週末に家族で湯河原へ一泊の小旅行。県内なので車で90分というお手軽さで非日常を味わえました。
今回は彼女が以前からいちど泊まってみたかったという富士屋旅館、しかもちょっとレアな洛味荘の2階にある特別室「香栄草」に宿泊しました。
江戸時代から続く老舗の温泉宿でしたが、2002年に休業。その後、新しいオーナーが3年かけて修復し、2019年3月にリニューアルオープンしたそうで、歴史の重みを感じつつも新築の建物のような清潔さが行き届いています。
特に部屋のかけ流しヒノキ風呂が最高でした。
新館
せっかく由緒ある旅館に泊まるので、15時前に到着してお部屋でのんびりすることに。
赤い欄干の橋を渡ると、川の先は緑に囲まれた、富士屋旅館だけの静かなエリア。正面に広がるのが新館です。車は新館の正面右手のスペースに停めさせてもらいました。
新館内にあるフロント先のラウンジで冷えた麦茶と湯河原名物・きび餅を頂きながら、チェックイン。中学生以上でないと宿泊できないため、全体に落ち着いた大人の雰囲気が漂っています。
旧館
赤い橋を渡り、すぐ左手に位置するのが旧館。2019年11月に令和最初の有形文化財(建築物)に登録が決まったそうです。
現存する建物の中でもっとも古いものは、大正12年に建てられた二階建ての楼閣風建築「旧館」です。 旧館は藤木川に沿って建てられた檜の三寸六分角柱を用いた細身の建築で、客室の座敷飾り、縁側、廊下など外回りの建具に繊細な組子入り硝子戸を多用するなど、大正期の建築の特色をよく示しています。
関東大震災でもほぼ被害を受けず、湯河原温泉が整備された大正期に建設された上質の建物であり、近代和風建築を知るうえで貴重な遺構とされています。 外から見ると瓦葺入母屋造の角屋が双楼風に突き出しており、約100年の時を経てよみがえった富士屋旅館のシンボルとなっています。
富士屋旅館HPより
年季の入った引き戸を開けると、中はエアコンが効いていてひんやり。
外観は古い建物を極力そのまま活かしていますが、建物の内部はところどころ綺麗に修復されています。新築の清潔感と長い歴史を感じさせる木材の風合いが同居する不思議なハーモニー。
洛味荘
今回宿泊したのは、旧館から渡り廊下で繋がっている離れの洛味荘。
旧館と渡り廊下でつながる建物が「洛味荘」(らくみそう)です。 昭和26年から29年ごろに、京都から木材を運んで建設されたと伝わっています。 改装前は八室あった客室を四室に間取りを変更し、ゆったりとした造りとしています。
かつては格天井(ごうてんじょう)と呼ばれるお城や有名な寺などに使われるもっとも格式の高い様式の天井が用いられていました。
特徴的な建具などからも当時、洛味荘が贅を尽くして造られたことをうかがわせる名残が感じられます。 富士屋旅館の離れとして、静けさと落ち着きのある建物です。
富士屋旅館HPより
洛味荘はもともとの部屋数を減らして、1Fと2Fそれぞれ2部屋ずつのみになったそうです。
温泉旅館の部屋でのんびり読書なんて最高ですね。僕は棚から「改訂版 ねじ式 つげ義春作品集」を見つけて持ち込みました。
洛味荘の2F特別室「香栄草」
今回宿泊したお部屋は、洛味荘の2階にある特別室「香栄草」です。54㎡の広々としたスペースに和室が2部屋。
もう1つの和室にはベッドが2つ。
じゃんけんで勝った男の子チームはベッド、負けた女の子チームはメイン和室に敷いた布団で寝ることに。
ロッキングチェアで川の流れる音を聞きながら本を読んでうとうとする時間が心地良い…
この特別室の一番の目玉は、贅沢な源泉かけ流しの温泉が引き込まれた檜風呂。床も天井も一面ヒノキづくりです。ドアを開けただけで、爽やかなヒノキの香りが漂ってきます。
新館内にある大浴場も開放的で気持ちよかったですが、何と言っても部屋のお風呂でいつでも気軽にかけ流しの温泉が楽しめる幸せは想像以上でした。
翌日もチェックアウトの10時まで家族それぞれがのんびりと部屋でくつろぎながらプライベート温泉を満喫しました。純和風の温泉旅館はやっぱり落ち着きますね。
夕食と朝食も期待を裏切らない内容で大満足。想い出に残る素敵なひとときでした。