Shwedagon Pagoda
日曜日は朝からミャンマー最大の寺院、Shwedagon Pagodaへ。ヤンゴン市内の中心部にひときわ周りを緑で囲まれている中に突如として現れる金色に輝く塔が目印です。
3月は冬とは言え、5度前後の東京に対してミャンマーは35度くらいまで気温があがります。寺院内は裸足で歩くルールにつき、入り口で靴を預けます。
僕が訪ねたのは午前中だったのでまだ我慢できましたが、午後になると日光で熱せられた大理石の石畳が熱くて歩くのも大変そう。普通に歩くだけでも1時間はかかる広さなので、ミネラルウォーターは必須です。

幸運なことに、伝説によるとこの寺院は建設されてから今年でちょうど2600年目だそうで、境内はその節目を記念したお祭りで賑わっていました。





中心部の巨大な黄金の仏塔は高さ100mほどあり、最先端には79カラットのダイヤモンドを始め、多数の宝石や指輪が取り付けてあるとか。これ以外にも周りを取り囲むように大小さまざまな金色の仏塔が立ち並んでいます。これらはみな信者からの寄付によって作られたもの。
境内で1000チャット(約100円)を払うと金箔を3枚買うことができ、仏像の金色が剥げているところに自分でこの金箔を貼り付けます。もっとお金がある人は1枚で数十万円もする大きな金箔も販売されています。こうした熱心な信者の寄付によって、この金色に輝く莫大な寺院の仏塔や仏像が維持・発展しているのです。





中心の大きな仏塔を取り囲むようにして8箇所に8曜日の祭壇があります。ミャンマーでは生まれた曜日が重要な意味を持っているのですが、この曜日ごとに神様の動物が決められており、それごとに祭壇があるのです。
早見表で調べてみると、僕は火曜日生まれで神様はライオンでした。火曜日のライオンの祭壇に行くと、多くの火曜日生まれの信者が集まって像に水をかけています。


祭壇を良く見ると、小さな仏像、大きな仏像、茶色い柱(自分が生まれた場所を示す)、曜日の神様の像(火曜日はライオン像)の4つからなっています。この順に、水を5回ずつ、合計20回かけていきます。
5回ずつ水をかけるのは、お釈迦様に1回、お釈迦様の教えに1回、お釈迦様の教えを広めるお坊さんに1回、両親の教えに1回、それ以外の様々な人々の教えに1回、という意味が込められています。
つまり、自分が教えを理解しているだけでは駄目で、周りの人々にも教えを広めていくことが重要という考えに基づいているそうです。一通り水をかけた後は、現地の人々に倣い、祭壇前で跪いてお祈りしました。
途中、出家する少年たちの行列に出くわしました。少年たちの前後には少年の家族らが道具を持って長い列をつくっていました。






Chauk Htat Gyee Pagoda
午後は、Chauk Htat Gyee Pagodaへ。ここの見所は、ミャンマーで最大の大きさを誇る寝釈迦像、全長70mほどあるそうです。


手相の占い師
夕方には、手相の占い師を訪ねました。ミャンマーでは占星術や手相占いが生活に根ざしており、生まれた曜日、時刻が重要で、それによって相性も決まるため、結婚相手やビジネスする相手を選ぶ際にも参考にするそうです。また、名前も曜日によって始まる文字が決まっているので名前を見れば何曜日生まれかが分かるとか。
人々は人生の節目の選択時には占い師に相談するのだそうですが、中でもローカルの人々の間で評判の高い占い師に観てもらうことができました。生年月日を伝えて、両手を見せるだけですが、家族構成から今までの暮らしぶり、仕事の内容等、ほとんど正確に当てられたのにはビックリ。
そして、今後について色々と占ってもらいました。まだまだ面白い人生が待っているようで、元気が湧いてきました。


ミャンマーの人は今まではのんびりと静かに暮らしてきました。月の初めには仕事をする日をざっくり決めて、あとは自由。何よりも心の平安を得ることで幸せを感じる生き方です。見知らぬ人と街で会っても目が合うと自然と微笑みあうような余裕があったそうです。
ところが、ここ2,3年の間に急激にモノが流通し始めて、人々は忙しく働くようになり、いつの間にか沢山のモノを所有することが幸せの尺度になってきました。この傾向は、もし経済制裁が解かれると一気に加速度を増して人々の間で浸透していくことでしょう。
「携帯電話が最近、急速に普及し始めてきたのに伴って仕事が割り込んでくるようになり、心の余裕がなくなってきた。経済的には豊かになってきたが、以前のような心の平安は少なくなってきた。幸せの定義が変化しつつある中、かつての暮らしの方が幸せを感じやすかった」と、あるミャンマーの方が話していたのが印象的でした。
ミャンマーは、あたかも日本の高度経済成長期をまさにこれから迎えようとしている国なんだと思います。一方で、モノが溢れ、高度なサービスが行き届き、戦争もなく治安も良い日本。それなのに多くの人々が幸せを実感できない日本。ミャンマーの人たちと話していると、僕らが失いかけている本質的な幸せを思い出させてくれる気がしてなりません。
テーラワーダ仏教(上座部仏教)のパッタナの教え

この写真は、テーラワーダ仏教(上座部仏教)における最も深く複雑な教えの一つである「パッタナ(発趣論、Paṭṭhāna)」を、視覚的なメタファー(比喩)を用いて解説した教育用ポスターです。
パッタナは、仏教の聖典「阿毘達磨(アビダンマ)」の最後(7番目)の書物であり、「24の縁(えん:物事が生じるための24の条件・関係性)」について詳しく説いています。
以下、画像の主な構成と内容について解説します。
上段:アビダンマの起源
ポスターの最上段には、釈尊(ブッダ)がどのようにしてこの高度な教えを説いたかという歴史的な経緯が描かれています。
- 天界での説法: ブッダが亡き母(摩耶夫人)に報恩するため、タワーティンサー天(三十三天)へ昇り、神々にアビダンマを説く様子。
- サーリプッタへの伝承: ブッダが地上に戻った際、智慧第一の弟子であるサーリプッタ(舎利弗)にその要点を伝え、それが後に整理されて現在の形になったという伝統的な物語が示されています。
中段・下段:24の縁(条件)の図解
パッタナの核心である「24の縁」を、文字だけでなくイラストで分かりやすく説明しています。これらは「原因と結果がどのように結びついているか」を示しています。
代表的な例(イラストから推察されるもの)をいくつか挙げます。
- 根縁(ヘートゥ・パッチャヤ): 植物の「根」のイラスト。根が木を支え、養分を送るように、心の善し悪しを決定づける根本的な要因(貪・瞋・痴など)を象徴しています。
- 境縁(アーラムマナ・パッチャヤ): 目に見えるものや音など、心が認識する「対象(オブジェクト)」の関係。
- 倶生縁(サハジャータ・パッチャヤ): 「灯火と光」のイラスト。ランプが灯ると同時に光が生じるように、同時に生じ、互いに切り離せない関係を指します。
- 親依縁(ウパニッサヤ・パッチャヤ): 「雨が植物を育てる」ような、強い影響力を持つ条件。
- 食縁(アーハーラ・パッチャヤ): 「食事」のイラスト。肉体や精神を維持するためのエネルギーとしての条件。
ポスターの背景
- 言語: ビルマ語(ミャンマー)と英語が併記されています。ミャンマーはパッタナの学習が非常に盛んな国です。
- 記念: 右上に「Buddha Year 2600(仏暦2600年)」とあり、ブッダの成道2600周年を記念して作成されたものであることが分かります(2011年〜2012年頃の製作と推測されます)。
まとめ
この画像は、「この世のあらゆる現象は、単独で存在するのではなく、複雑に絡み合った24の条件(縁)によって生滅している」という仏教の因果律の極致を、一般の人にも分かりやすく伝えるための「図解・パッタナ」です。
非常に緻密な哲学的内容を、木や太陽、薬、食事といった日常的な風景に置き換えて表現しているのが特徴です。
教誡波羅提木叉(Ovada Patimokkha)

この画像は、仏教の教えの核心を簡潔にまとめた「教誡波羅提木叉(きょうかいはらだいもくしゃ / Ovada Patimokkha)」が刻まれた石碑です。
ミャンマーのヤンゴンにある石碑(ドナーの名前から推測)で、左側にビルマ語、右側にパーリ語(ローマ字表記)とその英語訳が記されています。
ここには、ブッダが説いた「仏教の要約」として知られる非常に重要な3つの偈(詩句)が記されています。それぞれの内容を詳しく解説します。
第1の偈:忍耐と涅槃
「忍耐は最高の修行であり、涅槃は最高のものである」
- 内容: 怒りや苦しみに耐える「忍耐(カンティ)」こそが最も優れた徳であり、修行者の目指すべきゴールは「涅槃(ニッバーナ)」であることを示しています。
- 非暴力: 「他人を傷つける者は出家者ではない」と説き、仏教の根本的な非暴力の精神を強調しています。
第2の偈:仏教の根本原則(七仏通戒偈)
「諸悪莫作(しょあくまくさ)、衆善奉行(しゅぜんぶぎょう)、自浄其意(じじょうごい)」
これは仏教徒の間で最も有名な一節です。
- 悪をなさない: あらゆる悪い行いを避けること。
- 善を行う: あらゆる良い行い、功徳を積むこと。
- 自らの心を浄める: 瞑想などを通じて、心を清らかに保つこと。
- 結論: 「これが諸仏の教えである」と締めくくられています。
第3の偈:具体的な修行の指針
「誹謗せず、害さず、戒律を守り、食事を節制し、静かな場所に住み、高い心を養う」
修行者が日常生活で守るべき具体的なルールが挙げられています。
- 他人を非難したり攻撃したりしない。
- 基本的な戒律(パティモッカ)を遵守する。
- 食事の量を知り(腹八分目)、過度な欲を慎む。
- 静かな環境で深い瞑想(定)や知恵(慧)を養うことに専念する。
この石碑の背景
この「教誡波羅提木叉」は、ブッダが悟りを開いてから最初のマーガ・プージャ(万仏節)の日、1,250人の阿羅漢(悟りを開いた弟子)が集まった際に説かれたとされています。
いわば「仏教の憲法」や「マニフェスト」のようなもので、複雑な教義を誰にでもわかるように3つの詩に凝縮したものです。ミャンマーのような上座部仏教の国では、多くの人々がこのフレーズを暗唱し、人生の指針として大切にしています。


