読書メモ投資健康いま思うこと

ゼロで死ね。Die with zero.

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読書メモ
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最近、時間について考えることが多い気がします。

先日に読んだ「限りある時間の使い方」に続いて手にしたのが”Die with zero”です。

「限りある時間の使い方」は、「時間をコントロールしよう等という幻想は捨てて、いま目の前の時間を存分に生きることこそが大切」というメッセージでした。

一方で、本書は「今しかできない体験」に投資するべき、という本です。

金融業界で成功を収めた著者らしく、「なぜ経験に投資するべきか?」というシンプルなメッセージを徹底的に数値化して分かりやすく説きます。

【著】ビル・パーキンス
1969年テキサス州、ヒューストン生まれ。アメリカ領ヴァージン諸島に拠点を置くコンサルティング・サービス会社BrisaMaxホールディングスCEO。49歳のミリオネア。アイオワ大学卒業後、ベンチャー・キャピタル、エネルギー業界を専門に金融業界で活躍。ヘッジファンドマネージャーとして大成功を収める。その後、映画業界にも進出。みずから俳優・監督して映画制作にたずさわる。高額の賞金を獲得するポーカーの名手としても有名。

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経歴からか何でも数値化したがる著者に対して「人生は数値化できないよ!」とツッコミを入れつつも、幼少の頃から親から「遺産は残さずに全部使い切るからそのつもりで生きなさい」と言われて育った僕としては、本書で示されている幾つかの考え方はとても共感できるものでした。

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一刻も早く経験に金を使う

 一昔前は、友人や家族との、 「ねえ、あのときのこと覚えてる?」という会話がきっかけとなって昔のことをよく思い出したものだった。だが、今ではSNSがその役割を果たし、人々の記憶の配当を刺激して収益を上げている。
 あなたも当然、記憶の配当から価値を引き出せる。だがそのためには、まずは思い出づくりから始めなければならない。
 とても楽しかった休暇旅行のことを思い出してほしい。その旅行についてあなたは、友人に話したり、自分一人で旅の回想をしたり、一緒に旅した人と思い出話に耽ったり、同じような旅行の計画を立てている誰かにアドバイスをしたりしたはずだ。
 こんなふうに、元の経験から副次的に生まれる経験は、まさに記憶の配当だと言える。その経験は、積み重なっていく。忘れがたい旅を振り返ることで、どれくらい多く、豊かな時間を過ごせただろうか。繰り返し思い出すことで、元の経験よりも多くの喜びが得られることだってある。
 金を払って得られるのは、その経験だけではない。その経験が残りの人生でもたらす喜び、つまり記憶の配当も含まれているのだ。

p.55

このくだりは深く共感しました。

僕がブログを書く一番のモチベーションは、旅の記憶や、印象に残った本など、後から折に触れてその感動を思い返すには、自分が書いたブログの過去のエントリーを読み返すのが一番効果的だからです。

その度に、楽しかった想い出にしばし浸るだけで幸せな気持ちを反芻できたり、読書メモは当時の気持ちを思い出して「はっ!」とさせられたり、当時は気づかなかった違った見方を発見したり、と自分の人生に大きな価値をもたらしてくれています。

つまり、素晴らしい経験はその時に感じた幸せな気持ちだけでなく、後に思い出した際に感じる幸せ(記憶の配当)も加わることで長い人生を彩ってくれる貴重な資産となるのです。

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年齢にあわせて「金、健康、時間」を最適化する

 さまざまな経験を選ぶ際には、そのときの年齢と健康状態を考慮すべきだ。さらに、体力だけではなく金のことも考えなければならない。端的に言えば、まだ健康で体力があるうちに、金を使ったほうがいい。(中略)

 年を取れば、健康は低下し、物事への興味も薄れていく。(中略)金から価値を引き出す能力は、年齢とともに低下していくのだ。(中略)

 経験を楽しむ能力が年齢によって変わってくるのなら、能力が高いときにたくさんの金を使うことは理にかなっている。(中略)

 同じ10万ドルを使うにしても、80代より50代のときのほうが価値を引き出せるのなら、80代に使うべき金の一部を50代に回すことが、人生を豊かにするための賢明な判断だと言える。同じ理由で、20代や30代、40代に多くの経験ができるように多めに金を使い、老後は支出を抑えるという方針を立てることもできる。

p.164

ここで重要になるのが、「いつ経験すべきか?」という時間軸です。

投資と同じで長期間に亘って果実を得るには早く経験したほうが良いのは当然として、より重要な事実は「同じお金で得られる価値は歳を取るほどに低下する」ということ。

若いうちはなかなか実感が湧かない(未だに僕も実感がほとんどない)ですが、これは冷徹かつ確実な事実です。

「いつかリタイアして自由な時間がたくさん得られたら…」とか「今は我慢して貯金して、いずれローンを完済したら…」と考えがちですが、実際には60歳、70歳になると体力的にやれることは限られてきますし、精神的にも若い時ほど好奇心を持って楽しめなくなってくるという事実を冷静に勘案することが大切になってきます。

就活を終えた学生に「社会人になる前に何をしたら良いですか?」と聞かれると、よく「社会人になったら圧倒的にお金よりも時間が自由でなくなるから、親から借金をしてでも世界中を旅したらいいよ」とアドバイスしますが、同様に若いうちは若いうちにしか体験できないことに投資してかけがえのない経験を積むことに大きな意味があります。

そして、本書では様々な統計データをもとに、大半の人が将来への漠然とした不安のために必要以上の貯蓄をしている事実が示されます。本当にいま苦労して貯金に回すのが正解なのか、今こそ投資するべき体験があるのではないか?

こうした観点から改めてライフプランを見直してみる価値があります。

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健康の改善は人生を大改善する

 年齢を問わず、健康ほど、経験を楽しむ能力に影響するものはない。健康は、金よりもはるかに価値が高い。どれだけ金があっても、健康をひどく損ねていたらそれを補うのは難しい。だが、健康状態が良好なら、たとえ金は少なくても素晴らしい体験ができる。(中略)

 なかには、若い頃はスポーツマンだったのに、運動をやめたことで10キロも20キロも体重を増やしてしまった人もいる。1日中パソコンと向かい合うような仕事をしている人も、太ってしまうことが多い。その仕事で収入が増えたとしても、そのお金で楽しめるだけの健康を損なってしまっている。(中略)

 一般的に、医療費は加齢とともに上がっていく。人は高齢になるほど、病気の治療や延命のために健康に金を使おうとする。
 だが、若い頃に健康に投資するほうが、人生全体の充実度は高まる。食生活に気をつけ、筋肉を鍛えておけば、できるだけ長く健康を保て、経験も楽しめる。70代になっても、老人向けのスポーツだけでなく、スキーやテニスも楽しめ、スリムな体型を維持し、階段を上り下りする、椅子から立ち上がる、食料品の袋を運ぶなどの日常的動作も快適になる。

p.175

これも頭では分かっているつもりでもなかなか行動が伴わないテーマの1つ。

特に、テニスのやりすぎで右腕(手首、肘、肩)を痛めてしまい、2ヶ月ほど大好きなテニスを一切やめて治療に専念している今だからこそ、健康の大切さを痛感しています。

転んでもただでは起きない僕は、これを機に始めたジムにハマってしまい、週5ペースで通ってすっかり日常のルーティンとして定着させることができました。

また、30代半ばから始めた予防歯科は今でも3ヶ月に1回のペースで継続しています。ちょっとした手間とお金はかかりますが、これから得られる将来の期待効果は絶大でしょう。

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子どもには死ぬ「前」に与える

 子どもはとても大切だ。そして自分はいつ死ぬかわからない。
 ならば、大切な子どもたちに財産を分け与えることを、なぜそのいつになるかわからない日まで待たなければならないのか。そもそも、自分が死ぬときに子どもたち全員が生きているかどうかも保証されていないというのに。
 これが相続の問題の本質だ。つまり、それは偶然に左右されすぎる。
 ご存じの通り、人生は気まぐれだ。何が起こるかわからない。相続する額にかかわらず、受けとる側が一番金を必要としているタイミングでそれを手にするには、かなりの運が必要だ。
 たいていの場合、相続のタイミングが遅すぎて、相続人は値打ちのある金の使い方ができない。
 FRB(連邦準備制度理事会)の調査によると、人が遺産を相続するもっとも一般的な年齢は、あらゆる所得層において60歳前後でピークに達する(上図)。人々の平均寿命が約80歳で、親子間の一般的な年齢差が20歳であることを考えれば、当然の結果かもしれない。(中略)

 死ぬまで子どもに財産を分け与えないことは、偶然に身を任せるということだ。私はこれを「3R」と呼んでいる。どれくらいの「額」を、「誰」に(自分が死ぬときにどの相続人がまだ生きているかはわからない)、「いつ」相続するか、ランダム (Random) に決まることになるからだ。
 果たして、偶然に任せて与えることが子どもへの愛情と呼べるのだろうか?
 そうではないはずだ。せっかく何年も働いて貯めた金を、誰に、いつ、どれくらい与えればもっとも効果的なのかを、もっと真剣に考えるべきだ。

p.116

確かに60歳前後で親から相続を受けても有効な使い道はあまりなさそうです。

たとえ半額でも良いので、もし子育てや教育、住宅等で何かとお金がかかる30代、40代のうちに頂くことができれば、その価値は倍以上でしょう。

 では、子どもに金を分け与える最適なタイミングとは、いつなのだろう?
 まずは、最適ではない時期について考えてみよう。
 若すぎるとダメなのは、少し頭を働かせればわかるだろう。22歳や1歳の子どもに大金を与えようとする親はいない。未成年が資産をきちんと管理するのは難しいからだ。
 だが当然、遅いほど良いわけでもない。まったく与えないよりはマシだが、それでも60歳よりは50歳、50歳よりは40歳のほうが最適なのはたしかだ。
 譲り受けた財産から価値や喜びを引き出す能力は、年齢とともに低下する。金を楽しい経験に変えるあなたの能力が、老化とともに衰えていくのと同じだ。何かを楽しむには最低限の健康が必要になる。
 その能力のピークが、気力と体力が充実している30歳だと仮定すれば、50歳では同じ価値を引き出せなくなる。あるいは、30歳のときに1ドルから引き出せた価値を得るのに、もっと多くの金(たとえば1.5ドル)が必要になる。
つまり、子どもが一定の年齢を過ぎると(あなたが財産を分け与えるのが遅くなるほど)、分け与えられた財産の価値は落ちていくことになるのだ。(中略)

 これらをすべて鑑みての私の結論は、「親が財産を分け与えるのは、子どもが26~35歳のときが最善」というものだ。金を適切に扱えるだけ大人になっているし、金がもたらすメリットを十分に享受できるだけの若さもある。
 実際には、こんなに若いときに財産を譲り受ける人は少ない。かなりの年齢に達したときに、親の遺産を相続するケースがほとんどだ。
 だが、あなたが与える立場ならタイミングを自分で判断できる。何度も言う通り、子どもが金から最大の価値を引き出せる年齢を過ぎると、あなたが分け与える財産の価値はどんどんと落ちていく。
 子どもにもっとも効果的な形で財産を分け与えたいのなら、額の多寡だけではなく、できる限り最適なタイミングを考えるべきだ。
 私自身も、まさにそれを実践しようとしている。
 2人の娘は、まだ財産を与えるのに最適な年齢には達していない。だから私は娘たちの学費用口座に財産を入れている。同じく、娘たちに財産を分け与えるための信託口座もつくっている。
 この信託口座の金は彼女たちのものであり、私のものではない。私はこの口座に、適切だと判断する最大の額を入れるつもりだ。

p.125

今まで相続について考えたこともありませんでしたが、本書で一貫して説かれている「同じお金で得られる価値は歳を取るほどに低下する」という忘れがちですが非常に重要な事実を踏まえると、子供に資産を相続するタイミングは能動的に選びたいと考えるようになりました。

簡単に調べてみたところ、日本では年間で110万円までは贈与税がかからないルールです。つまり、自分が死んだ後に子どもたちが財産を相続すると相続税がかかりますが、年間110万円までの生前贈与であれば相続税も贈与税もかからない、ということ。

今はまだ学生なのでしばらく先の話になりますが、子どもたちが成長して結婚する時、子供が生まれた時、家を買う時など、人生の節目で少しずつでもサポートしてあげられたら「活きたお金の使い方」ができるな、と気づくことができたのは大きな収穫でした。

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大胆にリスクを取る

 資産のピークを見定めて、残りの時間と金を、人生を豊かにする経験にあてると決断するのには勇気がいる。人生を無駄にすることには不安を抱かないのに、金が足りなくなることを過剰に恐れる人は多いからだ。
 だが、私たちが一番恐れるべきは、「80歳になったときに潤沢な資産があるか」ではない。人生と時間を無駄にしてしまうことなのだ。

p.259

これは大事なメッセージです。

僕は20代の頃からコツコツとプルデンシャル生命保険の終身保険をはじめ、株式や投資信託、米国ドル建リタイアメント・インカム等に投資をしてきました。

一方で住宅ローンは10年間の減税期間が終わり、金利上昇をにらみながら繰り上げ返済を検討中。同時に高校生と大学生の子供の教育費もかかります。

こうした収支計画を人生100年スパンで再点検してみたいと思います。

 本書のメッセージが、あなたが「良い仕事に就き、膨大な時間を捧げて働き、60代から70代に引退して、そのあとで人生の黄金期を過ごす」という従来の価値観に従った行き方を考え直すきっかけになることを願っている。
 体力や気力が落ち始めるまで、人生を充実させる経験をするのを待つ理由などないはずだ。死ぬまでに使い切ることのない金を貯めることばかりに労力を注ぐのではなく、今すぐ人生を最大限に楽しもう。一生の思い出になるようなことをしよう。子どもたちにとって最適なタイミングで資産を分け与えよう。(中略)

 人生で一番大切なのは、思い出をつくることだ。
 さあ、今すぐに始めよう。先延ばしする理由などないのだから。

p.264

本書を読んでみて新たに気づいた視点も幾つかありましたが、実は僕はこの本をよむ前から「ゼロで死ぬ」のを目標にしていました。

ふだんは倹約に努めていますが、ここぞ!と思った時は、迷わず家族と過ごす想い出に投資をしようと決めています。

当時2歳の息子と妻と3人で暮らしたロサンゼルスでの2年間をはじめ、娘が生まれる時は周りの男性では誰も取っていなかった育児休暇を取得して息子と過ごした2週間、0歳の娘を連れてバリ島、UCLA卒業10周年でカリフォルニア、息子が小学校を卒業する時に沖縄諸島、勤続20周年でグレートバリアリーフ、息子の大学受験と娘の中学受験が終わった節目に屋久島…など、時間とお金を惜しまずに敢行した旅は今でも時々思い出しては幸せな気持ちに浸れる、かけがえのない人生の財産になっています。

早いもので息子も大学4年生。大学院へ進学することが決まりましたが、家族で旅行できるのもあと2年ほどかもしれません。

少々無理してでも時間とお金を捻出して、今しかできない体験をすることにしっかり投資をし続けていきたいと思っています。

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