良かれと思って始めたプロジェクトが2回目にして早くも停滞してしまったというクライアント。
メンバーの反応が薄く、この場は不要なのではないかと不安に駆られる背景には、一体何が隠されているのでしょうか。今回は、他人の目が気になってしまうモヤモヤの根本原因を紐解き、次の一手を見出したセッションの模様をお届けします。
モヤモヤの正体は他人の視線?
クライアントは管理部門に所属しながら、現場のリーダー2人と共に部署の改善プロジェクトを立ち上げました。1回目は現場の若い世代へのヒアリングを企画するなど順調に進みましたが、2回目のミーティングで雰囲気が一変します。
時間切れで具体的な成果を出せず、リーダーたちの反応も薄かったため、クライアントは、この会議は無意味だと思われているのではないか、と強い不安とモヤモヤを抱えることになりました。
客観的な事実と主観的な解釈のズレ
セッションの前半では、ミーティングがうまくいかなかった原因について対話を深めました。クライアント自身は、相手のリアクションの薄さをやる気のなさやプロジェクトへの否定と解釈していました。
しかし、コーチからの問いかけによって、単に事前のゴール設定を怠ったために時間切れになり、尻切れトンボになってしまったという時間管理の失敗という客観的な事実が浮き彫りになりました。相手の熱量や関心の有無とは別次元の問題である可能性に、まずは目を向けていきました。
本当に目指したかった組織の姿
さらに掘り下げていくと、クライアントがこのプロジェクトに込めた強い思いが見えてきました。現場には若い世代からベテランまで多様な人がおり、上司でさえ彼らの将来の目標や本音を確認していません。
クライアントは、誰にも話を聞いてもらえずに辞めていくような悲しい状況をなくしたい、それぞれが目標を持って自走できる組織を作りたい、という純粋な願いからこの活動を始めていたのです。
視野の狭まりと置いてけぼりのリーダーたち
ところが、ヒアリングを進める中で、現場の技術職に明確なキャリアプランや評価基準がなく、上司の主観で判断されているという別の課題が発覚しました。クライアントはこの現状に対して、これでは目標を持てない、おかしい、と強く憤り、無意識のうちにプロジェクトの目的をキャリアプランの構築や目標設定へと急旋回させていたのです。
一方で、現場のリーダーたちは、基準など作れないし、なくていい、と考えており、クライアントの熱量と大きなズレが生じていました。クライアント自身のこだわりが強くなった結果、テーマがいつの間にかすり替わり、リーダー2人を置いてけぼりにしていたことが、反応の薄さの原因だったと気づきました。
一歩引くことで見えた次のアプローチ
この構造に気づいたことで、クライアントの視界は一気に開けました。自分が正しいと思うキャリアプランの必要性を現場に押し付けるのではなく、この課題への固執を一度手放し、一歩引いて現場のリーダーたちに任せる決意をしました。
そして、3人で始めたこのプロジェクトでは、現場のヒアリングから出てきた具体的な課題に対して、どのように対処していくかを純粋に話し合う場に戻すことが最善であると結論づけました。
コーチの視点
今回のセッションでは、相手の反応が悪いという表面的な悩みの奥に、クライアント自身の、組織を良くしたい、という強い正義感やこだわりが隠されていることが明確になりました。他人の目を気にして悩んでいるとき、実は自分自身の視野が狭くなり、自分の意見を相手に押し付けそうになっているケースは少なくありません。
クライアントはコーチからの客観的なフィードバックを受けることで、主観的な思い込みから脱却し、本来の目的であった現場とのコミュニケーションに立ち返ることができました。一歩引いて現状を鳥瞰する力が停滞したプロジェクトを再び前進させる鍵となりました。
In the Circle
セッションでの気づきをもとに、ポップやロック、ボサノヴァ、ジャズなどの楽曲を7曲制作してクライアントにプレゼントしました。
[Verse 1]
前に立つなんて似合わない
そう思って歩いてきた誰かを照らす人よりも
隣で支える方が好きだっただけど気づけばいつの間にか
未来を語る輪の真ん中[Pre-Chorus]
うまくいかなかった帰り道
胸に残った小さな痛み[Chorus]
答えは出なかった
時間だけ過ぎていった悔しかった理由はきっと
本気でこの場所を変えたかったから失敗じゃない
ここから始まる一歩だった[Verse 2]
「どう思う?」と問いかけながら
顔色ばかり気にしていた怖かったのは否定じゃなく
期待に応えられない自分でも少しずつ見えてきた
[Bridge]
リーダーは
先頭を走る人じゃない安心して話せる場所を
育てる人でもいい[Final Chorus]
だからもう少し信じてみよう小さな対話が
明日を変えていくことを私らしいリーダーは
私だけの形でいい答えは一人じゃなく
きっと、輪の中で生まれていく。

