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ほんとうの心の力

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読書メモ
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明治生まれの実業家であり、かの松下幸之助や稲盛和夫といった経営者が影響を受けた思想家としてその名を挙げる中村天風。先日、その存在を初めて知り、手に取った著書「成功の実現」を読んで、すっかり惹き込まれました。

結核で死にかけて明治時代に単身でアメリカ、ヨーロッパへ渡って2年間放浪した挙句、絶望の末に日本に帰る途中で立ち寄ったエジプトで出会ったインド人にインスピレーションを感じ、ついて行った先のヒマラヤ山麓で2年半のヨガ修行で悟りを得て、そこから日本への帰路で上海で出会った孫文を助けて辛亥革命に参加とか、あの時代にそんな日本人がいたなんて!

ブログ「成功の実現」

他にも彼の言葉に触れてみたくて読んでみたのが「ほんとうの心の力」です。

本書は「中村天風の著作物および講演録より言葉を抜粋引用した」もので、「運命をひらくために」「困難に出会ったときに」「強い心をもつために」「健康にいきるために」「日々愉快に生きるために」「ともに成長するために」「幸福な人生をおくるために」「よりよい仕事をするために」「真実を見極めるために」の9つのカテゴリに沿って様々な言葉が収録されています。

見開きの2ページで1つの言葉が紹介されているので短い時間でもさっと読むことができます。ただ、いきなり本書だけ読んで彼の言葉に触れても、彼の生き様や、こうした考え方に至った経緯を知らないと、少し消化不良かも。興味を持った方は、ぜひ「成功の実現」も読んでみることをお勧めします。

本書で紹介された言葉の中で幾つか心に響いたものをメモ。

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信念のある理想

p.208 現代の人間たちは、何か自分が思い立った、考えついた、やってみようかなあという気持ちの出た事柄が長続きしない。長続きしない理由の第一は、思ってみたものの、考えてみたものの、やってみたものの、どうもうまくいかないから、「もう俺はあかんわ、駄目や」、こういうふうに思うからいけない。それは理想じゃなく、ただ夢みたいな、うわごとみたいな気持ちを心のなかに描いただけだよ。
 理想には信念が必要なんです。信念がつかないと、どんな故障が出ようと、文字どおり万難を突破してもその理念の完成成就へと勇猛邁進しようとする力が、分裂しちまうんだよ。(中略)
 ただ、ああ、あったらいいなあ、というような考え方だけでしかない。それは理想でなく、欲望だもの。
 人生を日々、極めて有意義に生きようとするのには、常に自分の人生理想を明瞭にその心に描いて、変えないことです。

人生、つくづく「棚ぼたはないなあ」と思います。一方で、単なる「こうならいいなあ」レベルの妄想ではなく、「一度きりの人生、これだけは必ずや実現したい」という強い想い、理想というものを自分なりに気づき、持つことも難しい。強烈な問題意識、現状に対する危機感といったものがないまま、ただ何となく過ぎていく時間や、惰性で過ごす時間が多すぎやしないか、と時々反省することがあります。

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なに気なしに行わない

p.240 何事に対しても、まずそのものの中から何かの興味を見出すか、またはつくり出すかして、どんな興味のないものに対しても、必ず意識を明瞭にして応接する習慣をつくるようにする。もっとわかりやすく言えば、何事を行う際にもけっして「なに気なしに行わぬ」ことを心がける。
 これを「有意注意力」というんだが、これが習慣化されてくると、自然と注意が注がれる範囲が拡大されていって、一度に多数または多方面に自分の注意を困難なく振り向けられるようになってくる。(中略)
 その当然の帰結として、連想力が正確になり、いわゆる思想の整理が自然に巧妙になされるようになると同時に、記憶力がすこぶるよくなるんです。どうしてかというと、いったん心の前に置かれた事物の一切をその心に深刻に印象づけて、細大漏らさず心のなかの記憶の倉庫内に入れてしまうからだ。

同じ時間でも、漫然と流れる時間もあれば、澄み切った思考で集中している時間もあります。わかってはいても、なかなか自分では意識してコントロールできないもの。いま目の前にある事柄に集中して、今を生きること。そのためには、「絶対的な積極」という心持ちが必要と説きます。

これは、宮本武蔵の「五輪書」で書かれている武士道精神や、東京裁判でただ1人の文官として絞首刑の宣告を受けた第32代の内閣総理大臣、広田弘毅の座右の銘「物来順応」という言葉にも通じる考え方のように思います。

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潜在意識に働きかける

p.88 絶対的な積極
 そもそも多くの人は、積極という言葉の意味を、消極に相対したものと考えています。(中略)だから、時によると、積極精神というのは、何か強気な気持ちでという意味にとられて、がむしゃらに強がったり、強情はって頑張るということがそうだと思っている人が多くないですか?(中略)
 心がその対象なり相手というものに、けっしてとらわれていない状態、これが絶対的な気持ちというんです。何者にもとらわれていない、心に雑念とか妄念とか、あるいは感情的ないろいろな恐れとか、そういうものが一切ない状態。けっして張り合おうとか、対抗しようとか、打ち負かそうとか、負けまいといったような、そういう気持ちでない、もう一段高いところにある気持ち、境地、これが絶対的な積極なんですぜ。

p.122 心の偉大な作用
 本当に考えきれないほどの喜びと楽しみに満ち満ちている光明世界である人生を、やれ気が重いの、つまらないの、面白くないの、晴れ晴れしないの、自分で自分の心のなかに風呂敷をかぶせて、そして自由にならないって、もがいていることぐらい滑稽なことがありますか。
 心というものは世間一般の人々が考えているような小さなものじゃないんです。もっともっと偉大な作用をもつものだということを自覚しなきゃ。同時に、その作用を完全に、こうやって生きている心身、毎日の人生に応用すれば、まさしく人生はその生涯を通じて極めて生きがいのある状態で生きられることになるんです。

p.188 いのちの力の使い方
 結論からいうと、これは極めて短い言葉で表現することができる。すなわち、「力を入れることに重点をおかずに、力を働かすことに重点をおく」--これである。(中略)
 剣の極意は「変機に処する以外には、いたずらに力を入れぬこと」であり、これが臨機応変の要諦である。(中略)
 よりもっと気楽な、堅苦しくない、言い換えれば、円転滑脱、のびのびした気分で、力をスムースに働かすといった生き方でないと、多端な人生を生きていく力が、長く保てないことになる。

自分の心の持ちようで、この人生はいかようにも見え方が変わってくる。前向きな理想を正しく心の中でイメージし、潜在意識に働きかけることで、自然の摂理に従って理想は実現化される。130年近く前に生まれた日本人の言葉が今の僕の心に強く響いています。

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