動や、働き方、責任分野の変更でも十分です。

そのあと、ずっとグローバルなフィールドで新規ビジネス立ち上げに携わりたいという想いを胸に抱きながら、それとは真逆な環境で4年ほど修行の日々が続きました。今となってみれば、まさに“you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.”であり、それまで自分が経験したことのない事業計画や人事・総務といったスタッフ業務や特定の顧客に張り付く顧客営業という職種を経験し、広い視野を身につけるための良い契機だったと思えますが、当時はモチベーションを維持するのが精一杯で辛い日々でもありました。

転職も視野に入れて自分のキャリア展望を考え始めた矢先に、今の上司である執行役員に相談したところ、自分がかねてより挑戦したかったグローバル市場開拓の仕事を任せてもらえるチャンスに巡り合うことができました。僕にとって全くの新境地であり、大きなキャリアチェンジとなりましたが、不思議と迷うことなく一歩を踏み出せたのも、この日が来ることを想定して十分に準備を重ねてきていたことが背中を押してくれました。

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いま求められるグローバルリーダーシップとは

p.171 今の日本、そして日本企業に必要なのは、「外国語が話せ、海外でも自分たちで開発、営業、マーケティングなど、従来の事業オペレーションを粛々とこなせる人材」(グローバル人材)なのでしょうか?そういった仕事は、現地の人ではなく、わざわざ外国人である日本人がやる必要のある仕事なのでしょうか?
そうではなく、必要とされているのは、
・海外で雇った現地社員を率いて、開発、営業、マーケティングなどの事業オペレーションを、海外でも回していけるリーダー
・海外で買収や提携した企業の社員とともに、事業企画や問題解決のプロセスを率いていけるリーダー
ではないのでしょうか?

全く同感です。商社のように最初からグローバルを視野に入れて事業展開している企業は別として、僕の勤務している会社のような、つい数年前までは売り上げのほとんどすべてを国内市場に依存していた企業が急速にグローバル化を掲げて変革している最中にある組織では、こうしたグローバルリーダーの絶対数が圧倒的に不足しています。今は積極的に経験者採用を続けることで何とかオペレーションを回していますが、本格的に各国でのビジネスを拡大していくためには上述のようなグローバルリーダーを社内の有望な若手から育成していく仕組みが不可欠です。

p.190 不幸な海外MBAへの企業派遣制度
大半の企業において、「企業派遣による海外留学制度」がつくられた趣旨は、自社の社員に海外で何か価値あるものを学ばせたいということではなく、新卒学生を採用するためのマーケティング目的でした。(中略)
このため、留学を終えて企業に戻った社員は、留学中に学んだことを仕事に活かせるわけでもなく、時には「留学できなかった他の社員とのバランスをとる」という理屈の下、復帰後はあえて望まない部署に配属されることもありました。(中略)
その結果、企業派遣生として留学しながら、卒業後に外資系企業に転職する社員が相次ぎました。これに慌てた日本企業は、留学制度の規模を縮小したり、転職が難しくなるよう、派遣する社員の年齢を引き上げたり、転職意識が高まるビジネススクールではなくロースクールへの留学しか認めないなど、次々と対策をとりました。(中略)
せっかく日本の優秀なビジネスパーソンを海外で学ばせ、グローバルリーダーに育てる機会であるにもかかわらず、高い授業料を払って、このような誰一人として得るもののない制度になってしまっているのは、本当に無意味なことと思います。

過去の企業派遣制度の実態は知りませんが、少なくとも僕が留学した2003-2005年当時、あるいはその後の当社の企業派遣生を見ていると上記の指摘は的外れです。少なくとも僕の勤務先では人事部は中長期的なグローバルリーダーを育成する目的で候補生を選抜し、現場は当人のキャリア志向を踏まえて配属・育成しています。まさにグローバルリーダーが絶対的に不足している中、欧米のビジネススクールでサバイブしてきた人材に対する期待は企業内でますます大きくなってきています。僕はそんな彼らが帰国後に働きたいと思うようなワクワクする職場を作りたいと思っています。

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自分の人生のハンドルは自分で握ろう

p.183 苦境に陥った企業を立て直すことに成功するリーダーは、要となるポジションに、何人ものリーダーを外部から呼び込みます。さらに社内の若手社員から、リーダーシップ・ポテンシャルのある人を年功序列にかかわらず引き上げて、権限を与えます。こうやって組織の中に一定量のリーダーシップを確保して初めて、組織は変化を始めます。(中略)
国も大企業も変革するために必要なのは、一人の卓越したカリスマリーダーではなく、リーダーシップをとる人の総量が一定レベルを超えることなのです。

p.224 私は、「リーダーシップを発揮することは、自動車のハンドルを握ることと同じである。リーダーシップを身につければ、自身が人生のコントロールを握ることができる」という表現をよく使います。(中略)人生のコントロールを握るということは、目標を自分で設定し、それを実現するためにリスクをとって、自ら行く道を定め、良し悪しにかかわらずその結果を自身で受け止める覚悟をもつということです。(中略)リーダーシップを身につけた人たちは今、人生のコントロールを取り戻し、広がる世界で自分自身の生き方を模索し始めています。彼らのリーダーシップにより、日本企業や日本の社会が抱える問題の多くが解決できるでしょう。しかし最も重要なことは、個々人が与えられた枠の中で生きるのではなく、自分自身の力で人生を設計できるようになることです。

僕の好きな本「自分の答えのつくりかた(渡辺健介)」の中で「社会に出たら、現実は複雑だ。そして、厳しい。圧倒的な想像力、考え抜く力、心の優しさと強さ、たたみ込む力、政治力などを身につけて、初めて理想は貫ける」という言葉がありましたが、他の誰でもない、「かけがえのない人間」になるためには、自分のアタマで考え、行動するほかありません。

リーダーシップについて欧米人が論じた書籍は多数ありますが、日本人による日本人のためのリーダーシップ論として本書はコンパクトでインパクトのある本です。今の日本の閉塞感をどうにかして打破したいと思っている日本人、特にこれから社会人になる学生や若手のビジネスパーソンにお勧めしたい一冊です。

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